大阪市の神社と狛犬 ⑪中央区 ①御霊神社~大阪最古の青銅狛犬~
大阪市中央区の地図と神社
大阪市には、現在24の行政区があります。中央区は、かつての東区と南区が合区となって1989年に発足した新しい区です。大阪市のほぼ中央にあり、上町台地とその西側の地域になります。この区には、大阪府庁などの官公庁街、船場と呼ばれる商業街、ミナミと呼ばれる繁華街などに加えて、大阪城や難波宮跡などの歴史的建造物もあります。
中央区には、生國魂神社行宮を含めて11社の神社があります。さらに、神社ではありませんが、大阪城公園内に明代の中国獅子があります。この12箇所について、順次紹介したいと思います。
まず最初に訪れるのは、御霊神社です。大阪メトロ御堂筋線の淀屋橋駅と本町駅との中間、御堂筋の西側に鎮座します。
御霊神社
■所在地 〒541-0047 大阪市中央区淡路町4-4-3
■主祭神 天照大神荒魂、津布良彦神、津布良媛神 応神天皇、源正霊神
■由緒 当社の始まりは、圓江(現在の靫)にあった圓神祠で、平安時代の『文徳天皇実録』の嘉祥3年(850)の記録に、八十嶋祭の祭場が難波津の圓江で行われたとある。八十嶋祭とは、天皇の即位礼の大嘗祭の翌年に行われた皇位継承儀礼の一つである。御霊神社は古くは圓神社、津村神社といわれた。文禄3年(1594)に圓江から現在地の北船場に移され、寛文年間(1661~1672)に御霊神社と改称された。
狛犬1
■奉献年 元和年間(1615~1624)
■鋳物師 大谷相模掾藤原正次
■材質 青銅
■設置 正面鳥居内 境内入口
堂々とした青銅狛犬である。神社では元和元年(1615)の作と伝えている。作者は大谷相模掾藤原正次。像高は、阿形が98cm、吽形が107cm。
御霊神社は、昭和20年の大阪大空襲によって社殿が焼失して、古文書などがなくなってしまった。この青銅狛犬に関する記録も残っていない。ただ幸いなことに、古くて貴重な狛犬と言うことで戦時中の金属供出を免れ、さらに鉄筋コンクリート造りの倉に保管されていたことで、空襲のときも無事であった。
もとは拝殿前に安置されていたが、昭和46年(1971)より、社頭の現在地に設置されることになった。
安政2年(1855)の「摂津名所図会大成」には、参詣者で賑わう御霊神社の様子が描かれており、鳥居前には石造の狛犬が安置されているが、今では失われてしまった。