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Vol.6 2学年 Biochemistry(生化学)はどんな科目?

 こんにちは!チェコ医学生 駒井マキです。
5月28日にBiochemistryの期末試験が無事終了しました!
大きい科目は残すところ生理学のみ!
今回はこの科目についてお伝えします。

 Biochemistryは、第2学年の通年科目です。


基礎情報

期末試験(Final exam)とは

 重要科目の最後に存在する試験のことです。受かると単位がもらえます。
 各学期は履修期間(授業あり)と試験期間(授業なし)に分かれており、期末試験は履修期間の最終週及び、試験期間に行われます。
 試験日程は各自異なり、試験可能な日程とその日の定員を確認して、各々オンラインで登録します。早いもの順です。たとえ不合格でも試験期間中に3回まで受けられます。合格したら、次の学期が始まるまでの残りの試験期間はお休みです。

【コメント🤔】
 試験日程選びは駆け引きが難しいです。早く受けるほど休みは長くなりますが、履修期間は授業が忙しいので、試験勉強の時間が十分にとれない可能性が出てきます。しかし遅すぎると、不合格だった際にもう試験可能日が残っておらず、3回のチャンスを使いきれないまま落ちる可能性があります。

 今年の試験日程ではもう一つの大きな科目、生理学を6月中に終わらせた後7月からBiochemistryに専念するのが得策のため、7月の試験枠の熾烈な争奪戦が繰り広げられていました。私はBiochemistryを先に受けた少数派でした。

Biochemistryの試験形式

 試験形式は、筆記+口頭試問です。
①筆記試験は基礎的。
②口頭試問は準備に時間を要します。予め公開されたトピックが152問あり、そのうち4つを試験会場でくじ引きし、口頭で試験官の教授に説明します。つまり152問分の解答を考えておく必要があります。
 そして、教授の気になったところで止められ、さらなる説明を求められます。厳しい教授だったり、引いた問題が教授の専門分野だった場合、より詳しい説明が求められて困ることもあれば、逆に情報が多少不十分でもプレゼン能力や教授の温情によって乗り切れることもあります。

【コメント🤔】
試験のトピックは
I. Physical, inorganic and organic chemistry
II. Metabolism
III. Biochemistry of organs and functions
IV. Cellular and molecular biology
に分類されています。各38トピック。

大体の雰囲気は、
I. 高校で学んだ理論化学、無機化学、有機化学の詳細
II. 解糖系、尿素回路など、体内の化学反応経路をひたすら暗記。
III. 生理学をより化学物質に注目して説明。
IV. シグナル伝達経路や遺伝学を分子レベルで説明。
といったところ。

Biochemistryの授業形態

週二で、90分の任意参加の講義と、180分の必須参加のPractical(実習)がありました。Practicalでは実際に薬品や装置を使い実験をしました。

【コメント🤔】
 Biochemistryは好き嫌いの激しい科目でした。体に変化(体温、心拍数、ホルモン放出、刺激など)が起きたときに芋づる式にどんな反応があるかを学ぶ、理解中心の生理学に対して、biochemistryは暗記中心です。
 体内ではあらゆる機構が影響し合っているため、生理学ではあらゆる角度から質問が飛んで来るのが怖いですが、本科目は、決まった反応には決まった酵素、という風に答えが明白なので私は生理学よりbiochemistry派でした。
 しかし、裏を返せば推論が通用しないため無機質な物質名を暗記し続けるのが酷という理由で生理学派も多数。

学んだことの一部

私が勉強した内容の一部をトピックと共にご紹介します!
ルー語がひどいですがご容赦ください😅
※アウトソースの画像はぼかしています
※教材目的ではありませんので、正確で詳細な説明は信頼できる資料をご覧ください

例1 Lipid peroxidation (脂質過酸化反応)

ROS等のラジカルが体内で発生した際に細胞膜を傷つけるので重要な反応です。
3ステップあります。
①Initiation:
ラジカルが脂質の水素を奪います。それにより、今度は脂質がラジカルになります(Lipid radical)
②Propagation:
Lipid radicalは酸素とすぐに反応し、Lipid peroxyl radicalという別のラジカルになります。そしてそれは周りの正常な脂肪と反応します。これにより、Lipid peroxide(過酸化脂質)と新たなLipid radicalが発生するという負の連鎖が発生します。
③Termination:
この負の連鎖を止めます。Superoxide dismutase, Catalase, Peroxidase等のAntioxidant(抗酸化物質)やビタミンEにそのような効果があります。

例2  Inhibition of enzymes: competitive, non-competitive, covalent, allosteric. Use of enzyme inhibitors in medicine.

Enzyme inhibitors(酵素阻害剤)は次のように分類できます。
1. Irreversible inhibitors: 共有結合で不可逆的に酵素を阻害。e.g. Aspirin
2. Reversible inhibitors: 可逆的に酵素を阻害。
 2-① Competitive: 活性部位に結合。Km↑、Vmax同じ。e.g. Statin, Malonate
 2-② Non-competitive: アロステリック部位に結合。Km同じ、Vmax↓。 e.g. Allosteric enzymes
 3-③ Uncompetitive: E-S complexに結合。Km↓、Vmax↓

Enzyme inhibitorsは薬としても利用されています。
・Allopurinol: Xanthine oxidaseの阻害剤。痛風の薬。
・Statin: HMG-CoA synthaseの阻害剤。血中のコレステロールを減少。
・Viagra: Phosphodiesteraseの阻害剤。Phosphodiesteraseは血管拡張を促す一酸化窒素を壊す酵素。勃起不全の薬。
・Fomepizole: Alcohol dehydrogenaseの阻害剤。メタノール中毒の薬。

例3 Biosynthesis of tetrapyrroles – heme, and its disorders.

赤血球に不可欠なヘムの生合成とそれにまつわる病気について

例4 Blood coagulation, cascade of coagulation factors, role of thrombocytes.

怪我をして、かさぶたが生成され、かさぶたが溶ける直前までの流れ

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