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世界一大きい柑橘類を食べた話
世界一大きな柑橘類
人は大きなものが好きなのです。建物も高くした方がいいし、ロボットも巨大な方がいいのです。「世界一大きい」そういった言葉が付くと、心躍らずにはいられない。そういうものではないか。
今回紹介するのはギネスブックに”世界一大きい柑橘類”として登録されている「晩白柚(ばんぺいゆ)」。
晩白柚について、特産地である熊本県八代市のJAのサイトを参照する。
時は大正九年、品質の優れた果実品種「晩白柚」が原産地マレー半島から、当時台湾総督府に勤務されていた熊本県出身の植物学者島田弥市氏によって台湾に輸入されました。そして十五年後の昭和十年、島田氏の好意により、熊本県果実試験場において試作した結果、熊本の風土、特に八代地方に好適している事が判りました。
現在では熊本県の柑橘奨励品種の一つとして、八代地方のみにその奨励を行っている程、商品価値の高い果実となり、地域農業の発展に寄付しています。
https://ja-banpeiyu.com/
この晩白柚をたまたまスーパーで見かけた私は「でっかい柑橘類だ!」と好奇心を抑えられず、2000円ほどするのに衝動的に購入してしまったのだ。どうやら晩白柚は熊本の名産であるため、九州のほうではそこそこ一般的であるようだが、私は旅行以外で関東から出たことがないため、初見であった。
今回購入した晩白柚は直径およそ16cm、重さ1.6㎏ほどのもの。大きさのイメージとしては大玉のメロンが大体同じくらいの大きさになる。
晩白柚を切ってみよう
購入してから数日後、程よく熟れた晩白柚を食べる時が来た。しかし、私はスーパーで見かけるまで名前も聞いたことが無く、剥き方も食べ方も知らなかったため、youtubeで調べて実践した。
予習を済ませていざ切らん
実際にまな板の上に乗せてみると、その大きさが実感できる。まな板からはみ出しているのだから。晩白柚に出会うまではまな板からはみ出す柑橘類を切る経験をするとは露程にも思っていなかった。
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第一段階として、まず果皮の上部と下部を切り落とす。
私はまず0.5㎝ほどの厚さで切り落としたが、この時点で晩白柚の皮の厚さを実感した。事前学習から皮が分厚いということは知っていたが、想定以上だった。断面を見ると、真っ白なわたの部分が見えるばかりで、果肉の存在が感じられないのだ。その後、追加で1㎝ほど切って、ようやく白いわたの奥にある果肉を感じられるようになった。
第二段階では、八等分になるように切れ込みを入れて、皮をむいていく。
第一段階を経て、晩白柚の皮の厚さがなんとなく分かってきたため、はじめから1.5㎝ほどの切れ込みを入れて剝き始める。剥くのは少し力は必要なものの、そこまで難しくなく、案外きれいに剥くことができた。しかし、皮がぶ厚い。
皮はあとで活用するため、きれいに剥けた三枚を別で保存しておく。
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最後に果肉をわたから外す作業がある。これは皮をはずすのみ。特筆することと言えば、サイズが大きい分果肉の粒も大きくなるため、外している途中で粒単位で外れてしまうのが難しい、という柑橘類をむく中であまり経験しないことで悩むことになった。とはいえ、剥くこと自体はそこまで難しくないため、4房ほど剥いていけば慣れてくるもので、後半はきれいに剥けるようになった。
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晩白柚を実食してみよう
皮を剥いて、冷やしたものがこちらになります。
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イメージとしては、横幅10㎝ほど、縦は5㎝ほどの大きさ。切る時も思ったが、この状態になって改めて思う。他の柑橘類よりも果肉の粒が明らかに大きい。
いざ実食。
おいしい。
なんとなくイメージとして、大きい果物であれば、その分大味になったり、他の柑橘類とは明確に異なる風味があったりするのではないかと思っていた。しかし、実際にはそんなことはなく、柑橘類特有の酸味のなかに確かに感じる甘みと程よい苦みがあり、とてもおいしい。おいしい。また、本章の最初に述べたように果肉の粒が大きいため、ツブツブとした触感が楽しめる。薄皮もやや厚いのでシャキシャキともしている。
私は柑橘類の違いを明確に説明できるほどの経験を積んでいないので、味がこの種類に似ている、とかをいう事はできないのだが、とにかくおいしかった。
果肉のレポはこの辺にして…続いてはさきほど取っておいた皮のレポに移る。
皮を食べる。というのはどういうことなのか。
もちろん、そのままムシャムシャと食べるわけではない。ちゃんとクックパッドで「晩白柚 皮」と検索をして調理したのだ。料理名としては「晩白柚の皮の砂糖煮」。
調理法はクックパッド以外にもいくつかのサイトを参照しながら調理したため、作る場合は各々の環境を考慮したうえで選ぶといいと思う。
私は家にきび糖しかなく、ほとんどのサイトは上白糖、もしくはグラニュー糖を推奨するため、やや自己流で行った。
調理法をざっくりとまとめると
皮の黄色い部分を削ぎ、わたをひと口大に切る。
苦みを飛ばすために、酢を入れて15分ほど煮る。これを二回繰り返す。
水に30分浸す。30分経過したら、絞って水気を抜く。
わたと同量の砂糖を、わたが浸るくらいの水に溶かし、鍋にいれ、わたと一緒に煮詰める。
鍋の水分がなくなってきたら、火を止めて冷ます。
大体目分量でやってしまったため、信用に欠けるがおおまかな流れはこのようであった。
作ったものがこちらになります。
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今回は色の濃いきび砂糖を使用したため、色が黒ずんでしまっているが、上白糖やグラニュー糖を使ったならば、もう少しいい発色になるだろう。クックパッドで見た調理例はもっと黄色みがかって、きれいな色をしていた。
きび砂糖は使わないほうがいい。
味としては、食べやすい砂糖といったところだった。つまりは砂糖の入れすぎだ。しっかりと煮てわた本来の苦みを飛ばしたため、ほとんどわたを食べている感覚はない。
かなり甘くなったが、私はかなりの甘党のため、冷蔵庫から麦茶を取り出すついでに少しつまむ程度には気に入っている。これはそれぞれの好みに応じて、味見しながら調整すると良いのだろう。もしくは晩白柚を絞っていれたりすれば、いい感じになったのだろうか。料理をあまりしない私にはわからないが。
まとめ
「世界一大きい柑橘類」という肩書を背負って、その巨体を見せつけるのだから、これはどんな不思議なものであろう。そんな奇異のまなざしを向けていた。
しかし、実際に食べてみるとかなり正統派の柑橘類であり、果肉のみで出されたならば、普通のオレンジ程度の大きさを想定するだろう。例えがあまり良くない気もするが、肩書や見た目ほど特殊なものではなく、おいしい柑橘類であるということを伝えたい。
晩白柚の旬は2月から4月までとされているので、ちょうどこれからの季節が旬になる。もし、スーパーなどで大きな柑橘類、晩白柚を見かけたならば、是非とも食べてみてほしい。