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大阪市の神社と狛犬 ➍此花区①澪標住吉神社~寛政の笑い狛犬~

大阪市此花区の地図と神社

大阪市には、現在24の行政区があります。淀川のすぐ南側には5つの区がありますが、此花区はもっとも海に近い西側に位置します。
此花区には、神社が6社があります。(地図参照)
住吉神社という名称は2社だけですが、この地は古来海との関係が深く、朝日神明社以外の5社には住吉大神が祀られています。
澪標住吉神社は、阪神電車伝法駅の東約200mに鎮座しています。

澪標住吉神社

■鎮座地 〒554-0002 大阪市此花区伝法3-1-6
■主祭神 住吉大神・天照皇大神・八幡大神・神武天皇・神功皇后
■由緒  当地は浪速八十島の一つで、延暦23年(804)遣唐使の一行がこの島の景勝に感じて、航海の安泰を祈願するために島の一角に住吉四神をお祀りした。その後、島民が祭壇跡に祠を建立し、帰路の印に澪標を建てたという。澪標は現在大阪市の市章となっている。

狛犬1

■奉献年 明和八卯年三月吉日(1771)
■石工  不明
■材質  砂岩
■設置  合社・十三社前

合社・十三社と狛犬

境内社の十三社。正面の扁額には、船玉神・大國神・春日大神・大海神・釼大連守屋・大直日神・蛭子神・少名彦神・宇賀御魂・菅原道眞公・猿田彦神の11のご祭神の名前が書かれている。
社殿の前には、明和8年(1771)の浪速狛犬が置かれている。

明和8年(1771)奉献の狛犬(阿形)
明和8年(1771)奉献の狛犬(吽形)
明和8年(1771)奉献の狛犬(阿形)
明和8年(1771)奉献の狛犬(吽形)

獅子頭のような顔つきが特徴のこの狛犬は「上宮型」の浪速狛犬に分類されている。同じタイプの狛犬の古いものが、高槻市の上宮天満宮にある。
阿形にはオスの陽物があり、吽形の頭上には角がある。獅子と狛犬をはっきりと区別している。どちらにも破損箇所があるが、特に吽形の顔の一部が欠けているのは惜しまれる。

狛犬2

■奉献年 寛政七乙卯年六月吉日(1795) 下之町子供中
■石工  大坂 西川(屋五良兵衛)
■材質  砂岩
■設置  拝殿前

澪標住吉神社 拝殿と狛犬
澪標住吉神社 拝殿と狛犬
寛政7年(1795)奉献の狛犬結合
寛政7年(1795)奉献の狛犬(阿形)
寛政7年(1795)奉献の狛犬(吽形)

「寛政七乙卯年六月吉日」(1795)奉献の砂岩製狛犬。阿形の下顎が欠けているので、大きな口を開けて笑っているように見える。鼻の上の小さな丸目と大きな口に特徴を感じる。首の周囲を巻き毛が連なる。

台座に彫られた石工銘は読みづらいが、「石工大坂 西川」までは間違いがない。東淀川区の中島惣社に「寛政七卯年五月建之」「石工 大坂横堀西川屋五良兵衛」の銘がある狛犬があるが、この狛犬と瓜二つである。制作年月も1ヶ月しかかわらないので、同時に並行して造ったのかもしれない。

上:中島惣社 下:澪標住吉神社



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