「宝石の国」考察 ※ネタバレ注意
宝石の国
市川春子
前々から「鬱漫画」として紹介されたりしてて気になってはいたが、最近YouTubeでアニメ全話無料公開されてたので観てみたら大ハマリし、漫画を既刊12巻まで読了。
めちゃくちゃ面白いし、美しいし、引き込まれるんだけど、とにかく鬱で不快になる漫画。
何でこんなに鬱で不快になるのか考察。
・基本情報
▼人間
→六度に渡る小惑星の衝突により地上から姿を消す
→海で魂・肉・骨に分かれる
①魂=月人
ついに清らかな新天地を得、再興を目指し肉と骨を取り戻すべくさまよっている
天敵がいるわけでもないのに争いを好み、満足することがない。その理由なき焦りようは、かつてにんげんがそうだったからかもしれない
仏教の天女のような見た目
実は…
本当にかつて生きていた人間の魂
生きている人間の祈りによって無に帰る事ができるが、今の月人達は取り残されてしまっている状態
金剛先生の祈りによって無に帰りたいので、色々とちょっかい出して祈らせようとしてる
②肉=貝?=アドミラビリス
フォスを飲み込んだナメクジみたいな種族
「にんげん」から生殖と死を細やかに繰返しながら知を重ね紡ぐ性質を受け継いだ
骨を取り込んで殻を作る
2巻20ページ
先生「私たちと有り様は異なれど貝殻も宝石のひとつ…」
ウェントリコスス
死がどういうものかピンと来ないフォスに対して
「呼ばれても、もう自分が誰なのかもわからなくなっとるんじゃ。ただ…死は何もかも台無しにする代わりに生を価値あるものにする。そう悪いものではない」
フォス
「(僕ら宝石は)忘れることも消えることもできないから、行くしかないよ」
③骨=宝石
他の生物(金剛の事?)と契約し、長い時を渡る術を身に付け、陸に戻った
不死。
鉱物の内部にインクルージョンという微生物が入り込み、動く。
種類によって硬度に差があり、衝突すると硬度が低い方が割れる
一番年上がイエローダイヤモンドで3500歳以上
一番年下がフォスで300歳程度
読者が鬱で不快になる7つのポイント
以下7つの理由により、読者は違和感や不快感を抱く(恐らく作者の意図によるもの)、と思う
①主人公に「個人」としての連続性が無いのに、読者は「変わらないフォス」として見続けてしまう
「宝石は身体全体に記憶を含有している」という設定が重要=身体を欠損すると記憶が失われる→新たな素材で補うと人格に影響する
(ルチルやアレキが示唆)
アレキ「欠けた身体を別の素材で補うと新しい体質に合わせて自分を作り直すのかしら。興味深いわ」
フォス→手足を失って新たな手足を獲得していく
頭まで入れ替わる
→フォスは「自我が保たれている」と言っているが、実は足が貝とアゲートになった時点から既に連続性が失われている=フォスではなくなっている
(1/3を失っている→ジェードを忘れている)
(ウェントリコススに飲み込まれて溶かされ、貝殻の一部になった時点で、アドミラビリスとしての特性も備えた?→アドミラビリスの言葉がわかるようになった)
読者は「ドジで無能だけど茶目っ気があって優しい末っ子」としてフォスを捉え続けているので、途中で容姿が変わったり人格が変わったりしていても同じフォスとして見ようとしてしまう
→普通に主人公の成長物語として読んでいると、フォスの行動や言動の変化が理解できず、物凄く不快
②フォス以外の宝石達のフォスへの(不自然なほどの)無関心
月に行った宝石、行かなかった宝石→双方ともフォスとの関係が悪化、または希薄になる
一番頼っていたはずのシンシャまでフォスがいなくても幸せ
③主人公の行動によって狙って良い結果に繋がっているわけではない、というかことごとく(その時点の)フォスにとっては悪い結果になる
⇐結果的に当初のフォスが望んだ結果(エンマの思い通り)にはなっている
④主人公以外の宝石が主人公ほどの犠牲を払わずに幸せになっている描写
(特にカンゴーム。とにかくムカつく。)
⑤主人公が普通に嫌なやつになっていく
⑥主人公ばかりがとにかく酷い目に遭う
⑦誰にも悪意が無いはずなのに、状況がどんどん悪くなっていく(主にフォスにとって。エクメアだけは例外的に極悪非道?)
特に重要なのは①で、従来存在すると思われ、自由主義の前提にもなっていた「連続性のある自己」は実は存在しないという事を作者は示唆していると思われる。その他のポイントについても、ことごとくリアルに起き得る事ばかり。
現実に疲れ、ファンタジーに逃げようとしている人を完膚なきまでに打ちのめすハートフルボッコ漫画である。でも、そこが好き。
appendix
▼フォスの変化①
アゲート→猛烈に足が速くなる
宿主の脆弱な身体のせいで力はあるが本領を発揮できなかったインクルージョンの鬱屈が爆発した?
代償→アドミラビリスの昔話とジェードを忘れている
▼フォスの変化②
金と白金(合金)→腕が伸びる
代償→アンタークを失う。シンシャを忘れかけている
ボルツ「強くなって満足か」
フォス「いいことがない」
ボルツ「だろうな」
→かつての願いが叶った頃には、もう違う自分になっている?
▼先生と月人との関係
シンシャ「みんな知ってる」
「暗黙のうちにそれがどのような間違いでも先生を信じると決めた」
シンシャ→審判中
フォス→本当の事が知りたい
破裂→「僕の最初の願いはなんだっけ」
→月人に聞くしかない
パパラチア
「清く正しい本当が、辺り一面を傷付け全く予想外に変貌させるかもしれない。だから冷静に、慎重にな。」
フォス→シンシャ
「ひとりでは正しく景色が見えているかももうわからないんだ。いつもそばで君の審判を聞かせてほしい」
フォスとゴースト
表面が剥がれたゴーストをアンタークと呼ぶ
「ゴーストでもアンタークでもいいんだ。とにかく僕のせいで誰かが捕まるのはいやなんだ。」
「秘密にもたどり着けない。取り返しがつかない。結局何も」→自分で自分を粉砕
ルチル
「合金がフォスを握り潰しているように見えます。先日真っ二つになったとき合金は動きませんでした。」
フォス
「幻覚はきっと僕が見たがってるから見るんだ。誰かに頼りたい甘い気持ちがあるせいだ。」
破裂する月人に突っ込むフォスにカンゴーム
「お前の勇気は軽率なんだ」
⇐フォスはアンタークに言われた勇気を実行している?
先生
「このゲームは最初から特定の結果に至るように作られていない。だからずっと遊んでた。造ったものの終わりまで考えてはいなかった。そうですね?」
頭を失ったフォスにラピスラズリの頭
フォス→5種
ラピス→6種
双方に自我がある→合わせた時どのように作用するか想像がつかない
頭部を付けることでフォスの比率が半分を下回る
インクルージョンの無い新しいフォスフォフィライトか実績のある合金かアゲートが好ましかった
→目覚めてもフォスと言えるかどうか…
⇐カンゴームは自分の頭をもぎ取ろうとする
日常的に合金を伸縮させる度、フォスは少しずつ擦りきれこぼれていた
→フォスは100年眠り続け、その間カンゴームがずっと冬の担当をしていた
→目覚めてすぐカンゴームを覚えていた
素手で顔に触れても傷口が開かない=インクルージョンが馴染んだ証拠
夢のラピス
ラピスも月人との戦争の意味について疑問を持っていた
「僕らは身体が欠けると内蔵する記憶も失うけどよほど大量でなければ自身の連続性を失うことはない」
「君は特に自己を保てる体質みたいだね。とにかく記憶の詳細は失われるが経験としては蓄積されている。そこに何かがあった跡は残るわけだ」
遠い海で聞いた昔話
先生の独り言
月人の発した音
「今までの表層を彷徨うだけの考え方ではだめだ」
・先生と月人の本当の関係を知る
・シンシャの協力を得られる材料を掴む
・アンタークとゴーストを取り戻す
⇐「このくらいなら今の君で一度に解決可能な道がひとつだけ見えるなあ」
→目覚めると、細かいところまで気持ち悪いほどよく見えるようになっている
新モルガにフォス
旧モルガはきっと新モルガを気に入ると言う
「本当だとも。いつか僕が会わせるから訊いてみて」
(旧モルガを月から連れて帰るという強い意思)
⇐モルガとゴーシェを覚えていたのはラピスの頭だから
月の王子
「動物である人間が死と言われる活動停止の状態を迎えた時、人間を構成している肉と骨と魂のうち、肉と骨は星に還る」
「一方これは人間文明の末期に判明したことだが、魂は肉体から放出されたのち分解され純粋な魂の元素となり宇宙のある一点に辿り着く。そしてそこから別の宇宙と呼ばれる領域へ吸い込まれる。ここまでは実際に観測されていたようだ」
「別の宇宙とは永遠の無で満たされ何者にもならない安寧の世界と予測されている。だが余計なもの一切を取り除かれた純粋な魂の元素でないとそこへは辿り着けない」
「魂の分解には質は問わないが生きている別個体の人間の祈りが必要だ」
誰の祈りも得られないまま月に座礁し変容した人間の魂の集合体=月人
人間が最後につくった祈りのための機械=先生
⇐人間の肉体は元より魂までも瞬時に分解する恐ろしいほど強力な破壊装置
フォス
「先生がいなくなれば僕らを襲う理由もなくなるんだな」
王子
「破壊し尽くされては困る。しかし、もう少しだけ狂わせれば事態は変わるかもしれない」
しろ=本当に金剛が可愛がっていた犬の魂。月に流れ着いたものをあの形に再生した。
無になりたい理由
「皆を早く自由にしてやりたい。楽しそうに見えるだろうが、皆無理をして疲れはてている。夜眠り、朝起きて、食事を摂り糞をして誰かと対話し和解し愛し合いいがみ合う。絶えず進展していない不安におかされ、無理に問題を探しだし小さな安心を得る。永久にその繰り返し」
「永くを彷徨う我々にこの人間の野生はもう合わない。苦痛だ。なぜかずっとこびりつき逆らえないひどい呪いだ」
「君が我々を救ってくれる気がする」
フォス
「何一つ想定と違う。考えろ。正気に戻れば崩れる」
合成宝石と本物の違い=インクルージョンの有無
先生が体験したことのないこと=宝石の裏切り
フォス→監視のため左目を合成真珠(我々の知恵の結晶)にされる
その直後に人間の素のカット→合成真珠に人間の素が入っていた?
フォスの二つの目的
先生から宝石を引き剥がす
月から技術をもらいうける
(砂になったみんな戻す。シンシャの毒を取り除く)
月に連れ戻されそうになるフォス⇐メロン、ヘモミル、ベニト、ネプチーが助けようとする→結局ボルツと先生が来る
戻ってきたフォス
何も覚えていないフリ→僕らの希望
読者にもみんなを騙している罪悪感?
相手の弱みを突き自発を促す
ルチル→パパラチア治せるかも
ダイヤ→ボルツがいない場所に行きたい
イエロー→かつての仲間
⇐アレキ、スフェン、ペリドットも仲間を取り戻したい
ベニト→意外と月に興味ありそう。みんなの中でもすごく普通→月人みたいな変なやつに憧れる
「ネプチーが相当変じゃん?ずっと一緒にいるとさ、普通って意味があるのかなって時々自信なくすんだ」
ユーク
相手を試すような感じには覚えがある→ラピス
月から帰ってきたのは、本当にフォスかしら?
シンシャ
それじゃ先生がかわいそうだ
俺は行かない
フォス「月なら毒を抑えられるかもしれない」
シンシャ「それでも」
ルチル→パパラチアだけ連れ去られてブチギレ
イエロー&アレキ→月の砂を見て自壊
残された仲間→自壊しながら仲間を追い続ける
先生
「私に幸福を与えてくれた君たちに新しく清らかな地を用意したかった。今に至るまで解決の道を探したが制約のある私では君たちを犠牲にしながら闘争を永続させ理想とは程遠い現在の状況を維持することしかできなかった。本当にすまない」
「ここから先は私を置いていきなさい」
「君らの仲間であるかつてのフォスフォフィライトについていくというのもひとつの道だ」
「かつての」⇐今は違うと示唆…?
「彼にしたがい私を排除することを推奨する」
→ユーク「今日からやり直しを提案します」
「歪だからと過去を断ち切っては僕らはずっと幼いままです」
違う存在として協力し補い合えば違う結果が得られるはず
→フォスフォフィライトの考えより正しいかは別として一時的に承諾する
アンタークを元に戻せないことを知ったフォス
「先生をぶっ壊しに行こう!すぐ行こう!」
パパラチア
「壊れた先生に祈らせる、だろう?」
完全に壊したらみんな砂になる→アンタークだけでなく全員戻らない
月に戻ったフォス
「シンシャが本気で僕を襲ってきた。ユークと話して、カンゴームに殴られた」
「月人から見た僕は宝石で、皆から見たら月人だ」
「僕は何だ」→破裂
フォス
武器を持たずにユークを通じて先生と話し合う
もうそれしか思い付かない
エクメア
予測していたように祈りに対する準備を指示
「スムーズな進行だ」
フォス、武器を持たずに地球に行くが、到着してすぐボルツとシンシャにボコられ拘束
→先生と会い、祈らせようとするがみんなに攻撃と勘違いされフルボッコ
→断片を全員に隠されて220年経過
→みんながやっとフォスを忘れたので先生が組み立てる
→ブチギレて先生の両手を掴み、祈らせる
エクメア
実は金剛が祈ると月人だけでなく宝石とアドミラビリスも無になる事をカミングアウト
→フォスには都合の良い事しか言ってなかった
→すんでのところでユークとボルツがきてフォス逃走
→パパラチアがゴーシェに連れられてくる
→パパラチア、ルチルに胸の合成宝石を投げて倒れる
→その隙にフォス回収
フォスは右目(合成真珠じゃない方)と身体の大部分を失っている状態
フォス
「金剛に助けられた。金剛はまだ僕を愛している。」
「邪魔がなければ金剛は祈った。必ず祈った。必ず祈る。僕のために。」
「次は僕の邪魔をする全ての宝石を粉にする」
→シロに潰される
エクメア、フォスの修復を指示
「特にこの二百年の記憶は大切に扱ってくれ」
→最初からフォスを人間にしようとしていた?
先生
何故か流氷のそばでフォスの右目を持っている
アンタークは先生が宝石とは別の生命体だと知っていた⇐流氷から訊いていた?
「一定の速度で気温が上昇している」
フォスの夢
高いところで楽しそうな地球の皆
ユーク「あなたは生まれつき弱くて」
シンシャ「初めから間違えた」
ボルツ「できることなどひとつもない」
ダイヤ「変われないのに」
ゴースト「全部無駄にした」
旧モルガ「三半は」
旧ゴーシェ「かわいそうに」
カンゴーム「誰からも愛されない」
アンターク「お前さえいなければ」
修復中に意識が戻ったフォス→バルバタや周囲の月人を殺戮
フォス
「早く全ての宝石を砕きたい。全軍をくれ」
ダイヤとアレキとベニトが一緒に行く事に
砂から宝石を戻す研究を続けたいというアメシストにフォス
「宝石を砂から戻す必要はない」
「早く地上の全てを破壊しなくては」
先生
「まだか、エクメア」
全面戦争
ダイヤVSボルツ→相討ち
アレキ&ベニトVSその他大勢→相討ち(ほぼ地上部隊は全滅)
フォスVSユーク→降参し、月に連れていって話し合わせてほしいと懇願するユークにフォス
「僕が必要?」→ユークの頭を吹っ飛ばす
「僕は誰も要らないんだよね」
ルチル&パパラチア→月人にやらせる
フォスVSジェード→フォスの勝ち。脚を掴んで何度も壁に打ち付ける
ジェード
「お前のことをわかってやれなくて、すまない」
フォス
「は?何を言ってるんだ?わかる?何を?今さら」
フォスVSシンシャ
フォス
「お前は利用されているだけだ。僕を退けるために」
シンシャ「知ってる」
フォス「本当の仲間などいない」
シンシャ「そうかもな」
フォス「無様で哀れだな」
シンシャ「知ってる」
フォスの勝ち
シンシャ
「お前のおかげで、みんなと仲良くできた。楽しかった。ありがとう、約束を」
フォス
「僕は何をしているんだ。」
「そうだ、金剛を祈らせるんだ。金剛が祈れば月人は消えて戦争は終わる。そうしたら君と皆を元に戻すから。待ってて…」
「約束って何だろう」
→身体から水銀が溢れ、頭が形成される(元のフォスの頭ではない?)
フォスVS金剛
「先生。僕の仕事はあなたを祈らせることです。祈ってくれますね」
金剛
「すまない」
フォス
「なら、壊れろ」
→金剛、壊れる
「私に仕事の終わりを告げてくれる人間をずっと待っていた。ありがとう」
「私の右目を取りなさい、そうしてただ一心に幸福を祈りなさい。さすれば」
右目を取るフォス→エクメアが来て手を差し伸べる
フォス
「まさか、初めからこれを取り出すために…」
フォスVSエクメア
エクメアに圧倒されるフォス
「幸福、幸福がほしい」
右目を装着→エクメア消える
「みんなを戻さないと…」
→学校に戻るが、金剛を含めて誰もいない
▼エクメアの陰謀
エクメア
「最も人間的な感情は復讐だ」
カンゴーム
「人間ってのは、フォスフォフィライトみたいなやつなのか」
エクメア
「金剛を外部から意図的に動かすには自発的に金剛に祈りを請う人間が必要なわけだが、最近になって本物のホモサピエンスよりもむしろ宝石を基礎とした疑似人間の方が金剛の査定が甘くなることがわかった」
「もう人間はできてるんだ」
「フォスフォフィライトは生まれてから三百年間、脆弱な身体に不釣り合いな承認欲求だけを抱え、金剛ですら仕事を与えられず、自ら役割を造り出すこともできない空虚な存在だった。そこに可能性があった」
「フォスフォフィライトなら自らを満たすため変化を受け入れるだろう。人間から分かれた残り二族を自然な過程で獲得し自発的に活動する疑似人間となる機会を無数に与え続けた」
「そのうち僅か二つが実を結び、アドミラビリスの強い脚と新しい器用な合金の腕を得るに至った。だが、それでも彼は純粋すぎた」
「飛躍はラピスラズリの頭が付いたこと。ほどよい賢さは猛毒だ」
「そしてついにフォスフォフィライトは月を訪れ、三族を得、生の終わりを願うに足る絶望と復讐すら覚えた」
「みんなの協力であの子は立派な人間に育ったよ」
「金剛はもう祈らない。とりあえずあの子(フォスフォフィライト)には人間を超えてもらおう」
「僕らに子どもという存在がいたとして、彼の本当の幸福を思うなら、この三族の行き詰まりとは違う未来を贈りたいんだ」
流氷=金剛の兄弟機
隕石飛来の予測を意図的に外し地上に当てた
地上の主権を人間から取って代わろうとした
結果は壊滅的ではなかったものの当然廃棄された
その後継機である金剛は厳しすぎる制御を受けることになり今の状況の遠因をつくったわけだ
人間はその機械不信から立ち直れないまま立て続けの隕石で滅亡
流氷は薄弱な意思となり海を漂い続け、今は流氷の姿で冬の海に現れる
うちの軍に姿を似せて復活の協力を求めているんだ→フォスフォフィライトが腕を取られたのも月への媚び売りの一環
月人化した金剛
「私を解放するものは本当に現れた。いつか君が慰めてくれた通りだ」
月人化
別の月の特殊磁場の奥深くの氷に放出したインクルージョンが漂着しているのが見つかり回収できた
記憶情報を元の宝石に戻すことはできないが、月人として復活させることは可能
固有の輝きと色はなくなるが、軽くて性質差がなくなってコミュニケーションの幅は広がる
→希望をつのる
ラピスは頭部の記憶量が足りなくて再生できなかった
フォスが金剛の機能をインストールするまで1万年
安定を優先し、接触を絶つ
金剛
「彼の人間性は壊れた私にのみ有効な不安定な物。中途接触は彼の個体性を瓦解させる可能性がある」
ユーク
「確かに彼は特別になるのが夢だったでしょうけど、私たちは幸せで彼への感情を忘れてしまうでしょう」
「フォスだけが残るのね。彼にできることはもうないの?」
金剛&エクメア
「ある」
⇐未回収の伏線?
フォスはひたすら金剛の記憶を反芻
博士→金剛
「あ、そうそう」
「渡ったら橋は燃やして」
⇐未回収の伏線?
「渡る」=「無に帰る」事?
「橋」とは無に帰る手段=祈り手=先生?⇐先生に「渡ったら燃やして」と言っているということは、先生ではない→フォスの事?
博士が初めからフォスのようなサクリファイスを想定していたのだとしたら、むちゃくちゃ怖い
→フォスは永遠に独り