進路とコース選択#2
前回は,自分について知ると言う活動で,自分が大事にしているものは何だろうということを直接考える活動を取り上げました。自分が大事に思っていることは自分にとっては当たり前なので改めて「何を大事にしているのか」と問われたり,大事にしているものに順序をつけたりしてみると,またその結果を周囲の人と比較したり,周囲の自分評と比較したりしてみると,けっこう自分の考え方には癖があることがわかります。つまり,自分にとって当たり前の価値観は,他の人にとっては当たり前でないということです。そのような価値観はどこから生まれるか,というと,その人の周りの環境や大学生になるまでに経験した出来事に左右されます。
ということで,「現在の自分について調べる」の次に行っていた活動は「自分の歴史(過去)を振り返る」というものです。
自分の過去を振り返る
小学校まで,中学校,高校の各期間に,
自分に起きた大きな出来事
楽しかったこと,好きだったこと,熱中したこと
得意だったこと
印象に残る出会い(誰と,どんな)
その時の将来の夢
をそれぞれ書き出す。
自分に強い影響を与えた人のことを思い出す
だれと
いつ
どのような場面で出会ったか
その人はどんな人か
どんな影響を受けたか(言われた言葉,一緒に行った活動,一緒に行った場所)
その人について,その当時どう感じていたか
その人について,今どう思うか
こういう作業を小一時間かけてやってみると,ずっと心に引っかかっている(往々にして嫌な)思い出のほかに,すっかり忘れていた出来事や会わなくなって10年以上たつ友達のことなどをふんわり思い出して,その当時の気持ちに思いを馳せることができます。そして自分がどんな人たちに囲まれて,どのように育って変わっていったかを自覚することができます。どんな人と,どんな出会いがあって,その時何を感じたかを改めて言葉にすると,それが自分の性格や選択に影響を与えてきたことがわかると思います。幼いときにモヤッと感じた違和感にもある程度育った今なら言葉を与えて昇華させることもできるかもしれません。私自身は結構根に持つタイプなので,学生時代の友人や先生の何気ない一言,おそらく言った方は忘れているような一言を結構引きずっているんだなあと,この講義を通じて感じました。
このように過去を振り返ってから現在に立ち返ってみます。
今面白いと思うこと,好きなことは何か
今の夢 / どんな人になりたいか
これらの活動は,あえて頭の中に思い描くだけではなく,紙に書き出してみることをおすすめします。すると,今自分が興味を持っていることや面白いと感じることの根っこにあるものは昔から残っているものであることに気づくと思います。自分のことを振り返ってもそうですし,我が子を見ていてもそう思います。三つ子の魂百までと言いますが,そのような昔からの趣味趣向は今後の進路を考えるときに参考にした方が良いと思います。
次回は子どもの頃の夢と,社会人になる準備段階での夢の違いについて書こうと思います。
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