進路とコース選択1
キャリアデザイン,という講義を始めるときに私が最初にする話は,とても逆説的なのですが,「今,なりたい職業,自分の将来像について考えたところで,将来その通りになる確率は結構低いよ」というものです。
私自身,大学1年生18歳理学部物理学科に入学しましたという段階で,40歳の時に文系の大学の教員としてキャリアデザインの講義をしている姿は全く想像していなかったし,50歳の時にはその仕事を辞めて主婦してるとも思っていませんでした。自分の考え方も変わるし,環境も社会も変わります。その時その時で自分にできることを選択してきたらこうなりました。ひとつの仕事に集中して40年以上勤め上げることも素晴らしいですし,節目節目で仕事を変えながら,時には休みをはさみながら生きていく人も多いです。自分の能動的な選択で離職,転職するだけでなく,天災,会社の事情,家族の事情などでそうせざるを得ないこともあります。そのような変化は計画できるものではありません。「一つの会社でがんばろう」は,結果であって目標にすることではないのだと思います。
なので,ここでは,不確実な自分の未来を描く代わりに,今ここにいる自分について考えてみたいと思います。自分の現状の性格,傾向,過去にやってきたこと,今自分が興味を持っていることは何か。考える方法はいくつかありますが,まずは言葉にしてみる,書き出してみるのが良いと思います。講義の時に取り組んでもらったのは以下のようなものです。
自分から見た自分: 以下の項目にあてはまるものをなるべくたくさん書き出す
得意なこと
好きなこと
苦手なこと
嫌いなこと
自分は〇〇な人(〇〇に当てはまる言葉)
自分が大切にしていること:次のなかから自分が大事にしているものの1位,2位を選び,理由も書く
他人に出来ないことをしたい
リーダーシップを発揮したい
周りの人を大切にしたい
1 つのことにじっくり取り組みたい
人に迷惑をかけたくない
人に感謝されたい
様々な人と関わりたい
歴史に名前を残したい
トップになりたい
穏やかに平穏に暮らしたい
世界の舞台で活躍したい
常に成長していたい
周りの人を大切にしたい
みんなに注目されたい
刺激的な生き方がしたい
新しいものを作りたい
みんなに認められたい
平和な暮らしを守りたい
みんなに好かれたい
自分らしさ
自分の時間
異性にモテたい
正義
高収入
責任感
健康
成績
美貌
家族
その他
心理テストを実施し,結果を他の人に見せて,反応を聞いてみる
心理テスト自身は他人の教材にあるものを使っているのでここに示しませんが,25問に答えて「論理的人間」「管理的人間」「情感的人間」「独創的人間」の4タイプに分類する,というものでした。特に質問項目の多い心理テストは,実施に時間と体力を使いますが自分の気づかない一面を炙り出すことができる場合があり,興味深いものです。また,この結果を他人に見てもらうことで,自分から見た自分の見え方,他人から見た自分の見え方,心理テストによる傾向が一致しているのか,違うのかを知ることができます。
自分のことをあらたまって考える機会というのはありそうでないものです。私も今日,これをまとめていて改めて考えてみたいなと思いました。
今回は,自分の現状の性格,傾向を知るための活動について取り上げました。次回は自分の過去を環境を振り返る活動について書きたいと思います。
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