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TRPGのオンラインコンベンションを主催してみたい人へ2

前回の記事はこちら

4.GM応募

GMを応募するにあたって考えることは以下のとおりです。
・応募方法
・応募期間
・事前の注意事項
・応募フォームの設置
・応募された卓の概要公開
・GMとDiscordアカウントの紐付け

・応募方法
今回のコンベンションは事前卓分け制なので、開催告知の次にやらなければならないのはGMを募集することです。予め知人にGMをお願いしたりスタッフがいる場合はスタッフメンバーの多いコンベンション運営ならスタッフからGMを一定人数入れるという手法を採ることもあります。うちの場合は完全公募制です。スタッフや知人にGMをお願いしつつ、残り半分くらいを公募するという手法もあります。
完全公募制にしている理由は、誰でも気軽にGMをしてもらいたいという思いからです。スタッフや知人にGMを頼めばある程度実力を把握していることもあってシナリオやマスタリングも安定したものが期待できます。ですが代わりにGMに挑戦しようとする人にとって間口を狭めてしまう恐れもあります。
刀剣乱舞なりきり卓というやや特殊な立ち位置にあるこの界隈ではTRPG初心者の方も多く、GMが出来る人、やりたい人をが増えてくれればという思いもあります。最終的には初心者GMにも挑戦しようと思ってもらえる場として活用できないかと考えています。

・応募期間
今回は3月末に告知し、5月3日に開催と準備期間がとても短かったので告知と共にGM応募を開始、4月18日を締め切りとしました。
通常は開催日の4~6ヶ月くらい前から告知をしています。余裕をもって開催日の告知ができる場合は、(というより本来はそうする方が望ましいのですが)GM応募期間は開催日の2ヶ月前~1ヶ月前までを目安に行うとよいかと思います。開催日まで猶予がある中で募集を行ってもGM応募が実際に集まり出すのは開催日近くになってからです。参加者の予定も半年先は不透明なことが多いのでGM応募を急いで行う必要はありません。
また、募集期間は2週間程度にしておくといいでしょう。どれだけ長く応募期間をとっても、実際に応募が集中するのは締め切りの間際です。以前は1ヶ月期間を設けていましたが、1ヶ月間GM募集ツイートをまめに流すはめになったり、応募フォームに応募が来ているかをチェックすることになったりして手間でした。さすがに1週間未満では短すぎます。「応募するつもりで失念していた」「忙しくて応募する暇がなかった」というケースが出てきかねません。基本的にどのシステムでもGM希望者はPL希望者より少ないので、応募期間が短いという理由で申込を断念せざるを得ないのは勿体ないと思います。

今回5月3日に開催しましたが、本来の私の理想とするスケジュールでは
11月上旬  開催告知(開催6ヶ月前)
3月中旬~下旬 GM募集(開催2ヶ月前)
4月上旬~中旬 PL募集(開催1ヶ月前)
5月3日   開催日
こんな感じです。

・事前の注意事項
GM応募が開始される前によく練っておく必要があります。応募途中で注意事項を変更するようなことがあった場合、変更点の周知徹底と謝罪とに奔走することになります。
私の場合はDiscordの応募フォームに繋がる唯一のチャンネルに注意事項を書き込んであります。応募フォームを開いても、トップに注意事項を読んでから応募するように促す文言があります。
では、どのような注意事項を書いておけばよいかというと私はだいたい以下のとおりです。
・遅刻や欠席、その他トラブルについての連絡をちゃんとする
・当日回す卓のルールブックを所持している
・当日回すシステムの初心者に対応できる
・過度な性表現や暴力的な表現は控える
・参加可能なプレイヤー人数を2人以上のシナリオにする
刀剣乱舞なりきり卓という特殊事情を除けばこういった文言を応募フォームの前に並べてあります。

・応募フォームの設置
Googleフォームを使用しています。
試しにフォームのテンプレートを作ってみました。
詳しい説明はリンク先の応募フォームのテンプレートに記載してありますので、そちらでご確認ください。
応募フォームからはGoogleスプレッドで情報をExcel表にまとめたものを作成できます。こちらも合わせて作っておくと、データを一覧で参照したい際に便利です。

・応募された卓の概要公開
告知サイトに「応募卓概要」のページを作ってそこで公開します。基本的には上記の応募フォームに書かれたことは加筆や修正を行わずにそのままの状態で転載します。
誤字脱字、情報の修正がある場合はGMより個別に主催者に依頼してもらうようお願いしてありましたが、この情報の修正もGM応募の締め切りまでという条件を付けていました。
これをいつまでも許容してしまうと、PL応募が開始した後でシノビガミで「協力型」というレギュレーションで募集していた卓がいきなり「対立型」に変更になってしまったということも起きかねません。あるいは「テキストセッション」という条件だったものが「ボイスセッション」に変更されたら、応募したPLはどうでしょう?「協力型だから応募したのに」「うちにはボイス環境がない」など、応募条件とのミスマッチが起きてしまうこともあります。そんな時応募先の変更を受け付けていたら処理が大幅に増えてしまいます。GM、PLは元より主催者にとっても混乱の元となるため、修正期間には必ず締め切りを設けましょう。

・GMとDiscordアカウントの紐付け
GM応募者にはDiscordサーバーで「GM」というロールを割り当てます。権限はeveryoneとほぼ変わりませんが、GMと主催者(ロールは管理人)にのみ閲覧と書き込みのできる「GM専用の質問・変更連絡」チャンネルを用意してそこでやりとりができるようにします。
また、GM応募者ごとに以下のようなカテゴリーを作り、PL希望者から質問を受け付けるチャンネルや、卓の概要を紹介したチャンネル、通話チャンネルを作ります。(モザイクがかかっている場所はGMさんのお名前です。また鍵付き表示になっているのは、卓分け後のものだからです)

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この応募GMごとのカテゴリーは卓分けが終わるまで誰でも閲覧が出来るようにしてありましたが、卓分け後はGMとその卓の参加者にのみ閲覧、書き込みができるものへと変更しました。
卓分け後、他のGMの取り組みが参考になることもあるかもしれないと考えて他卓のGMにも全てのGMカテゴリーが閲覧できるようにしていたのですがむしろトラブルの元になったかな……と思っています。トラブルについては後述の反省点・改善点の項目でお話ししたいと思います。

5.PL応募

PLを応募するにあたって考えることは以下のとおりです。
・応募資格
・応募期間
・事前の注意事項
・応募フォームの設置

・応募資格
今回のうちのコンベンションのようにたとえば版権作品のなりきり卓オンリーコンベンションという特殊な設定のあるコンベンションや参加者が女性に限定される、成人に限定されるなどある条件を課したい場合は応募前に必ずその条件が応募者の目に触れるようにしておくといいでしょう。
(なお、女性限定や成人限定等の応募資格がある場合はGM応募者にもそれが分かるようにしておく必要があります)
また、卓が成立しなかったGM応募者がPL応募をしていい場合はそのことも明記しておきましょう。
マナーや禁止事項については後の「事前の注意事項」で詳しく説明します。

・応募期間
PL応募の期間は今回は開催日の6日前、4月27日まで受け付けていました。繰り返しになりますが、かなりの短期間で開催告知から開催まで走り抜けたのが今回私が開いたオンラインコンベンションですので、本来のスパンで考えると開催日までの期間が短すぎます。本来は開催の三週間前にはPL応募が完了しているくらいが良いのではないかと思います。
たとえば卓分けが各卓ごとに申込先着順で決まる形式であれば開催日に参加できることが確約されますが、今回のうちのコンベンションのように事前抽選制で卓分けされる場合は落選するPL応募者も出てしまいます。卓分け結果の公表をあまり直前にしてしまうと、落選した応募者は(GMも含めてですが)急に予定が空いてしまうことになります。
オンラインコンベンションに参加できないことが確定してから、予定を変更する余裕があるよう、卓分けはなるべく早めに。それに合わせてPL応募もなるべく早めに締め切っておく必要があると思います。
これが普通のコンベンションの場合、遠方から遊びに来ることを計画している参加者の方もいるので、卓分け結果を直前まで明かさないのは参加者を集めるうえでネックになることでしょう。
また、期間は10日~2週間程度が良いかと思います。GM応募よりやや短くて良いと思う理由は、PL希望者はGM希望者に比べて多く長く期間を取ればとれだけPL応募過多の状態を招きやすいからです。

・事前の注意事項
こちらはGM応募時よりも細かく設定しました。GM参加に対してPL参加は数が多く色んな環境の人が応募してきます。たとえば家族と同居している等でボイスセッションに参加できない人、オンセツールを全てスマホによる操作で行っている人、ネットカフェからの参加を考えている人。
そういった人は自分の普段遊んでいる環境が「当たり前」だと思っているので(悪い意味ではなく)、その条件のままオンラインコンベンションにも参加できると考えてしまうこともあります。勿論、卓の募集要項には「ボイスセッションである」と明記されていたり、最初の注意事項では「必ずパソコンからの参加をすること」と書かれていたりするのですが応募者が失念していないとも限りません。
また、うちのコンベンションのように特殊な設定がある場合はいわゆる「地雷持ち」の方が参加することがあります。キャラクターが死ぬのが堪えられない、キャラクターが異性キャラと関わるのが嫌だ、といったことをシナリオの展開にも要求されると困りますので、予め「地雷持ち」の方の参加をお断りする文言を入れています。
以下がプレイヤー応募フォームの前に設定している注意事項です。

写真 2020-05-06 17 05 26

・応募フォームの設置
Googleフォームを使用しています。
フォームのテンプレートです。
詳しい説明はリンク先の応募フォームのテンプレートに記載してありますので、そちらでご確認ください。
GM応募の項目にも書きましたが、応募フォームからはGoogleスプレッドで情報をExcel表にまとめたものを作成できます。私はこちらを使って卓分け結果を整理しています。その話については、次の卓分けの項目で説明します。

6.卓分け

他にもっと参考になる卓分け方法の仕方は探せばいくらでも出てくるかと思いますので、やり方を簡単に紹介するに留めます。PLの第一希望を優先させる場合の卓分けです。(ただし、この手法は落選者が多くなる場合があります。状況に合わせて何を優先させるかはご自身で考えた方が良いかと思います)

準備物
・PL応募フォームから打ち出したGoogleスプレッド
・Word、一太郎、Evernote等の文字装飾(打ち消し線、色文字)が使える文書作成アプリケーション
・ランダマイザー(ダイス、あみだくじ、抽選アプリ等)

手順
1.各卓へのPL希望者を、第1希望~第3希望までGoogleスプレッドを参考に文書アプリに打ち出す
このとき、卓の参加可能人数やDiscordの四桁の数字も併記しておくと便利です。

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2.卓に参加するPLを抽選する
上記の画像の場合ですと、GM Aの卓の第一希望者5名の中から4名を選出する作業です。抽選はあみだくじやダイス、あるいは抽選アプリなどを使って決めます。ここではPL4が落選してしまったことにします。

3.成立したGM A卓に色づけする
分かりやすいように成立した卓の文字色を変更します。この際当選PLの名前にも色をつけます。

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4.GM A卓の当選者の名前を第二希望、第三希望の卓から消す
当選者が第二希望、第三希望を選択している場合は後々の卓分けの際ややこしいので名前を打ち消し線で消してしまいます。

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5.GM B卓の参加者を決定する
上記の例ですと、GM B卓は抽選が発生せず、第一希望の三名と第二希望のPL5で成立となります。

6.GM B卓に色づけし、当選者の名前を第二希望、第三希望の卓から消す
あとはこれを卓の数だけ繰り返します。

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注意点
実際に作業してみると、こう着々とスムーズにいかないことの方がほとんどで微調整が必要になります。
成立卓の数を優先する場合は、上記の例ですと「PL5を当選させずに第三希望の卓に入れた方が卓数が増える」というようなケースも出て来ます。他の卓を全て成立させた後、A卓とB卓どちらかしか成立させるだけの人数しか残っておらず、どちらを不成立にするか選択を迫られる時もあります。
迷った時は、「最も参加できる人数が多くなるように選ぶ」「初心者GMの卓を優先して立たせる」といった付則を付けることも考えてみるといいでしょう。
また、抽選の方式は公言しない方がいいです。特に付則を付けた場合は納得できる理由であっても、優先度を下げられ不成立となった卓のGM応募者は良い気持ちはしないでしょう。


今回はここまで。
次回は「オンラインコンベンションのメリット、デメリット」そして「反省点・改善点」に関して話をしたいと思います。
ここまで読んでくださって有り難うございました。

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