第二話 『henshin no eyes』
ーー 他にも気になるものがありましたら、遠慮なくお声がけくださいね。私は奥で作業してますので。
コマンドラとの契約を終えると、そう言って店主は店の奥へと戻っていった。
不思議なものがたくさんある。"THE魔法士"というような杖や箒、魔導書の他、何に使うかよくわからないものが沢山ある。でも…
「かわいい…、綺麗…、おもしろい!」
見ているだけでワクワクしてくるものしかない。
ふと、目があった。
といっても生き物ではなく、商品に陳列しているモノである。
それは生き物だったりヒトだったりの目の形を象(かたど)ったアクセサリーのようなものだった。『眼力(めぢから/がんりき)』という言葉があるように、"目"というものは不思議な力があるようでなんとなく、無性に、気になってしまった。
「本物?…じゃないよね」
「ふぃ〜、ちょっと休憩…」
ちょうど奥から店主が出てきたので聞いてみた。
「これはどういったものですか?」
店主は嬉しそうに応えた。
「あ!それ!それはつい最近完成したばかりの新作で、『henshin no eyes』という魔道具ですよ!」
「変身の合図…?」
名前だけではよくわからない。
「そう、『henshin no eyes』。これらは、身につけると目のモチーフとなっている生き物に近づける、または効果を発揮する魔法が組み込まれています」
…なるほd
「例えば!こっちのネコの目は動作がしなやかになったり、わがままが少し通りやすくなったりして、シロネコはおしゃまになります。あ、クロネコの方は幸運を運ぶオプション付きで…。こっちのヒトの目の形のモノは目の中のお花の種類で効果が違います!このケシの花は『幻覚』の効果で見たいもの、知りたいものを見たり見せたりすることが出来るもので、こっちのはベラドンナというお花なんですが、魅力度がアップします。こっちにはヘビの目なんかも有ります!!奥にはまだ作りかけの人魚だったり、タコだったり、ウサギだったり、まぁ、色々居ます!!」
…なんだって??
「ああ、一気に話してしまって申し訳なかったね。まぁ、そんな感じの魔法道具ですよ。はは…」
恥ずかしそうに締めくくった。
「熱意はとても伝わりましたよ。とても面白そうで便利な魔道具ですね!」
「そうですね、ありがとうございます。ただ、まだ完全では無いので、効果の程は使う人に寄るところが大きいんですよね…私もまだまだ修行中ですよ」
特に恥ずかしがるわけでもなくそう応えた。
言うところの『修行中』というのは、つまり、『一生勉強』というところだろう。
きっと私の長い長い修行もここからはじまる。
つづく
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