すべてのモノにモノガタリ
こんにちは!米の佐藤です。
米note第四回は2020年にロンチした、メルカリ「読むレジ袋」についてお話しします。
“読むレジ袋”は、通常は捨てられてしまうレジ袋に「小説を読む」という新たな価値を与えたレジ袋です。
この取り組みは、捨てられがちなレジ袋に小説という付加価値を加えることで、身のまわりのモノにも一つひとつに価値があると気づきを与え、改めてモノとの向き合い方について考え直すきっかけになることを目的としたもので、レジ袋には、メルカリが2020年4月から始動したプロジェクト「モノガタリ by mercari」で連載されたモノにまつわる3つの小説(伊坂幸太郎「いい人の手に渡れ!」、吉本ばなな「珊瑚のリング」、筒井康隆「花魁櫛」)が印字されました。そしてメルカリはローソンと協力し、7月1日からのレジ袋有料化を前に、2020年6月24~26日の3日間限定で全国のナチュラルローソン138店舗で“読むレジ袋”を無料配布。TVでも報道番組含め様々な番組で取り上げられ、多くの人に手に取っていただき、WebメディアやSNSでもたくさんの反応をいただきました。
米では、 “読むレジ袋”のプロデュース・ディレクション・ネーミングを担当しました。
詳しくは実績をどうぞ!
https://komeinc.com/works/mercari-bag/
🍚物語のある豊かさ
この取り組みは、メルカリが「モノガタリ by mercari」で伝えていた「すべてのモノには物語がある」というコンセプトから派生した取り組みですが、佐藤はこのコンセプトにすごく共感しました。
改めて考えると、どんなものにも、そこに在る理由があるんですよね。
たとえばお洋服なんかそうです。なんとなくクローゼットにあるものってほとんどなくて、佐藤の場合は、祖母が昔大切に着ていた丸襟のシャツとか、中華居酒屋で仲良くなった店員さんがくれたTシャツとか、友達に褒められて嬉しかったワンピースとか、あとは念願だった長野のフェスでゲットしたかわいいキャップもあるし(アラレちゃんカラーのピンク色で本当にかわいい!)、他にも大好きな理由があるお洋服がたくさんあります!
他人にとってはよくわからないモノ、必要ないと思われるようなモノでも、物語があることでその人にとっては唯一無二のものになるんですよね。それがたとえ誰かと同じモノだったとしても、それぞれの人が持つ物語はきっと違う物語。だからこそそういったものの積み重ねが、自分だけの、毎日の生活を豊かにするものになるんだと思うんです。
付加価値というと仰々しいかもしれませんが、物語があることによって、そのモノと自分の間に関係ができて、大切にしたい理由ができるのではないかなと思ったり。
それは広告も一緒で、商品やブランドに、イメージや物語、体験といった付加価値をつけるのが広告のお仕事だと思っています。「好きだなあ」とか「かわいいなあ」とか「わかるなあ」とか。ただそこに在るだけだとどうでもいいものだけど、それに物語がつくことによって、感情が生まれて、それが自分の中での価値になり、関係になり、理由になる。。。
今回の”読むレジ袋”もまさしく、普段ならどうでもよいレジ袋をちょっと大切にしたく思える付加価値を提案したプロジェクトでした。
🍚ポケットに入れたい価値
そういえば、2年くらい前に、「風とロック」というラジオで箭内道彦さんがおっしゃっていて忘れられない言葉があります。
「広告って言葉や思いやイメージを扱う仕事なんだ。イメージって誰でも持ち歩けるよね。歌や、絵や、言葉、なんでもそう。誰もがそうやってポケットに入れられるような素敵なものができて、その人がたとえば河原でふと取り出した時に、いいなって思ったり、形にないけど頭の中に描くものが生み出せたら、それってすごくいいよね。」
記憶で覚えているので完全ではないですが、箭内さんの優しい声で流れてきたこの言葉に、作業していた手を止めてドキドキして耳を傾けた記憶があります。形としてそこになくても、ポケットに入れてしあわせな気持ちになれるような、そんなお仕事が残せたらすごく素敵だなあ!と思いました。
プロデューサーという仕事は、クリエイティブに付加価値をつくること。ということを米ではよく話しています。モノに物語やイメージがつくことで付加価値が生まれるように、プロデューサーがいることでクリエイティブに付加価値が生まれる。それは目に見えなくても、クラフトの追求だったり、アイデアにロマンを組み込むことだったり、チームにしっかりと掛橋をつくることだったり。いろいろありますが、そういう小さなことが積み重なって素敵なクリエイティブができて、それを見つけてポケットに入れてくれる人が1人でも増えたなら、頑張った甲斐があるなあと思います。。。
そういった大切にしたいクリエイティブでご一緒できるように、
米がいることの付加価値も模索していきたいところです。
今回はこの辺で。それでは!
株式会社 米 / kome inc.
https://komeinc.com/