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「妊娠できない自分」を許して不妊治療を卒業することにした


2025年1月30日、私は夫に「不妊治療終了宣言」をし、その理由を語った。


今日の記事はタイトルの通り、全然楽しい話では無い。
筆者のダークサイドも書くし、用語の解説は基本的にしないし、思考整理のために書いた長い自分語りなので、読まなくて大丈夫。
あとこれはあくまで個人的な考えなので、その辺りはご了承いただきたい。


まず、我が夫の意見を記述する。
これは治療を始める前から今日まで変わっていない。

・子供は「居たらいいね」
・夫婦2人で楽しくやっていくのもアリ
・今のところ金銭的なことは気にしなくていい
・妻の意見を尊重する
・今のクリニックで結果が出ないなら転院を考えてもいいのでは?

そしてここ3年での状況

・半年の自己タイミングが全部空振り
・不妊治療のスタートはタイミング法
・排卵が遅いので排卵誘発材を飲む
・稽留流産と掻爬手術
・職場でのあれこれで休職、心療内科通院
・身の回りで妊娠出産報告
・体外受精と顕微授精
・ダイエットと節約
・医師に勧められて半年近く飲んだ漢方が効果ない
・医師が匙投げ気味になるくらい結果が出ない
・採卵4回、獲得数58、凍結胚1個

私たち夫婦は最初の検査で「原因不明」とされている。
採卵の数なら結構あったものの、受精はするのに良好胚(クリニックが凍結してくれる好グレードの胚盤胞)ならなかった。
年齢もあって卵子の質を疑いつつ、とにかく採卵で数を取るしかないと言われ、全部高刺激法になった。

3回目の採卵で胚凍結ができなかった時、先生には「これ以上やっても同じだと思います。4回目をやるならまた来てください」と言われた。
私は反骨精神で4回目の採卵をした。これが功を奏し、初めての胚盤胞を1つ凍結した。

とはいっても、私はそもそも排卵までに時間がかかるせいか生理周期35日以上と長いので、タイミングだろうと採卵だろうと1周期の長さがタイムロスとしか思えなくてだいぶやきもきしていた。
今度移植する胚盤胞だって12月に採卵した子なので、お休み周期含めて今日の時点で2ヶ月待機である。

なにはともあれ念願の胚盤胞が凍結できたわけだが、本来ならこのクリニックでは凍結しない低グレード胚。年齢を加味すると妊娠率は20%くらいだろうが、私の場合はそんなに無い気がする。

そして移植周期を控えている今、ここでいとこの妊娠を知ることになる。彼女も不妊治療のためクリニックに通い、タイミングでの妊娠だった。

「私よりあとに結婚したのに?」(クソデカ心の声)

いつも通り()落ち込みながら翌々日になり、私は体外受精を始めた辺りから、周囲に対して嫉妬のみならず攻撃的になっている現状にハッとして冷静になった。
嫉妬の言葉が浮かび感情が爆発して喚き散らすことは多々あっても、冷静になったのは初めてだった。

そして、「不妊治療までしてるのに妊娠できない自分を許せない」、そんな自分に気づいた。

私は「妊娠できない自分を許せない」という思考を構成する要素を紙に書き出して分解した。
何が嫌なのか、何が起因しているのか、優先順位はどうか。私はどうして子供を欲しいと思うのか。
全部紙に書いたら落ち着いて見られた。


・彼氏もいない時点で母からの「孫まだ?」
→母自身が25歳で私を産んでいるし昭和では当たり前だったので仕方ない

・流産悲しい
→誰も悪くないし妊娠したことは事実なのでお空の子に感謝しよう

・子供がいる夫婦がみんな羨ましくて悔しさと悲しみ繋がった
→あたりまえ体操

車で外出のたびに「Baby in the car」「孫が乗っています」のステッカーを見て真っ黒感情
→脳内で「犬が乗っています」に置き換えると可愛いよ

・SNSの「胚盤胞3個しか凍結できませんでした涙」も「ご報告(妊娠陽性の)」の文字も見たくない
→SNSやめて正解!

・子供欲しいしと思って子育て世帯向けアパートに入居した自分のことも嫌
→もう引っ越したから安心!

・大金払って時間もかけて注射も打って痛い採卵に泣いて胚盤胞ができなくて移植までいかなくてつらい
→不妊治療やめて浮いたお金で努力賞の焼肉とケーキ食べよ!

・「赤ちゃんは授かり物だから」と慰められるのも大嫌い
→その人は神から授かってるんじゃなくて本人のコンディションがいいから受精卵が育ったんだよ

・落ち込んで夫に迷惑をかけたくないのにと思いなが申し訳なかった
→これからは二人で楽しいことできるよ!

・「仕事辞めたらストレスなくなって妊娠したよ」の話も「私はストレスの原因の仕事辞めた上で不妊治療してるのに妊娠してないが!?」とキレる
→その人はストレス以外のコンディションが良かったんじゃろ


不思議なもので、私はずっとこれらのことははっきり頭の中で考えていたのに、冷静になってから紙に書いた文字を見ると「そうだったんだ」と他人事のように思った。
結論として、不妊治療してるからいけないのか、という答えに辿り着いた。
仕事を辞めた今となっては、不妊治療がストレスになっていたのだ。

不妊治療をしなければ通院しないし医療費もかからない。
「今回もダメでした」と結果を突きつけられて落ち込むこともない。
周りに「いつかはと思って頑張ってるんよ!」みたいなこと言わなくていい。
通院でスケジュールを取られなくなれば、もっと自由に夫と旅行に行ったり、友達と推し活したりできる。
 
不妊治療の結果に囚われず、夫と楽しく過ごすことができる。

「不妊治療しないといけない私」
「自力では妊娠できない私」
不妊治療をしても妊娠できない自分を許して、周りにも認めてもらう。
両親は「あんたは頑張ったからもう楽しく過ごして」と言ってくれた(代わりに未婚の弟を心配し始めたが…)
子供がいなくても、夫がいたら楽しくやっていける。

愛する夫との子供が欲しいと思うのは自然なこと(当然、ではない)で、べつにこれ以上の理由なんぞ要らない。
でも子供がいなきゃ楽しくない、生きていけないわけでもない。子供いたって自分たちの老後の備えはどうせしないとだし。
正直言ってまだ子供は欲しいし、近日中に移植を控えているわけだし。

クリニックは当然胚にグレードをつけるが、それに対して私は「低グレードだ、多分ダメだわ」と夫に溢していた。
もうこれが良くないんだよな。何でもかんでも文字や数値で良いのか悪いのかに囚われて、勝手に凹んでる。
全卵子(空胞除く)1/58でせっかく残ってくれた胚盤胞も信じてあげられなかった。
ごめんよ、胚盤胞になってる時点で奇跡的な子なんだよな。

移植したら、陽性になってからダメになろうと、陰性だろうとこれで終わりにしようと決めた。
クリニック通う前と同じ、自然に任せるということだ。タイミングとかもうええわ。
子供が欲しいことに変わりはない。でもまずは、隣にいてくれる夫との時間を大事にしよう。


よく、なかなか妊娠できない人向けの言葉で「本当に子供が欲しいのか?」というのを見た。
不妊治療に躍起になってないかみたいな。

いや欲しいが???????
欲しいから頑張ってきたんだが???????

まぁ、家庭の事情で欲しくもないのに不妊治療してる方も世の中にはいるだろう。
感情ぐちゃぐちゃになりながら治療してる方もいるかもしれない。
でもさ、その問いかけは酷じゃないかと私は思う。
自分で考えるからほっといてくれや。


そんなわけで今夜は好きなだけ焼肉を食べます!!!!!!
野菜は食べません!!!!栄養なんか知らんよ!!!!



私の不妊治療 完

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