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Vol.7 2学年 Physiology(生理学)はどんな科目?

 こんにちは!チェコ医学生 駒井マキです。
6月18日にPhysiologyの期末試験が無事終了しました!
これで3年生に進級決定です!安堵😆
今回はこの科目についてお伝えします。

 Physiologyは、第2学年の通年科目です。2学年末に期末試験を受け、受かると単位が得られます。


基礎情報

期末試験(Final exam)とは

 重要科目の最後に存在する試験のことです。受かると単位がもらえます。
 各学期は履修期間(授業あり)と試験期間(授業なし)に分かれており、期末試験は履修期間の最終週及び、試験期間に行われます。
 試験日程は各自異なり、試験可能な日程とその日の定員を確認して、各々オンラインで登録します。早いもの順です。たとえ不合格でも試験期間中に3回まで受けられます。合格したら、次の学期が始まるまでの残りの試験期間はお休みです。

【コメント🤔】
 試験日程選びは駆け引きが難しいです。早く受けるほど休みは長くなりますが、履修期間は授業が忙しいので、試験勉強の時間が十分にとれない可能性が出てきます。しかし遅すぎると、不合格だった際にもう試験可能日が残っておらず、3回のチャンスを使いきれないまま落ちる可能性があります。

 Physiologyに限って言えば、今年度は6月末の試験日程の次は8月末に一気に飛ぶので、できれば6月のうちに受かれるように他の科目の試験を調整したいところでした。

Physiologyの試験形式

 試験形式は、筆記+EKG+Practical+口頭試問です。
①筆記試験は、基本を理解しているか図る程度の難易度です。
②EKGは心電図をみて、健康な人間の心電図か等を判断します。本格的な読み取りは後の学年で学びます。
③Practicalは、Practicalと呼ばれる授業中に取り扱った内容16トピックのうちランダムに1つの説明を求められます。 
例: Evaluation of Vision→近視、遠視、乱視はどんなレンズで矯正するか、また、そのディオプトリの決め方。Ophtalmoscoply, Keratoscope, Perimetry等有名な測定装置などを説明します。
④口頭試問は準備に時間を要します。予め公開されたトピックが230問あり、そのうち3つを試験会場でくじ引きし、口頭で試験官の教授に説明します。つまり230問分の解答を考えておく必要があります。
 そして、教授の気になったところで止められ、さらなる説明を求められます。教授が厳しい人だったり、引いた問題が教授の専門分野だった場合、より詳しい説明が求められて困ることもあれば、逆に情報が多少不十分でもプレゼン能力や教授の温情によって乗り切れることもあります。

【コメント🤔】
 Physiologyの難関点は口頭試問です。なにより量が多いのです!また、どの教授が自分の試験官になるが大きく合否に影響します。
 Physiology departmentの主のおじいさんがいまして、特に攻略難です。
 まず、気分の波がありまして、ご機嫌斜めの日に当たると9割落とされます。
 次に、彼には学生に必ず答えてほしい知識がありまして、それは研究者の間では常識でも、我々には専門的過ぎて教科書にも載っておらず、彼が作った大量のプレゼンテーションにのみ記述を発見することがしばしばありました。文字数やや少なめのプレゼンテーションの行間を読みながら目を通すのは骨が折れました。
 日本と比べると不公平かもですが、要求の厳しい教授がいるのは特に理系学科ではよくあるようです。運も合格の構成要素です!

Physiologyの授業形態

週二で、90分の任意参加の講義と、180分の必須参加のPractical(実習)がありました。Practicalには3種類あり、
①普通のPractical: 理論の確認したり、実際に器具を使って測定、実験をします
②シミュレーション:  呼吸、拍動などを再現できる人形を使って病的サインとその対処法を学びます。
③テスト: 4週間に一度上記の2つで学んだことをテストします。

【コメント🤔】
 ③のテスト問題は〇✕型式なのですが、理由が曖昧で、解答をみた後もあまり納得しない問題ばかりだったので、ひたすら過去問の答えを覚えて臨みました。すっきりしないテストでした。

学んだことの一部

私が勉強した内容の一部をトピックと共にご紹介します!
ルー語がひどいですがご容赦ください😅
※アウトソースの画像はぼかしています
※教材目的ではありませんので、正確で詳細な説明は信頼できる資料をご覧ください

例1
The ionic basis of the resting potential in the heart と
Ionic currents underlying the cardiac action potential and pacemaker potential

このトピックの私のノート

 心臓には主に2種類の細胞があります。Pacemaker cell(@SA node, AV node, Right marginal trabeculae) と Cardiomyocyteです。後者にはResting membrane potentialもAction potentialもありますが、前者にはResting membrane potentialはありません。
 Pacemaker cell のDepolarizationにはNa+, Ca++が貢献しています。Ca channel にはT-type と L-typeがあり、後者の方が遅く開きます。RepolarizationにはK+が貢献します。
 CardiomyocyteのDepolarizationには当初Na+が貢献しますが、遅れてCa++が流入し、depolarizationを長引かせます。これは確実な心筋の収縮に大切です。RepolarizationにはK+が貢献します。
 独特なDepolarizationのパターンにより、CardiomyocyteのAbsolute refractory periodが長いのもポイント。

例2
Examinations of the renal function, clearance

 腎臓の機能を評価する公式たちです。
腎臓である物質が最終的に尿で排出されるかは、Filtration, Reabsorption, Secretion, Metabolismのバランスによって決まります。
1, Clearance: 上記4つを加味して、単位時間中にある物質がどれだけ血漿から取り除かれたか。
2, Glomerular filtration rate(GFR): 単位時間中にどれだけFiltrationが行われたか
3, Renal plasma flow: 単位時間中にFiltrarionとSecretionが合わせてどれだけ行われたか。
4, Renal blood flow: 尿として排出される物質は血漿に溶けているため、赤血球の部分も加味し、単位時間中にある物質がどれだけ血から取り除かれたか。
・Inulinは、糸球体にやってきた全てがFiltrationによって排出されるため、GFRの測定に使います。ただし人工的に体内に入れる必要があります。
・CreatinもGFR測定に使えますが、Inulinよりも精度が低いです。ただし体内で自然に作られる物質です。
・PAHは、糸球体にやってきた全てがFlitrationとSecretionによって排出されるため、Renal plasma flowの測定に使います。

例3
Motor functions of the basal ganglia

この問に対する私のノート。
他人が作ったノートや、自分が過去に作ったノートがわかりやすければそのままコピペ!
省エネ&時短です。

 脳の中心部にBasal gangliaと呼ばれる部位があります。具体的には、Caudate nucleus, Globus pallidus, Putamen, Subthalamus, Substantia nigraの総称です。それらは筋収縮を司るDirect pathwayと、筋弛緩を司るIndirect pathwayの構成要因です。役割は、簡単にいうと、大脳皮質から送られてきた指令にGoサインを出すことで、その場に合った行動をとるために大切になります。
 Basal gangliaが起因の病には、パーキンソン病、ハンチントン病などがあります。

例4
Function of the retina

この範囲の私のノート。1ページにすっきり収まる問題も、何ページにも渡る問題もあります。

 網膜を構成する10層についてや、そのうち特に大切なPigmented cell, Bipolar cell, Ganglionic cell, Photoreceptors(Rod cell/Cone cell)の詳細、網膜の特徴的構造(Optic disc, fovea centralis, Macula)などについて勉強しました。

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