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上皇后陛下未発表歌集「ゆふすげ」

たまたま目にした記事で、昨年末に出版されたことを知って驚いた。
昭和、平成の御代に詠まれた御歌で、未発表のもの466首を収めた歌集である。

夕菅(ゆうすげ)は、ユリに似た黄色い花をつけ、全国各地の野山に生える多年草だそうだ。
御所のお庭にも咲くという。
ありふれた、よく目にする花の名前を歌集の題に採られたところに飾らないお人柄を感じる。

「ゆふすげ」を詠まれたお歌はいくつかあり、そのうちの一首。

 三日の旅終へて還らす君を待つ庭の夕すげ傾ぐを見つつ
(みかのたび おへてかへらす きみをまつ にはのゆふすげ かしぐをみつつ)

大意:三日間の旅を終えられてお帰りになるあなたを待ちます 庭の夕すげの花が傾くのを見ながら

昭和49年の御歌。
ご公務で国内の三日間の旅をされた皇太子殿下(当時)。御所でそのお帰りを待ち遠しく思っていらっしゃったのだろう。さあ今日はお戻りになる日。お迎えのために庭に出られると、可憐な夕すげの花が傾(かし)いで咲いているのを見つけられた。夫君を恋うお気持ちがそこはかとなく偲ばれる。


ページをめくるのがもったいなく、先を読みたい気持ちを抑えて、一首一首、味わいながら読む。

心豊かな時間を堪能している。



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#短歌
#上皇后陛下