訪ね人なるもの
【めっちゃダイジェスト】おなかはぺこぺこ、たまごはぺったんこ、いちゃいいちゃい。
ある日、私が赤子と二人でゆっくり過ごしていた。
赤子はお昼寝タイムに入りたいそう暇だった。
ピンポ~ン
とチャイムが鳴った。
はて、今日は来客の予定もなし。
誰だろう?と思い、外に出ると知らないお姉さんが大きなカバンを持って立っていた。
「こんにちは!保健センターの者です。ちょっと見てくれるかな?」
と、そのお姉さんは玄関に入り込んできた。
そして、おもむろにカバンから絵本や知育玩具等を出した。
突如の玄関でのお店屋さんである。
お姉さんは、はらぺこな虫の絵本や数の知育道具などを見せてくる。
お前は保健センターの人間ではなかったのか?
それとも保健センターではこのやうな活動が始まったのであろうか?
保健センターだと言うので話を聞いていたがよくよく考えて、数ヶ月の赤子にこんなものはいらない。
しかし私は赤子も寝ていて、家事も終わりそれはそれは暇であった。
そこで保健センターなる人の話を伸ばし伸ばしにして暇つぶしすることにした。お話をきちん聞くことにした。
「ほら、このはらぺこな虫の絵本!人気あるのよ〜。」
「気持ち悪ーい。本当に人気あるの?」
「でもこれは知育にとても…」
「虫ってこんなに食べるん?うちの子はまだ5ヶ月ですよー。絵本いるんかなあ?」
……。
お姉さんは黙り、別のものを出してきた
「ほら、これ!ここにはめ込みながら形を覚えていくの!」
「えー可愛くなーい!!!」
……。
「これはねえ、数字を覚えるために…」
「普通に物使っても数えた方がいいよ。」
……。
お姉さんの出すもの出すものに屁理屈を述べる。
「これでね、なんと毎月◯◯円払っていくらになるの!安いでしょ!」
「ふーん…」
そのうち、そんな話を無視し私の「うちの息子ちゃんがいかに可愛いか」のお話会が始まった。
お姉さんは黙って笑顔で聞いていた。
彼女は保健センターと名乗ったのだ。育児中の息子の話を聞くのは仕方あるまい。
しばらくすると
ピンポ~ン
またチャイムが鳴った。
はて、来客…(以下略)
「お布団のクリーニングに…あ…」
お姉さんと布団クリーニング屋は複雑そうな笑顔で頭を下げていた。
「あーいりません、帰って〜。」
と笑顔でさよならバイバイ、割引チケットだけは頂いておいた。もれなくお姉さんも貰っていた。
お姉さんに
「布団のクリーニングなんてあるんですね〜、えーとどこまで話したっけ?」
と笑顔で話し、更に話を続けようとした。
しかしお姉さんの笑顔はお面が貼り付いているようになってきていた。
それスルーし私は楽しく話を続ける。
お姉さんはもう無理と思ったのか、
「もう、買うのか買わないのかはっきりして!」
「え?いらん」
と言うと、お姉さんは悲しそうにお店の片付け始めた。
買ってもらえると思っていたのだろうか?
いやいや、お話を聞いて欲しいと言ったのだから聞いただけだ。
途中で脱線した事は反省するが(反省してない)聞いて、と、買って、では話が違いすぎる。
また遊びに来てね〜、と言ったが残念ながら二度と来てくれなかった。
*後日、本物の保健センターのお姉さんが「それは偽物だから気をつけてね!」と保健センターの人だという証拠を見せてくれた。