雨に見惚れる。
今日は、暑季に入ってから久しぶりの長雨だった。
急いで洗濯物たちを取り込んだあと、
リビングに面した小さなバルコニーから
その様子を静かに眺めていた。
なにげに、雨が降るのを見ているのが好きだ。
黒い雲が、さわそわさわとやってきたかと思うと、遠くから雷もあっという間にやってきて、
稲光とともに近くに落ちた。
最初、一粒一粒が、見えるくらいの雨だったのが、靄がかかったように、やがて辺りは
モノクロの世界になった。
それから、雨はまるで風にそよぐカーテンみたいに揺らぎながら降りつづけた。
その姿が、ただただとてもとても美しくて、
ずっと見惚れていた。
雨とペトリコール。
東京にいた時は、雨が降る前に匂いがするから
なんとなく降るなぁと、何となく分かったりしたものだけど。タイでは雨の前の匂いが不思議としない。
だからタイの雨は突然やってくる。そんな感じがする。
そういえば。乾季の終わりにも一度だけ、
こんなふうに長雨が降ったことがあった。
近くの大きな通りは、冠水して川になっていた。
聞けば、雨のときはいつもそうなのだという。
初めてその川を見た時は、とても驚いた。
そのほかにも、乾季は空気が汚れていて(PM2.5の数値がとても高くなる)、それらを抱え込んだ乾季の雨には、なるべくあたらない方がいいというはなしを聞いた。
でもその時に、わたしより長くタイに住む日本人の友達が教えてくれたはなしが、とても好きで
雨が降ると、いつもそのはなしをおもいだす。
タイでは乾季にいっとき雨が降る。
その雨は、マンゴーの花が花開くために
必要な恵の雨なのだ。
土地土地にある、風土に根付いたそういうはなしが好きだ。日本だと、穀雨の頃に田植えが始まる、とか。
どうしてか。どうやら、やっぱりわたしは、 雨が好きみたいだ。
\ 雨にまつわるおはなしを、もうひとつ /