在日米軍基地病院 Externship編
在日米軍基地病院のExternship, Open houseについての情報もあまりネット上には載っておらず、どんなことが学べるのか、どれくらいの英語力があればいけるのかなど気になる人も多いと思います。ここもかなり準備に時間がかかってしまったので、シェアできれば来年度の準備に少しでもお役に立てるかと思いました。
(追記)早いもので私のFellowshipも終わり、海軍での1年間を経験した上で再度編集しました。最後の方は個人的な見解や本当に海軍病院マッチを考えている人向けに書いているので、申し訳ありませんが有料部位とさせていただきます。ただし無料で読めるところでも十分参考になるように書かせていただきました。
USNHY Externshipとは
Externshipは病院実習のようなもので、7月中に1週間毎のスケジュールで6人の先生が参加できます。2023年は日本やアメリカの休日の都合から、6月末からスタートとなったため日程は予め確認した方良いです。openhouseは7月中に2回あり、1日の病院見学のようなもので私が参加した時は約20人ほどの先生が参加されていました。
Externshipはアメリカの臨床医学を日本で学べるという利点や、U.S.Crinical ExperienceとしてやFellowship受験に向けて参加するなど、目的は様々です。Fellowship受験のために参加すべきかどうかは人によって意見が分かれるかもしれません。私のロールモデルである元横須賀フェローの先生は、英語力がバレるから1日のみのopenhouseに参加したとおっしゃっていましたが、結論として私はExternshipに参加してよかったなと思っています。その理由としては
・1週間いることで人間性をわかってもらいやすい。
・現フェローの先生とお話する時間が十分確保できる。
・実際にどういう業務をされているかがわかる
があります。
openhouseの場合、昼食時に行われるnoon conference(1人30分間の症例発表×2)から参加し、質疑応答後に1人ずつ英語で自己紹介、その後に施設見学を行い、夕方2時間ほどの交流会に参加するといった形でした。交流会はProgram directorやFellowの先生方の机を順に回っていくような形です。つまり、openhouseからポジションをゲットする場合、質疑応答や交流会のときに強いインパクトを残さなければならず、高い英語能力やコミュニケーション能力が必要になります。実際に質疑応答で積極的に質問されている先生や英語でのコミュニケーションに問題がない先生、私の師匠みたいにずば抜けたコミュニケーション力がある先生がopenhouseのみでFellowのポジションを獲得されています。私の場合おそらくopenhouseではポジションは獲得できなかったと思います。
そのため、無理をしてでもExternshipは参加したほうがいいと思います。私は数ヶ月前から外来と予定手術の調整を行い、Externshipに参加する前に緊急手術待機を多めに入ることで1週間お休みを頂きました。そして1週間家を開けることで妻からかなりお叱りを受けました。
臨床をされている先生はなかなか1週間休みをとるのは難しいと思いますが、交渉次第では数日のExternshipも可能かもしれません。(実際にはあまり印象が良くないためお勧めしません)
三沢は弘前大学の学生が実習に来ていたりすることから忙しくない日程に割とフレキシブルに数日間の実習や面接を調整して頂いておりました。横田はあまり詳しくありませんが、横須賀、沖縄、三沢はExternship/Open houseを行っており、岩国も今年の8月2日にOpen houseを行っていました。
(Externship準備編)
Externshipはかなり人気があり、横須賀は2022年度は学生の方は受け入れられなかったそうです。
→2023年の私がフェローだった際は、学生の方でもすごく優秀で熱意のある先生が多く、5月1日の応募開始日に書類を完璧に揃えてきた先生もいらっしゃいました。Program directorの方にも学生でも受け入れるべきだと説得しようとしましたが、やはり学生の受け入れは叶わず、Openhouseのみでした。その代わり、PGY1の先生は2人Externshipに招くことができました(2人ともかなり優秀でそもそも海軍病院を経由しなくても良いレベルの先生でしたが)
沖縄は学生も受け入れている?とのことでしたが、横須賀はなるべく渡米する可能性が高い先生(学年が上もしくはマッチングに近々参加できそうな若手の先生)などが採用されやすいとのことでした。毎年両方とも人気ですぐに埋まってしまうこと、また募集案内の更新が遅かったりと常にHPをチェックしておく必要があります。そして応募が始まるとすぐに書類を送る必要があるため、それ以前に万全な準備が必要です。如何に応募書類を完璧に準備できているのかで採用されるかが大きく変わると思います。
→実際私がフェローの際にも応募開始日に大量の書類が来ていました。以前はFirst come, First serveとなっていましたが、少し遅れてから優秀な先生からの応募などもあるため先着順ではなくなりました。しかし開始日当日に書類を完璧に作り上げてくる人は間違いなく熱意があると評価されますし、締め切りギリギリの場合はExternshipのスケジュールなどもあることからどれだけ優秀な人でも選考される可能性は下がります。実際には締切日までに選考で取りたい人はほぼ決まるため、なるべく早く申し込む方が良いです。
実際の準備について
【書類】HP(https://yokosuka.tricare.mil/About-Us/Fellowship-Program)から必要な書類をダウンロードできます。
(下記の準備内容2022年応募のもので、毎年変わりますので最新のものを確認してください。実際にELPは変更されています)
メールで送るもの:Application page, Personal statement
郵送で送るもの:証明写真、English Language Proficiency Test Result(私の場合CASEC)、USMLE score(未受験のため未提出)、推薦状1通(Fellowshipは2通)、Current Vitae (English)、大学卒業証明書 (English)
私もでしたが、書類を一から作るのはかなり大変で、私の場合は前フェローの先生が提出した書類をデータで頂き、それを真似て作成しました。PS,CVの作り方はネット上にかなり落ちていますが、このブログの先生の記事を参考にさせて頂きました。http://surgeoninheels.livedoor.blog/archives/cat_182313.html
その他、下記の書籍を参考にしました。
https://www.amazon.co.jp/dp/1883620015?psc=1&tag=lvdrfree-22&th=1&linkCode=osi
ここからかなり重要なことですが、書類を出すだけである程度人間性はわかると思います。几帳面なひとなのか、誤字脱字や書類に不備があったりする人なのか。
私の場合、英語力やBackgroundでプラスになる要素が少なかったため、せめて書類だけでも減点されないように下記の工夫をしました。(どれがどれだけインパクトが有ったかは不明です。。)
①書類はAmazonでLetter sizeの紙を買い、それに合わせてすべての書類を編集しました。日本はA4が普通ですが、アメリカではLetter sizeが普通であるため。これも前フェローの先生で工夫されていた方がいらっしゃっため、真似をさせていただきました。実際に岸本暢将先生が執筆された『アメリカ臨床留学大作戦』の中にもサラッと一文だけ同様のことが書かれていました。
②メールの内容は日本人フェローの先生が読まれることを想定して、英語+日本語で記載しました。(これも前フェローの先生から、以前同様にしていた応募者の方がいて印象がよかったと聞いていたため)
③Covering Letterは必ず付けました。こちらも英語と日本語両方作成して送付しました。
※書類送付はクロネコ宅急便で送るようにと指定がありました。後で調べると日本郵便だと基地内に届かない可能性があるから、とのことでした。
※Fellowshipの応募用紙は駐留軍等労働者労務管理機構(Labor Management Organization for USFJ Employees, Incorporated Administrative Agency:LMO)に送ることになるため、一応確認したのち全軍すべてゆうパックで送付しました。
実際に私に直接連絡をくださった方にはどのように書類を記載するか伝えさせていただきました。上記の工夫を真似していただいた先生も多くいらっしゃり、あまり突出して良いイメージを残せたかどうかは不明です。
個人的にはPersonal Statement,CV, 推薦状がstrongかどうかがポイントになると思います。特に推薦状はその人がどのような人なのか、どれだけ熱意のある人なのかが書かれているものはとても好印象でした。
よくいただく質問としては
・誰に推薦状をお願いすれば良いか→日本の教授やNativeのDr、有名な先生などから頂こうとする方が多いと思いますが、これも上記の通りでどれだけ有名な先生であってもUNSHYの先生が知らなければネームバリューは0です。留学界隈で有名な先生からの推薦状なども意外と大きな流れはコピペであったり、内容が薄いものもありました。それよりも「彼とは〜年の付き合いで、〇〇の状況の時に彼はこれだけ貢献してくれて、、」など、本当に気持ちのこもった文章が書いてある方が印象に残りやすいと思います。実際にどのように書いてもらうのかは下の有料部分に、私がUSNHYの先生に書いてもらった文例を入れておきます。
【ローテーション】
毎週6人が希望の科を事前に選択できます。私のローテーション時はPGY2×3(1人は台湾出身の先生で実際には9年の臨床経験あり)、PGY3、PGY8の僕の5人でした。
(お一人コロナの濃厚接触で参加できなかった方がいらっしゃいました)
Fellowship受験を考えている場合、PDの専門科は回ったほうがいいと言われたため、1日目に神経内科、2日目に皮膚科、あとは専門の外科を希望しました。(外科ならopeでお役に立てるかもしれないし、ope中は会話も少なくなるから英語喋る機会も減るかな、、と思いましたが、まさかのopeがなかったという、、)
もちろんFellowship受験を考えていない先生もいらっしゃるので、好きな科を1週間回るのも全然アリです。
外来はcommon diseaseばかりで、神経内科では偏頭痛や手根管症候群など、皮膚科は生検やニキビなどのフォローくらいでした。もちろん専門でもなければその分野の単語もわからないため、その都度調べさせてもらいました。
ネット上に身体診察や問診などをさせてもらったと書かれている先生もいらっしゃったため、どうしたものか、、、と不安でしたが、directorの先生も自分の英語力が壊滅的であることを悟ってか、診察や問診などしてみる?とは言われず、レクチャーをしてくれたり、「週末キャンプ行くんだけど犬と子供が行けるサイト探してくれない?」と頼まれたため必死になって探したりしていました。たまたま僕がキャンプが趣味で、PDの1人が最近キャンプにハマった、テントも同じテントを使っており楽天でサイト予約できるよと教えたらかなり喜んでいました。
まさかの外科の外来で、1人診察してみる?と言われましたが、英語が壊滅的だから自信ないです、、と正直に言いましたが、「お尻の粉瘤だから大丈夫だよ 笑」と言われました。
・Noon Conference
毎週noon conferenceがあり、Externship中は月、水、金で2人ずつ英語で症例発表を行います。(必須ではないが強くおすすめすると連絡があり、実際全員されたと思います。)ここもかなり評価されると事前に聞いており、全員が完璧に仕上げてくると聞いていたため、1ヶ月ほど準備に時間をかけました。
恥ずかしながらPGY8になっても、そもそも英語でCase presentationしたことがなかったため、手探りの中準備を進めました。
ケースレポートの内容は何でもok.今までに自分が経験した症例の発表を1人30分で発表します。質疑応答などで時間が取られることを考え、15分で終わらせるように調整しました。私が発表した症例は「Celiac Artery Compression Syndrome」正中弓状靭帯圧迫症候群をREBOAを使いながらDamage control IVRした症例を発表しました。
英語の校正などもしたほうがいいと考え、FORTEという校正サイトにお願いしました。https://www.forte-science.co.jp
ここのいいところはプレゼンテーションのサポートがあり、原稿の校正、スライドの校正に加え、2時間のzoomでのプレゼンテーションリハーサル、その後完成した原稿をnativeが練習用音声ファイルとして作ってくれます。費用は6万3000円とかなり痛手でしたが、英語ができない私としてはかなり助かり、プレゼンテーションリハーサル+練習用音声ファイルはかなり役に立ちました。Externshipまでの間、通勤の車の中でシャドーイングを繰り返し、家に帰ったら子供と犬に向けて練習していました。笑
※原稿の校正、スライドの校正はやや微妙であり、スライドはほとんど修正されず。知り合いにNativeがいるならお願いしたほうがいいかもしれません。
openhouseの日じゃなければExternship生、現Fellowの先生、PDなど数人の先生の前で発表しますが、実際にopenhouseの日に発表の場合、30-40人ほどの前で発表しなければなりません。
私は水曜日のopenhouseの日に発表となりました。私自身スライド作りは少し自信があったものの、月曜日の他のExternship生の方の発表を見て、初期研修医とは思えないほどのクオリティで発表されており、更には私以外のExternship生は全員英語が堪能であっため「あ、終わったな、、、」と思いました。なんとか苦し紛れに質問しましたが、苦笑いされるような質問だったと思います。
とりあえずその場だけでも盛り上げようと考え、ice breakのスライドを多めに作り、練習の甲斐あってかあまり詰まることなく時間通りに終えることができました。質疑応答は質問が聞き取れず、他のExtern生やFellowの先生に(え、なんて言いました、、?)と小声で聞き、芸人のザキヤマが入国審査を英語でしているネタ(youtubeに落ちてます)のようなノリでGreat question! Thank you!で無理やり通しました。。質問された中で即答できなかったものは翌日に調べスライドを作り、PDと質問していただいた先生にメールで答えを送りました。(返信はありませんでしたが、、)
宿泊や服装など
Externship中は“ホテルニューヨコスカ”に1週間宿泊しました。外観は綺麗に見えますが、後々知ったが有名なドブ板通りにあり、夜間はAM2-3時くらいまで奇声が上がったり、爆音で音楽が流れている環境にありました。部屋は割と古めで空調もあまり良くなく、かなり湿度の高い部屋でした。
ここは救急医として当直中ストレッチャーに寝ていた経験もありどこでも寝れるスキルがあったため特に影響はありませんでした。Fellowship面接の時は手違いで予約ができておらず、ホテルが空いていなかったためメルキュールホテルに泊まりましたが、こちらも値段が高い割にやや古めのホテルであり割に合わない部屋でした。
Externshipの服装は真夏ですが長袖スーツで行きました。軍基地のため服装などのマナーが厳しいと聞いていたため、暑かったですが1週間上着も着ました。他の先生方は半袖や上着を着ていない先生もいらっしゃったこと、Fellowの先生にも確認しましたがどちらでも良いとのことでした。ネクタイやシャツの色なども気にしましたが、無難に白か青系のもので行きました。
→実際にはそんなに気にしなくて良いですが、汚れた白衣やしわくちゃのものとかを着てきたりするのはやめましょう、、、
Externship終了後のThanks letterはPD, Program coordinator,フェロー6人に手書きで手紙を書きました。横須賀中央駅のちかくに「かわしま」という文房具屋さんがあり、そこでThanks letter用の便箋を購入し、Externship前日に書き上げ、終了日に横須賀郵便局から現フェローの先生の自宅宛に送付させてもらいました。
留学本やインターネット上でThanks letterの書き方も調べ、Wordでフォーマットに則って書くのが普通のようでしたが、現役のフェローの先生やProgram coordinatorの方にはかなりお世話になったので、気持ちが伝わるように形式は無視して手書きの手紙としました。実臨床でも良く患者さんから手紙をもらったりすることがあり、旅行先で買ったポストカードや手紙を送ったりすることが多いので、特に抵抗はありませんでした。
→お土産などを持ってくる先生もいますが、賄賂みたいな印象を与えてしまいかねないのであまりおすすめしません。高めのお菓子やお酒を持ってきてくれた先生もいましたが、甘いものが嫌いだったり、お酒を飲まない人もいるので場合によってはマイナスの印象を与えると思います。
【終わりに】
かなり長くなってしまいましたが、私が(2022年に)準備したことを連連と書きました。心配性な性格なので、余計なことまで準備したかもしれませんが、本当にExternshipの1週間はかけがいのないものになりました。現フェローの先生方とお話して、今まで相当の努力をされ本気で留学を目指している先生方とお会いできたことで、これだけ努力しないと叶わない夢なのだと再認識しました。Externshipの先生方も皆学年は下でしたが全員が尊敬できる素晴らしい先生で、1週間助けてもらってばかりでした。今回Fellowshipを受けたのは僕だけでしたが、Externが終わったあとも何回も連絡させて頂き、横須賀の合格を報告できてよかったと思います。横須賀の方々は本当に温かくフレンドリーな方ばかりで、皆で留学しようぜ!みたいな雰囲気でとても良い病院でしたので、是非来年のExternship,openhouseに参加してみるととても良い刺激になると思います。
以下には、実際にフェローとしてExternship, Openhouseを受け入れた側としてのことを書きます。私たちの学年はExternship係を2人つけていましたが、私はsub-chiefとExternship係を担当していたため、実際に気になった点などを書いていきます。本気で海軍受験を考えている方に向けて書いているので、申し訳ありませんが少額ながら有料とさせていただきます。「これをすればFellowshipは受かる!」などのような内容ではありませんのでご了承ください、、
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