洞毛(どうもう)
漫画の能力表現において、動物はクラシカルな手段だった。
ゴリラのような怪力、犬のような嗅覚、ウサギのような跳躍力。人間が超能力を思う時、私たちと同じ世界を生きる動物たちをイメージするのは自然なことだった。
怪力や驚異的な嗅覚といった派手な力が注目される一方で、地味ながら驚くべき能力を動物たちは持っている。
例えば洞毛。これは哺乳類の口付近にある毛状の感覚器官で、猫のひげ等がこれにあたる。人間は体毛は生えているが、洞毛は一本も生えていない。
洞毛には神経が通っており、小さな動きや空気の流れを感じ取ることができる。空気の流れを感じ取ることで闇の中でも動きまわることができる。
猫はこの洞毛が前足にも生えている。捕獲した獲物に息があるかどうか、前足の洞毛で感じ取ることができる。
遥かな想像の余地を感じないだろうか?
人間が洞毛の能力を得ることで、空気の流れを感じる能力が飛躍的に上昇する。人間が持つ五感に新たな感覚が生まれる。皮膚感覚が数m四方へ拡大したような超能力。
それを人間の持つ驚異の視覚と結びつけることで、空間把握能力が格段にアップする。
ぼやっとしか感じ取れなかったものがもっとはっきりと感じ取れるようになるかもしれない。例えば幽霊とか?
動物はこれ以前もこれからも、能力表現の偉大な先生だ。
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