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映画のある暮らし

私の理想とする暮らしのひとつに、”夜はワインを飲みながらシアタールームで映画鑑賞”というものがある。

残念ながら、現在我が家にシアタールームなるものはないのだが、早いうちに”映画を観る”という習慣を設けたいとは考えていた。

そんな私に、きっかけの方から歩み寄ってきてくれる出来事が起きたので、今日はそのことを書こうと思う。


なんとなく毎週つけているバラエティー番組が流れる夕食後のリビング。惰性で見るのもと思い自室に戻るか考えていた私に、父親がこう言った。

「『麗しのサブリナ』でも観る?」と。


『麗しのサブリナ』とは、1954年公開、オードリー・ヘップバーン主演のアメリカ映画だ。少し前にテレビ放送されたものを録画していたらしい。

「いいね。そうしよっか」
私がそう言うと、父親も母親もちょっとした非日常にウキウキしているようで、いつものリビングに明るく新鮮な、心地のいい空気が漂った。

久しぶりにゆったりと映画を観る家族との時間は、非常に充足感のあるひとときだった。


私は家族に”理想の暮らし”を特段伝えたわけではなかったのだが、庭の散歩を始めたり、立て続けに本を読みだした娘に何かを感じ取ったのかもしれない。

数日前には、「その本に興味があるならこの本もいいぞ」と言わんばかりに、昔父親が買って読んだであろう本が、リビングの私の席に一冊ぽつんと置いてあった。ありがたく拝借した。


迷信のようだけど、自分の日々の行動を変えていくと、引き寄せるものも少しづつ変わっていくのかもしれない。
映画にしても本にしても、もともと録画されていたものだったり、昔から家の中にあるものだったり。周りの環境が変わったわけではないのに、自分の周りの世界が変わっていく。

それは少し不思議で、とても楽しい。


家族とはまた後日、『ローマの休日』を観る約束をした。
次回はワインを片手に、楽しむとしよう。


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