見出し画像

「ART MONTH 小松楼」アーティストとの交流・12月寒風編

町内でのリサーチ(ボートレース場と浜名湖沿岸)

 12月17日(火)、宮本華子さんは三度目の来町となりました。三本木歓さんは当初の予定から一か月遅れでの来町でした。実は、この日、宮本さんからのリクエストで関係各位にお願いしていた事がありました。
 一つ目は、浜名湖ボートレース企業団での見学です。ボートレースを見たいのか、企業団施設を見学したいのか、わからないまま、市役所から宣伝課の担当者に連絡を入れていただきました。この日は、最終レースの日で10時開場のため駐車スペース確保をお願いしたのですが、「何処でも、どうぞ」というご返事でした。小松楼で9時50分に宮本さんをピックアップ、私の車でボートレース場の指定されたパーキングに向かいました。現地に到着して「何処でも、どうぞ」の意味がわかりました。私の勝手な想像の真反対で、駐車している車は数えるほどでした。入場して説明を受けて納得したのですが、現在ではネット購入、ネット投票が大部分で、来場者は本当に少なくなっていたのです。

ボートレース(練習風景)
ボートレース場の屋外遊園地

 私は、1977年から1988年まで旧・新居町役場の職員でした。当時の仕事の関係で、このボートレース場には関係者として出入りをしていたのですが、いつでも駐車場が満車状態で、出入りにも苦労していた経験がありました。当たり前ですが、当時はネットが無かったからなのですが、学生時代、新居町駅でボートレースの観客(酔っぱらったり、ふてくされている、おじさんやおじいちゃん達)の行動に悩まされていました。この時のいや~な経験がトラウマになっているのです。館内に入っても職員の方が圧倒的に人数が多く、本当に開催しているのか、と疑ったほどでした。
 そのかわり、本来は見ることの出来ない場所まで案内していただき、宮本さんは興奮したり、はしゃいだりと楽しい経験をされたようです。
 12時から新居関所南側の居酒屋さんでランチ後、新居弁天の海湖館に向かいました。

豊千さんの「しじみラーメンランチ」

 この施設の一階に湖西新居観光協会の事務所があります。13時からは、この海湖館前から和船に乗って、新居町側の浜名湖沿岸と町内の水路巡りの予定だったのです。これも宮本さんの今回のリサーチの一環で、出来れば来年、和船に乗ってのインスタレーションを実現させたいという考えからの行動でした。ただ、元々、計画は一か月前の11月中旬で、12月中旬ではなかったのです。さすがに、12月は観光渡船は営業されていません。そこで、観光協会を通じてのチャーター船でした。私は、漁師ではありませんが、新居生まれ・新居育ちなので、12月に和船に乗って浜名湖沿岸を廻るという事が、どれだけのリスクを伴うのか、わかっているつもりでした。
 宮本さんには、事前に、極寒で空っ風だから想像以上に防寒・防風対策のウェアを用意するようアドバイスしました。その上で、拙宅から冬山用のウェアやブーツを準備してきました。観光協会の事務局長は私の役場職員時代の後輩なので、この12月にいろいろと手配をしてくれて助かりました。事務所内で私が準備した防寒着とブーツに替えていただき、乗船しました。まだ出航していない段階で12月の海風・からっ風を体験しておりました。経験豊かな船頭さんの操作で揺れを最小限に抑えていただきながら、今切れ口から鉄橋をくぐって、ボートレース場の周囲、新居町側の漁港、町内の水路まで約2時間、ご案内をしていただけました。私にとっても非常に貴重な体験をさせていただきました。

海湖館前から乗船
船上の宮本華子さん
三番鉄橋をくぐります

下船して、一度、今回の宿泊地である拙宅に荷物を降ろし、三本木さんが待っている小松楼に戻りました。三本木さんは、新居図書館に行っていて不在でした。結局、三本木さんは18時に小松楼で落ちあい、宮本さんは11月にも行っていた、小松楼近くの「みどり湯」という銭湯に行かれました。
 お二人が拙宅で再開出来たのは、18時過ぎでした。今回は一部屋にするわけには出来ないので、一階に三本木さん、二階に宮本さんの部屋になりました。この日は歓迎会ではなく晩御飯タイムでした。昨年、鰻が美味しかったと聞いていたので、鰻の蒲煮と牡蠣のソテーを提供しました。当地では、洋食鰻が安く入手できたためか、鍋の中で鰻の白焼きをタレで煮るという蒲煮が当たり前だったのです。今では、養殖鰻も高騰したため、鍋で煮るほどは購入出来なくなっています。私は、今日の和船で揺られたせいなのか、早々と失礼いたのですが、お二人で来年以降の取組みについて遅くまで話されていたようです。

拙宅での牡蠣と鰻

インスタレーションの搬出

 翌18日(水)、9時に着くように小松楼に向かったのですが、三本木さんを小松楼から徒歩3分の所にある本果寺に案内しました。昨年同様、町内を自転車で廻りたいとの事で、ご住職にお借りすることになりました。ここのご住所は、今年6月から新居まちネットの理事になっていただいており、お願いすることが出来ました。午前中は、お二人で周辺をリサーチ、ランチの後、小松楼二階に11月16日から展示していただいたインスタレーションの搬出となりました。この日は、18時30分からアーティスト、新居まちネットスタッフ、アートサポーター、アーツカウンシルしずおかスタッフによる「ふりかえり・まとめ」が予定されていました。ところが、宮本さんが夜間に用事が出来たため午後一で帰られました。その代わり、18時30分からはオンラインでの参加になりました。

小松楼二階での片付け
小松楼まちづくり交流館玄関で

ふりかえり・まとめ
 この日の参加者です。
 新居まちネット理事長、顧問、新居まちネット正会員1名
 アートサポーター3名、三本木歓、宮本華子(ZOOM参加)
 アーツカウンシルしずおか・若菜アシスタント・コーディネーター
 新居まちネットスタッフからもアートサポーターからの感想・意見は殆ど同じでした。

「ふりかえり・まとめ」の参加者

・11月は、昨年の写真、スケッチ画を一階で展示したため、流れで二階の展示に案内出来たが、12月になって一階の展示内容が変わってからは、案内がスムーズに出来なくなった。
・お二人が不在の期間が長かったため、作品の意図や目的について、適格にガイドできなかった。
・サポーターの一人としては、作家さんと直接触れ合うことが出来、人間性を感じることが出来た。
・サポーターの一人として、もう少し作品の説明が欲しかった。
・普通の人が持っている、普通の生活から生まれる芸術なんだと理解できた。
 来年以降の構想について、お二人に伺いました。
三本木さんからは
・昨年のMAW(マイクロ・アート・ワーケーション)の時に描いたスケッチ画40点を素材として、ストーリーにして映像化したい。
・昨年、廻った町内の中で気になった場所があり、可能ならその野外でのインスタレーションづくりをしたい。
宮本さんからは
・小松楼をメインとして、他の場所でも展示をしたい。
・今回の展示は「みんなでつくる」で設営できた。やはり、アートに関わる機会づくりとして「ワーク・ショップ」を考えたい。
・浜名湖の水辺での制作をしたい。
アーツカウンシルの若菜さんからは
・ただ作品の展示ではなく、プロセスから住民が参加するような展開が好ましい。
・サポーターも観客も、これからどうやって増やしていけるのか考えて欲しい。
・アーティストの滞在期間に地域住民ともふれあいや関りあいをどのように設け、広げていけるのかを考えて欲しい。
新居まちネット側からは
・来年、三本木さんと宮本さんが同時期に制作・展示するのか、別々にするのかも含めて検討したい。
・町内、住民にアートに触れる機会、かかわりの機会を広げる意味でも「ワーク・ショップ」は実現していただきたい。
・三本木さんは、明日(19日)午前中に新居関所隣のゲストハウスを見学していただいて、小松楼以外での制作・展示の可能性についても考えて欲しい。
 まとまった反省点も今後の展開・構想についても時間切れ、尻切れトンボのようになってしまいましたが、この一か月半、お付き合いしていただき、暖かく見守っていただいた方々に感謝して、本日の「ふりかえり・まとめ」としたいと、お礼を申し上げました。 

三本木さんとの交流

 翌19日(木)、昨日のお約束どおり、三本木さんは新居関所隣にオープン予定のゲストハウスのオーナーにその施設を見学させていただき、お互いのアートに関する思いを交換していただき、ランチまでお付き合いしていただきました。午後は、再び、新居図書館に出かけられました。
 この日の夜は、私が43年間継続している「新居・寄席あつめの会」で主催している「本果寺寄席」のスタッフであり、うちの奥様の「フラワー・アレンジメント」「お抹茶」の生徒さんたちとの合同コンパとなり、三本木さんをお誘いしました。17時30分から、小松楼から徒歩5分の場所にある「酒場さかい」で地元の肴での懇談会となったのです。途中から新居まちネットの顧問にも加わっていただき、昨晩の「ふりかえり・まとめ」では言葉に出来なかった小松楼や新居まちネット、湖西市新居町、南浜名湖での創作意欲などお聞きすることが出来ました。あまりアルコールが強くない?のに、お付き合い、ありがとうございました。

「酒場さかい」での三本木さん

 翌20日(金)は、帰られる日です。私は、この日、小松楼まちづくり交流館で丸一日仕事が入っていました。三本木さんは10時頃まで、拙宅のデザインに興味があったようで、外観・周辺を観察・撮影されていたようです。そして、小松楼に荷物を置き、自転車で町内をリサーチ、15時に戻ってきて、15時40分に小松楼から帰宅されました。

宮本華子さん、「VOCA賞」受賞。おめでとうございます。

 宮本華子さんから、12月の滞在中、二つのニュースがありました。一つは、12月6日発行の雑誌「美術手帖」2025.01号に、宮本さんが掲載されているという情報でした。141~160頁に「アート&デザイン学校ガイド」というコーナーがあって、女子美術大学・卒業生インタビューとして取り上げられいました。さっそく、この号を購入し、小松楼スタッフで回覧しております。

2024.12.6 発行「美術手帖」(美術出版社)

 今回、宮本さんは18日の午後に帰られたのですが、翌19日にビック・ニュースが伝えられました。
 東京の上野の森美術館で、2025年3月15日から3月30日に開催される「VOCA(ヴォーカ)2025」。その各賞の選考会が実施され、出品作家23組(24名)による作品の中かせ、グランプリとなるVOCA賞に宮本華子さんの「在る家の日常」が選出されました、
 2025年の開催で32回目となる「VOCA展」は、平面美術の領域で国際的にも通用するような将来性のある若い作家の支援を目的に1994年より毎年開催されている美術展です。本展覧会では、全国のアートの現場に精通した美術館学芸員、研究者などが担当し、将来性のある40歳以下の若い作家を推薦しています。
 いやぁ、昨年の「MAW」から、かなりフランクなお付き合いをさせていただいてきましたが、近い将来の大作家さんでした。
 ともあれ、おめでとうございます。








いいなと思ったら応援しよう!