わらべ唄+ディストーションギター Garbage Pale Kids / JPEGMAFIA ミックステープ KOMEMX - The TAPE 03 A面
ミックステープ3本目、A面3曲目について。
Lullaby / Leo Kottke
DAY TRIPPER / YELLOW MAGIC ORCHESTRA
Garbage Pale Kids / JPEGMAFIA
Enemy / Slant
Stick Up / The Hives
Party Girls / Victoria Monét
Too Pure / Cornelius
Mess It Up / The Rolling Stones
bird song / Shimozu Mitsuhumi
3. Garbage Pale Kids / JPEGMAFIA
ジェイペグマフィアことバリントン・デヴォン・ヘンドリックスは、ニューヨーク・ブルックリンのフラットブッシュ生まれ。ラッパーであり、プロデューサーでもある彼は、エクスペリメンタル・ヒップホップの代表的な存在として幅広いジャンルを取り込み、その音楽性は日頃ロックを聴いている耳にもオルタナティヴ・ロックやインダストリアル・ノイズ・ミュージックとして楽しめる。
僕はさまざまなジャンルを一本のテープに落とし込む楽しみを持っているが、ジェイペグマフィアの音楽は、まるで1曲の中にその楽しみを凝縮したようだ。今回のトラックに選んだのは、彼とダニー・ブラウンのコラボ作から驚きの一曲。なんと日本のわらべ唄がサンプリングされてしまった。「イチ、ニ、サン。ニー、ニッ、サン」と歌う子どもたちの調子に、ダニー・ブラウンの挑発的なラップが絡みつく様は、とにかく面白くて仕方がない。
ジェイペグマフィアの音楽を聴いていると、間断なきノイズの重なりに現代社会の騒がしさを見ることがある。たぐいまれなる編集能力で、この騒がしい脳内の像をスピーカーを経由して投影しているかのようだ。遠くおぼろげな記憶が意識の遷移とともに目まぐるしく行き交い、その一瞬気の狂いそうにな精神状態は、一方で中毒性も孕んでいる。
編集を武器に表現を完成させるアプローチは、オーストラリアのジム・フィータスにも通じるものがある。フィータスと言えばそのブチ切れた歌いっぷりも特徴だが、刺激的な音の断片をばらまいては再びまとめ上げる手法はジェイペグマフィアと共通する。特に今作においてはダニー・ブラウンがラップでずけずけと音の隙間に割り込んでくる展開があることで、フィータスが80年代に展開した攻撃性の高いインダストリアル・パンクと重なり合う。
もっとも、ジェイペグマフィアの音楽をロックと結びつけてしまうのは、彼が好んでサンプリングする軋んだディストーションギターのせいかもしれない。そのテクスチャーはまるで紙ヤスリのようにざらついていて、武骨でイカしている。
次回は、韓国のハードコアパンクバンド Slantの1曲。
ミックステープはMixcloudで公開中。