静かな帰省②

まずは、祖母に会いに行く。

祖母の家は、実家から車で1時間半ほど、山の奥深くにある。
私が入院してからというもの、娘である私の母が顔を出す度に、「ゆうなが、ゆうなが、」と私が産まれてからの回想を始め、毎回泣き始めるらしい。

話を聞くと、祖母の通院している病院に、脳梗塞の後遺症の残った20歳くらいの女の子が、リハビリに通っているのをよく目にするらしく、「ゆうなもあんなふうに…」と考えていたそうだ。

たしかに、『脳梗塞で入院した』と聞けば、普通は後遺症が残ったりそのまま亡くなったり、と考えることが多いと思う。不安になるのは仕方がない。


私のそこそこ元気な姿を見て、安心したようだ。1センチ近く伸びた坊主頭を、「かわいいがね」と褒めてくれた。

「おれが死なねえうちに孫に死なれたらたまったもんじゃねえからやめてくれ!」と笑っていた。しかし、ふとした瞬間に、見たことないような真面目な顔をして私の傷を凝視していて、空元気なんだろうな、と思った。


祖母の隣の家にも顔を出した。祖母より少し若い女性が1人で住んでいる。旦那さんを頭の病気で亡くしているため、病気のことを説明すると目が飛び出そうなくらい驚いていた。

20分ほど世間話をし、祖母の家に戻った。私はそのまま留守番、母と祖母は畑に野菜を取りに出かけた。

祖母は毎年野菜を育てていて、夏はじゃがいもから始まり、トマト、きゅうり、かぼちゃ、ズッキーニ、なす。
冬は白菜、大根、ネギなどを、ダンボール数箱分くれる。

一人暮らしの頃は、その数箱の野菜を消費するのに苦戦しつつも、それはそれは食費を助けてもらった。

スーパーでは見た事のないような、大きくて立派な野菜たちだ。特にトマトは、祖母の作ったトマトより美味しいトマトは無い!というくらい、味か濃くて美味しい。

その美味しい野菜たちを、今回ももらって帰った。
私たち夫婦が住んでいるところからだと、祖母の家まで3時間以上はかかるため、元気な姿を見せることが出来る貴重な1日だった。


医師から運転許可が出たら、次は自力で行きたい。






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