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金色夜叉(尾崎紅葉)ビギナーズクラシックスを読んで「現代語訳で感じる原作の深み」

原作のタイトルを耳にすることはありましたが、実際に手に取ったことはなく、物語への理解は漠然としたものでした。そんな自分がこの本を購入し、現代語訳を通じて初めての原作体験をすることに。最初は「名場面だけ?」とやや物足りなさを感じたものの、ページをめくるたびにその魅力に引き込まれていきました。物語の情感や登場人物の心情が現代語で表現されているため、原文では得がたい理解がすんなりと心に染み渡り、物語の全体像が自然と浮かび上がってきました。

現代語訳に加えて、各場面には詳しい解説やコラムが付されており、当時の時代背景や登場人物の個性を深く知る助けとなりました。例えば、歴史的な出来事が物語にどう影響しているのかや、キャラクターの行動に込められた意図など、原作の奥深さを改めて実感することができました。コラムを読むことで、登場人物の内面や物語の世界観がさらに具体的になり、ただの読書体験にとどまらない学びが得られたのです。

特に、貫一に自分を重ね合わせた瞬間が心に残りました。貫一が辿る感情の旅路を一緒に歩んでいるかのような感覚になり、時にはお宮のような気分にさえなりました。物語の中で共に喜び、切なさを感じることで、自分の中でも貫一への思いが強まり、より深い共感を得られました。このように現代語訳によって物語の感情や情景が明瞭に伝わり、当時の世界にタイムスリップしたような感覚を味わえるのは本当に貴重な体験でした。

さらに、現代語訳で得た物語の理解を土台にして、次は原文にも挑戦してみたいという思いが芽生えました。現代語訳を通して感じた登場人物たちの想いを、いつかは原文の表現で深めてみたいと考えています。



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