藤田富/元BGメンバーインタビュー
今回のインタビューは藤田富。よぢとむもんという3人組でDOKUMO BOYS&GIRLSの象徴的存在であり、今のインフルエンサー業界のオリジネーターの一人だと思う。そんな彼に、よぢとむもんについて、俳優、会社経営者としてのこと、そして読モファンならみんな知ってるある事件にまつわる話を聞いてきた。
丸本貴司(以下:丸)「表舞台に出始めるようになったのはいつくらいなの?」
藤田富(以下:ト)「浪人生のときにサロンモデルで表参道歩いていたらスカウトされたのがキッカケですかね。無料で髪が切れるからラッキー!くらいの感じでしたけど。」
丸「その頃はモデルになりたいっていう強い気持ちがあったの?」
ト「いや、ほんとその頃は全然なくて、大学に受かってからまた再開しました。」
丸「再開してからはどうだったの?」
ト「サロンの撮影は増えたんですけど、雑誌モデルとかは全然でした。その当時は米さん(米重晃希)とかゴンくん(鈴木勤)とか町山くん(町山博彦)がすごい人気で雑誌に出てて、当時は鈴木勤くんに憧れていて、会ってみたいな、とかゴンくんみたいにいっぱい雑誌に出たいなって思うようになってきました。だからゴンくんの服装とか真似たりしてましたよ。それでどうしたらいいかわからなかったのですが、ツイッターで「撮影の仕事したい~」みたいなことをつぶやいたら、丸さんからDMが来たんですよ「DOKUMO BOYS&GIRLSの撮影する?」って。覚えてます?」
丸「覚えてるよ~、実はその頃、読モ界隈では藤田富っていうクソイケメンなサロンモデルがいるって噂になってたんだよ。」
ト「なってたんですかね? 知らなかったです。」
丸「最初、DOKUMO BOYS&GIRLSって言われてもなんのこっちゃわからなかったでしょ?」
ト「わからなかったけど、サイト見たらコーデを撮るみたいなことなんだろうなって思って、ぜひって返しました、確か。」
丸「BGはコーデをアップしていくのはもちろんなんだけど、あのチームの輪の中に入って、そこで友達になった人達と絡んでる姿がツイッターで見れるっていうところで、フォロワーが伸びてたよね。」
ト「そうですね。いろんな友達ができて、フォロワーも伸びて雑誌にも少しづつ呼ばれるようになりました。」
丸「BGといえばやっぱり“よぢとむもん(こんどうようぢ+藤田富+大倉士門)”だと思うんだけど、富が入ったばっかりの頃ってようぢと士門ってもう人気だったっけ?」
ト「いや、ようぢ君は人気あったんですけど、士門くんは僕と同じくらいに雑誌に出るようになった感じでしたね。」
丸「富ってさ、どうやったら上にいけるかって冷静に分析して実行するタイプだと思うんだけど、BGが始まった頃はなんかやってたことあった?」
ト「僕はとにかく自分の周りの人気の人のいいところを全部真似してやろうって思って、実際取り入れてました。例えばようぢくんの美意識とか、個性的なところとか、いったん人気の人のいいところを真似することで、いづれそれが自分のものになってるんじゃないかなって思ってました。」
丸「なるほどね。当時俺の覚えではツイキャスを定期的にやって、すごい伸びてたイメージ。」
#当時はツイキャスをやることでツイッターのフォロワーが急増していた
ト「やってましたね。それこそツイキャスもようぢ君がやってるのを見て、真似て自分もやってみることにしました。その頃のトレンドものは全部ようぢ君を見習ってやってましたね笑。」
丸「富は配信する時間を毎回定期にしてやってたよね。」
ト「時間は固定してやってました。あといろいろ試してみて、配信の内容を企画ものにすることで視聴者数がどんどん増えていきました。例えば“コンビニで10種類のお菓子を買ってレビューします”とか、企画を決めることで僕自身やりやすかったし、視聴者も喜んでくれました。」
丸「今でいうYouTuber的な感じだね。」
ト「僕は話術があるわけではないので、企画ありきでやることで飽きさせずにできたのかなと思います。」
丸「それも冷静に自分にあった形を分析してたんだね。」
ト「最初は同時視聴者数が何十人ってくらいから初めて、マックスで5000人くらいまで増やすことができました。」
丸「ツイキャス以外でやってたことある?」
ト「BGに入ったと同時くらいに、WEGO竹下通り店でスタッフとして働くことにしました。それは当時は人気読者モデルになるための鉄板の道でしたからね。」
#WEGOショップ店員からは 、北村諒(現在、俳優)佐野ひなこ(現在、タレント)、こんどうようぢ(現在、ブランドデザイナー、インフルエンサー)などなど、人気モデルになる登竜門として機能してた
丸「あの頃そうだったね~。」
ト「なので、そうやってWEGOスタッフから人気出てた人がいっぱいいたので、それも真似をしようっていうことで働くことにしました。」
丸「フォロワーがドバ~って増えてるときってどんな心境なの?」
ト「もう本当に、クソ調子に乗ってましたよ笑。丸さんわかると思うんですけど笑。」
丸「まあいきなりいろんな人から注目を集めるから一回はそうなるよね笑。」
ト「でも、上には上がいたから、そんなにずっと調子に乗ってるわけではなかったですね笑。」
丸「次の敵は誰だったの?」
ト「う~ん、町山くんかなって思ってました。」
丸「あ、そうなんだ。俺は勝手に、よぢとむもんのライバルはあの頃は雑誌『CHOKiCHOKiとか』のキングたちだと思ってたんだけどね。」
ト「まじっすか、それは考えたことなかったすね。」
丸「よぢとむもんってそもそもどうやって集まるようになったの?」
#よぢとむもんで新年早々テレビ番組 (Mx)の司会を務めるなど、SNS有名人から芸能人の階段を上り続けた
ト「士門くんとは雑誌の撮影とかでも一緒になるようになって、それでかなぁ。でもそんなに仲良いわけじゃなかったですけどね、最初は笑。ようぢくんは自分の家から近くて、ようぢくんが一人暮らししてたのでしょっちゅう一緒に遊んでましたね。うーん、3人で集まるようになったのはなんでなんだろ?丸さんの戦略?笑」
丸「いや、のちにXOXになる、だおばとまん(志村禎雄+とまん+バトシン)は戦略的によぢとむもんに倣って作ったけど、よぢとむもんは勝手に3人でやってたよ笑。」
ト「あ、そうだ、ようぢくんは士門くんと元々仲良くて、僕はようぢくんと仲良くて、ようぢくんと仲良い同士で3人集まったって感じだったのかもしれないです。だからぶっちゃけると、その当時は士門くんとそんなに仲がいいわけではなかったですよ。士門くんと二人で遊ぶことなかったですもん。」
丸「そうなんだね。昔のことすぎて、俺もあんまり覚えてないや笑。でもそっから3人が飛びぬけて人気になっていったから、3人でWEGOで来店イベントやったり、コレクションに呼ばれたりし出したね。よぢとむもんの来店イベントは俺の中ではすごい想い出に残ってて」。
ト「何でですか?」
丸「WEGO広島店で来店イベントやったとき、すごい人だかりで。SNSの力でこんなに遠い場所にまで待っててくれる人がいっぱいいるっていう光景に、時代が変わったんだなって思ってね。あとWEGO札幌店での来店イベントで3人でやるのはラストにしたんだよね。」
#WEGO広島店でのイベントのついでに遊びに行った広島の嚴島神社 。青春!
ト「そうでしたっけ?」
丸「覚えてないの?もう無理だってなった理由とか。」
ト「全然覚えてないです。」
丸「チェキ会ってグループショットで撮るけど、推しが隣に来てもらえるっていう指名ができるんだけど、3人とも自分が一番だっていうプライドがあるから喧嘩して大変だったじゃん笑。」
ト「いや、それ俺はないですよ!」
丸「そうだっけ?一番気にするのは士門だったっけ?」
ト「そんな気がしますね笑。俺はそれぞれのスタイルがあるから、別にそこは競わなくてもいいかなって思ってましたよ笑。」
丸「他にも雑誌『Samurai ELO』とDOKUMO BOYS&GIRLSの合同オーディションで雑誌の専属モデルになったよね。」
ト「あれは本当に大きかったですね。休刊になる号まで、呼んでもらえる限りは絶対に専属を辞めないって決めて出てました。」
#高校生人気 №1だったファッション誌。SNSでの女性人気に、この雑誌の専属モデルになることで男性ファンも増加
丸「SNSでファンの人を増やしてた時期に、どうして雑誌の専属モデルになりたかったの?」
ト「SNS全盛のときだからこそ、他の人にはないポジションが欲しかったというか。専属モデルという絶対的なポジション、はっきりしたものというか。それこそようぢくんは雑誌にも出てるわけではないけど、読者モデルのカリスマって言われてたり。自分にはあそこまでの個性はないので、専属モデルという看板を背負いたかったですね。」
丸「なるほどね。そしてそして、現在の藤田富を語る上でどうしても避けて通れない質問ですが、ある事件がその後起こります。」
ト「そうですね。あの事件があってから、本当に変わりました。お仕事に対する心構えも、人間としても。」
丸「なんの事件かはここでは触れないけど、どう変わったの?」
ト「あの事件のあと僕は表舞台に立たずひっそりとしてたんですけど、あるイベントのお仕事でみんなの前に立たなければいけなくて。」
丸「殺害予告とか出てたもんね。危険と判断してイベントが中止になったりもしたね。」
ト「そうです。そんな中、赤坂ブリッツで開催してるイベントに出ることになって。事件後からはSNSも全部止めてて、一切情報がわからなかったんです。それでいざステージに出てみると、あんな事件のあとなのに、すごい数のファンの方が待っててくれて。。。弾幕とか用意してくれてて“おかえり”とか“応援し続けるよ”とか。それ見た瞬間にブワ~って涙が出てきて。。。僕がどんな状態になってもこうやって応援してくれる方々がいる限り、表舞台に立ち続けなければって決めました。」
丸「正直、辞めようと思ってた?」
ト「完全に辞めようと思ってました。」
丸「ファンの人達に救われたんだね。そこから事務所にも入ったよね?」
ト「はい。いろんな人に協力してもらいながら、表舞台で活動したいと決めました。」
丸「役者をやろうと思ったの?」
ト「まあ役者だけじゃないんですけど、モデルもやりながらドラマのオーディションを受けたりもして。ドラマのオーディションに行って、そこで何もできない自分がいて。」
丸「少しづつ心境の変化が出てきたんだね。」
ト「はっきり覚えてるのが関西コレクションに呼んでいただいて、そのステージの上で歩いているときに、何も中身がない自分がいて、それでもキャーって声援を浴びて、そんな自分がなんだか恥ずかしくなりました。それでなんか芸を身につけたいって思うようになり、役者の道へって感じですね。」
丸「なるほどね。あとDOKUMO BG主催でやってたイベントLOOPでもどんどん後輩で音楽やるやつが出てきたりとか、ようぢもアーティスト活動始めたりとか、読モ自体が変わり始めてた時代でもあったよね。」
ト「XOXが出てきたり、LOOPで自分の役割がMCしかなくなっちゃいましたよね笑。」
丸「士門も同じようなこと言ってたなぁ。」
ト「でも士門くんはしゃべれるっていうのが個性というか、武器だと思うんですよね。僕はしゃべりを仕事にできるわけではないんで。」
丸「そっか、しゃべりも芸のひとつだもんね。そこから富は役者を志すようになって、読モのときのように戦略を決めてやったの?」
ト「最初はとにかく舞台に出演しまくるということでした。」
#藤田富 、初の舞台。舞台に挑戦することで、演技力をとにかくアップさせた
丸「それは俳優として力をつけるため?」
ト「そうです。半年で6本の舞台を経験しました。どんな小さな舞台でも自分のスキルアップのために全力で挑みました。」
丸「俳優になることでSNSとの関わり方は変わったりした?まっちーは俳優になる=芸能界に入るということで、芸能界ではぺーぺーの自分が発信できることはないって思って、発信をしなくなったっていってたけど。インフルエンサーから芸能界にっていう意味で。」
ト「まあでも僕はそういう感覚は一切なかったですね。変わらず発信し続けました。ただ読モの頃って周りの評価がフォロワー数っていう数字だったんですけど、役者は演技力とかそういったSNSの数字では測れないところなので、昔みたいにフォロワー数を増やすために何かをするってことはなくなりましたね。」
丸「そしてその後に仮面ライダーが決まったね。」
ト「はい、そうですね。うれしかったです。」
丸「そしてその仮面ライダーの主演をすることを発表したあとのLOOPでよぢとむもんがDOKUMO BG卒業という流れ。」
#LOOP vol.7でよぢとむもんは卒業。丸本を含めた4人で撮った写真は、じつはこのときが初めて。
ト「俺だけはそれに関して不本意でしたけどね笑。」
丸「あれ、そうだったっけ?」
ト「そうですよ~俺だけは卒業したくないって言ってましたよ。」
丸「ようぢがいつまでも上が詰まっちゃってるとよくないって卒業を言い出したよね。」
ト「俺は求められるんだったらその場にい続けたいって思ってました。よぢとむもんの卒業って世代交代を打ち出すものだとことだと思うんですけど、世代交代される側としてはやっぱり嫌でしたね。」
丸「まあそうだね。話戻るけど、俳優としては本当に最近いろんな作品に出るようになったね。」
ト「舞台も含め俳優として成長できるようにコツコツやってきたっていうのと、やっとキャスティングプロデューサーの人に覚えてもらえるようになったのかなと。」
丸「どうやったらキャスティングプロデューサーの人に評価されるようになったの?」
ト「目の前の仕事を頑張れば、必ずその仕事をした人が自分のよい話を他の誰かに伝えてくれるはずです。その繰り返しかなと。」
#モデルで女優の玉城ティナを主演に迎え 、数多くメディア展開されてきた「地獄少女」を実写映画化した
丸「リアル口こみってことだね。」
ト「そうです。だからどんな仕事でも一個一個ちゃんとやることが重要ですね。」
丸「富は俳優っていう一面もありながら、会社経営もしてるよね?」
ト「そうですね。元々、自分では受けられないような仕事を後輩に振ったりしてたんですけど、そうやってるとどんどんそういう仕事が増えてきて、会社にしちゃおうって感じで始めました。もう4期目ですね。」
丸「会社始めたのは需要があったからって感じなのかな?」
ト「単純に後輩に仕事を振ってあげてる先輩カッコいい!みたいな感じでした笑。」
丸「最近のSNSについて思うことはある?」
ト「オンラインサロンとか出てきて、よくも悪くも自分の本音というものがオープンなSNSの場では語られなくなったなって思います。」
丸「ここ数年でもどんどん形が変わってきてるね。昔ほどツイッターとかで本音を吐き出してる人、確かに見なくなったね。まあ、富の活躍をこれからも応援してるよ。」
ト「ありがとうございました!」