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アフターデジタルという考え方について


1. はじめに

 私たちの生活において、デジタル技術は日常のあらゆる場面で欠かせない存在となりつつあります。最近、私が読み始めた『アフターデジタル2 UXと自由』でも、このデジタルの進化がいかに深く私たちの生活に影響を与え、時代を大きく変えているかが強調されています。こうした背景の中で、私たちは「オンラインとオフラインの融合」を意識し、これからの新しい時代にどう適応していくかを考える必要があるのです。今回の記事では、そんな現代のビジネスにおいて非常に重要なテーマとなっているアフターデジタルについて書いていきます。

2. アフターデジタルとは

「アフターデジタル」の言葉には、デジタル技術が社会に浸透し、もはや私たちが意識することなく生活やビジネスのあらゆる側面に取り込まれている状態を示す意味が含まれています。従来、デジタルとリアルは別々の領域と捉えられていましたが、アフターデジタルの時代においては、オンラインがオフラインに浸透し、双方が統合された世界となります。図で表してみました。⇩

REAL=オフライン DEGITAL=オンライン

図でわかるように、アフターデジタルの世界では、オフラインの存在が次第に小さくなり、デジタルが主体となる環境が当たり前になっています。
しかし、日本における※DX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みでは、リアルの体験の中にデジタルを取り入れる例が多く見られます。私自身の経験でも、アクセサリーショップでの買い物の際、店員さんから「このお店のアプリで新規会員登録すると商品が10%OFFになります」と勧められました。このように、リアルな場面でデジタル技術を利用することで、より良い買い物体験が提供されるのです。

この経験はまさに、「リアルの中にデジタルを取り入れる」一例です。「リアルの中でできればデジタルを利用して欲しい」という意思が感じられます。消費者が物理的な店舗で体験する購買プロセスにデジタルを融合させることで、顧客体験が向上し、企業側にもデータの活用や効率化といったメリットがもたらされます。

しかし、アフターデジタルの考え方では、このリアルとデジタルの関係性が逆転して考えられます。つまり、デジタルが主役となり、リアルの体験がデジタルに統合される形です。たとえば、ECサイトでのショッピング体験がリアルな店舗での買い物とほぼ同じか、それ以上に充実しており、オンラインでの活動が日常の中心となる世界です。このようなアプローチでは、リアルの要素がデジタルの補完的な役割を果たし、ユーザーの行動がデジタルを軸に展開されるようになります。
※DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用することで、これまでにない製品やサービスを創造したり、生産性向上、コスト削減といった新たな価値を創出したりすること

3. アフターデジタルの例

スターバックス専属配達員

『アフターデジタル2 UXと自由』で紹介されていたスターバックスが行ったデリバリーに関する取り組みについてご紹介します。

中国のデリバリーサービスであるウーラマと手を組んでいるスターバックスは、通常のデリバリーを提供するのではなく、ウーラマにスターバックス専属配達員を配備しました。
通常のデリバリーでは「決められた時間に間に合うように配達すること」を優先するため、デリバリーアプリ上で「30分後に届く」と出ていると概ね30分後に届きますよね。
しかし、この取り組みを行ったことにより、スターバックス専属の配達員は、1件の注文に対してその注文のためだけに1on1の配送対応を実施するため、注文後10〜15分での配達が可能になりました。

4. アフターデジタル時代に大切な考え方

 このように、アフターデジタルの時代では、単にデジタル技術を導入するだけでなく、顧客体験を根本から再定義し、いかにデジタルを駆使して独自の価値を提供できるかがビジネスの成功を左右します。スターバックスがウーラマとの連携を通じて実現した専属配達員による迅速なデリバリーは、その好例です。従来のデリバリーサービスが提供する「時間通りの配達」という機能的価値を超え、注文後わずか10〜15分という圧倒的なスピードでの配送を実現したことで、顧客に新たな価値を届けています。

これは、ただデジタル技術を導入したにとどまらず、「スターバックスらしいデリバリー」を追求し、パーソナライズされた顧客体験を提供するためにデジタルとリアルを統合したアフターデジタル時代の一例です。
こうした取り組みが功を奏し、スターバックスは過去3年間で最高の成長率を記録しました。

この例が示すように、アフターデジタルの時代では、企業はデジタル技術をただの効率化ツールと見るのではなく、顧客との関係性を深め、ブランド体験を強化するための手段として捉えることが非常に重要です。
これにより、顧客はブランドとより親密な関係を築き、企業はデジタルとリアルの境界が消えた新しい世界で競争優位を確立できます。

5. おわりに

 今回はアフターデジタルというテーマを通じて、現代のビジネスにおけるデジタルとリアルの融合について考察しました。
デジタル技術が進化し、私たちの生活に深く根付く中で、企業はただ単にデジタルを取り入れるのではなく、顧客体験を再定義し、独自の価値を提供することが求められています。

 今後もアフターデジタルの潮流が進む中で、企業は柔軟に対応し、進化し続けることが求められます。私も働いていく中で、この変化に注目し、より良い顧客体験を追求していくための考え方を身につけて、アフターデジタルがもたらす新しい可能性を感じ取りたいと感じました!


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