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大阪市の神社と狛犬 ⑮浪速区 ⑥難波八阪神社~獅子殿と4対の狛犬~
大阪市浪速区の地図と神社
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大阪市には、現在24の行政区があります。浪速区は上町台地の西側、大阪市のほぼ中央に位置します。区の面積は4.39㎢で、大阪市で最も狭い行政区です。区名は、王仁が詠んだと伝えられる古歌「難波津に 咲くやこの花 冬ごもり 今は春べと 咲くやこの花」からとられました。
浪速区は、長い歴史をもつ「大阪木津卸売市場」や「でんでんタウン」など市内でも有数の商業地域として発展してきました。また、大阪のシンボルといわれる「通天閣」がある新世界など、庶民の町として親しまれています。
浪速区には、神社庁に加盟する神社が4社ありますが、これら以外にも少なくとも5社が確認できます。
難波八阪神社は、大阪メトロ「なんば」駅、南海難波駅から南西に約600m、徒歩で7~8分ほどの地に鎮座します。国道26号線から一筋西に入ったところになります。
境内には「獅子殿」という獅子頭をかたどった高さ12m、幅11m、奥行き10mの大きな社殿があり、外国人観光客にも人気のパワースポットとなっています。
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難波八阪神社
■所在地 〒556-0016 大阪市浪速区元町2-9-19
■主祭神 素盞嗚尊、奇稲田姫命、八柱御子命
■由緒 仁徳天皇の時代、この付近一帯に疫病が流行したときに、牛頭天王が現れたのでこれを祀ったのが当社の始まりとされる。牛頭天王はインドの祇園精舎の守護神で、日本では素盞嗚尊と同一視される。
これより北に鎮座する難波神社が「難波上の宮」と呼ばれるのに対し、難波八阪神社は「難波下の宮」と呼ばれ、この付近一帯の産土神として信仰された。最盛期の平安時代には、神宮寺のほか十二坊の塔頭が並んでいたという。
旧社殿は昭和20年(1945)の大阪大空襲で焼失し、昭和49年に現在の新しい社殿が完成した。獅子殿も同時期に建立され、素盞嗚尊の荒魂をお祀りしている。
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難波八阪神社には、拝殿前に2対、正面南参道に1対、境内社篠山神社に1対の、合計4対の狛犬がいる。
まず拝殿にお参りしてから、拝殿前の狛犬を見ることにしよう。
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狛犬1
■奉献年 正遷宮祭記念 昭和四十九年七月吉日
■作者 不明
■材質 花崗岩
■設置 拝殿前
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昭和49年の正遷宮祭記念として奉納された美しい狛犬である。この正遷宮とは、戦災で焼失したままになっていた社殿が正式に再建されて、神様を遷したことを示している。その時に狛犬も奉納されたのである。
たてがみや尻尾の毛並みはリズミカルで、過多な装飾は避けている。脚部や胴体の筋肉は単純化されていて、全体的には個性不足の感があるが、新神殿を守るにふさわしい堂々たる雰囲気を持っている。
狛犬2
■奉献年 昭和四十九年七月吉日
■作者 谷丸弘光
■材質 青銅
■設置 拝殿前
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拝殿前の階段の下、先の石造狛犬の手前に、倒立型の青銅製狛犬がある。大阪ではこのスタイルはたいへん珍しい。奉納は石造狛犬と同じ昭和49年で、これも正遷宮祭記念として作成されたのであろう。
胸と前肢で半球状の台座を支えにして倒立している。全体的に大作りだが、躍動感があっておもしろい。
半球型の台座に「谷丸弘光作」と記されている。詳しいことはわからないが、大東市にある「クラフトホリ」という会社の代表が谷丸弘光という人で、この会社は「肖像レリーフ、肖像メタルの原型、胸像(ブロンズ製)、鋳造モニュメント、造型原型と彫刻」などを手がけている。拝殿前の青銅製狛犬もこの会社に発注したのであろう。
基壇は五角柱の磨かれた花崗岩製で、奉納者は「株式会社髙島屋 社長飯田新一」である。境内のほかの場所でも、「株式会社蓬莱」や「大寅蒲鉾戎橋本店」などの名前を見つけることができ、この神社が地元難波の人たちに親しまれ支えられてきたことがわかる。
狛犬3
■奉献年 昭和十八年二月十七日
■作者 不明
■材質 花崗岩
■設置 正面参道左右
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境内南側の正面鳥居から拝殿に向かう参道の途中に、「玉取り・子取り」の石造狛犬が安置されている。第一台座に「昭和十八年二月十七日」と奉献年が刻されている。戦争の真っ最中であるが、20年の大阪大空襲にも耐えて生き残った。2月17日は、その年の五穀豊穣などを祈る祈年祭の日にあたる。また基壇には「昭和四十九年七月 正遷宮祭 祇園會」とあり、社殿再建の際に基壇を新調したことがわかる。
阿形が左前肢で玉(鞠)を押さえる玉取り、吽形が右前肢を子狛の頭に乗せる子取りのタイプである。
狛犬4
■奉献年 不明
■作者 不明
■材質 花崗岩
■設置 境内社・篠山神社
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境内にある篠山神社の祭神は、由緒書によると「篠山摂津守十兵衛伴景義」という人物である。大坂代官であった篠山十兵衛景義は、難波村の村民の直訴を受けて、天満市場に独占されていた青物の売買を、この地で農民が直売することを認めたことにより大いに感謝され、生き神様として祀られた。
現在の神社は、明治13年に創建されたものという。
祠の前の狛犬の奉献年などは不明だが、比較的新しいものである。
難波八阪神社境内
◆東参道鳥居
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◆手水舎の獅子
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◆難波葱発祥の地の碑と賑橋の橋柱
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◆綱引神事(大阪市指定 無形民俗文化財)
祭神の素盞鳴尊が、出雲で八岐の大蛇を退治したという神話に基づいて、古くから行われている伝統的な神事。江戸時代の『摂津名所図会』に、「難波村 牛頭天王綱引」とある。
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