妖刀「さくらんぼ」
キャタピラコメダと申します。趣味とお仕事の狭間で毎日エッセイ日記を書いています。くだらない文を、くだらねぇと笑ってもらえれば
私は山形県で育った。
大学進学を機に上京し、一人暮らしを始めた。良くも悪くも遠方への大学進学という状況は人間関係をゼロにする。そこで「出身地」という話題は必ず出てくる。同郷なら+65点、それだけでグッと間合いが近くなる。そうでなくとも話の支点が決定する。
新歓くらいならその軸足から三時間ピボットしてるだけで何とか乗り越えられる。それくらいに強い話題であり、盛り上がる。しかしその切れ味だけに怪我をする可能性もある。
都道府県とは剣豪のようなものだと考える
私の故郷は残念ながら弱い…
「〇〇県といえば」という問いに対して鞘から抜ける刀で都道府県とその出身者は戦っているのだ。規模の大小はあれど。
イメージしにくい場合は
大体地方限定キティちゃん抱いてるものやキューピーが被っている頭巾を思い浮かべよう。それがその県の剣です。
刀を大量にこさえている県はいいさ。北海道なんてもう武蔵坊弁慶みてぇだもん。あとこの問題は都道府県剣豪理論と題したが実質「都道府」と一部政令指定都市の大剣豪たちにはお帰り願おう。
本当に気を付けてほしい。こちらは山形と群馬で戦ってるときに「暇つぶし」とかミホークみたいな事言って鷹の目の横浜さんに入ってこられたら迷惑なんだ。まだ超堅い鎧とかで威張ってるドン・クリークなんだよこっちはあと個人的に出身聞いたときに横浜仙台博多と答えられると心の表面がなんかザラっとしますごめんなさい
ほとんどの田舎はその次元で戦おうなんてしていないから安心してほしい。あんな両肩に東京タワーとスカイツリーつけてるガンタンク東京に真剣一本で勝負とか愚かにもほどがある。それでも素手よりマシだから各県は何かしらの刀を構えるわけだ。
山形県はもう何十年も「さくらんぼ」という刀一本で戦っている。たまに『おくりびと』とか『スウィングガールズ』みたいな脇差が手に入ることがあるが、そう何年も続かない。もう握り込み過ぎて一体化しているようなもので手放せない「妖刀桜桃」なのだ。銀魂の紅桜みたいな感じ。
切って切って切り続けて刃こぼれして錆びついてるかもしれないが、それを好きと言ってくれる人もいる。もちろん私達県民も誇りに思っていることはあるけれども。それは半分は破傷風みたいなもんだろう。錆びついた鈍のほうが怖い事だってあるさ。
東北ではずっと二番手を決める剣豪仕合が行われている。独眼竜さんが頂点でレッツパーリーしてるのには逆らわない。昔、山形県の良い所のインタビューで「仙台に近い」という回答が出た時点でだいぶ終わってる。最近は秋田県さんが棘付きの「霧淡棒」ぶん回してるのに近づけなくて困ってる。
たとえ一本の刀でも、名刀を持っている県はいい。香川県さんの「名刀讃岐うどん」なんかすっごい切れ味でもう青龍刀みたいな形してそうだ。
そういうトコはいいんだ、そういうトコは。
だが一部の県の動きが最近怖い 埼玉とか群馬とか
「何も無いがある」とか宮本武蔵みたいなこと言いだすな。やけくそじゃん。無念無想、無心すぎるって。
そんなスペードの3だけジョーカーに勝てますみたいな感覚でフィーバー起こされたら下手に一本に縋って妖刀握ってる県が損しちゃうって
なにが言いたいかというと……
さくらんぼの季節です。みんな買ってね。