口座振替案内はがきにナッジを使ってみました(狛江市 納税課×こまえのデザイン.)
こんにちは、こまえのデザイン.です。
最近、雨が続いてますね。
さて、こまえのデザイン.では、"地域住民とのコミュケーションデザイン"の観点から、市役所の情報発信の改善を進めています。
今回は、納税課とこまえのデザイン. が共同で作成した『ナッジを活用した固定資産税の口座振替案内はがき』をご紹介します。
固定資産税って?
固定資産税は、毎年1月1日時点の市内の土地や家屋などの所有者に賦課される市税で、狛江市では毎年40億円程度の収入(歳入)になっています。
毎年5月上旬に、土地や家屋の所有者に「納税通知書」が送付され、5月、7月、12月、翌年2月と年4回の支払い(納期限)があります。
納期限と延滞金
固定資産税も含めて、市税にはそれぞれの税目ごとに納期限が設定されていて、納期限までに市税を納めないと、納期限の翌日から納付した日までの日数と税額に応じて、延滞金が加算されます。
この延滞金の利率は、納期限後1か月以内が年率2.4%、それ以降が年率8.7%となっています。(令和4年8月時点)
これは、例えば10万円の市税を納期限から90日間延滞した場合に、1,600円の延滞金がかかるという計算になります。
このように、市税を納めないまま納期限が過ぎてしまうと、納税者にとっては余計な出費が増え、行政としても、督促や催告を行うためのコストがかかってきます。
そのため、市税の徴収を行う納税課では、以前から "納め忘れ" のない金融機関からの口座振替を推奨していて、広報こまえに必要な手続きを掲載したり、毎年度の「納税通知書」に口座振替の申込用紙を同封するなどしてきましたが、口座振替の利用率は思うようには伸びていませんでした。
"ナッジ" を使おう!
そこで、今回は納税課のT係長の発案で "ナッジ" を活用した口座振替案内はがきを作成することとしました。
T係長は、過去に横浜市戸塚区と三菱UFJリサーチ&コンサルティングが共同で行った実証事業で、このナッジの活用に一定の効果が確認されていることも既に調べていたため、今回の案内はがきにナッジを活用することは比較的スムーズに決まりました。
さて、どんなメッセージにしよう。
さて、ナッジを活用することが決まったところで、次に案内はがきに記載するメッセージを考えます。
ナッジを活用したメッセージにはいくつかの種類があるのですが、今回は、
口座振替により、"納め忘れ"のリスクが9割近く減少することを伝えるもの(※)
延滞金の利率が高いことを強調して、だから口座振替をお薦めしてます、というもの。
という2つのパターンの案内はがきを作成することにしました。
(※納期限が過ぎ、督促状をもらってからすぐに納付された方と、口座振替にしていたけど残高不足で引き落としできなかった方を"納め忘れ"と定義し、この割合の差を"納め忘れ"のリスクの差としました。)
案内はがき、完成!
そして、1週間ほどの作業と調整の後、できあがった案内はがきがこちら。
いずれのパターンも、納め忘れのリスクを具体的な数字で伝えるとともに、必要な手続きは3つのステップで表現しました。
また、このデザインは、すべてパワーポイントで作成してあり、今後の必要な修正も簡単に行えるようにしています。
この案内はがきで、実際にどのくらいの方に口座振替を申し込んでいただけるのか。
今回の案内はがきの効果検証は、また別の記事で行っていきたいと思います。
おわりに
今回は、普段市民の皆様があまり目にすることがない、市税徴収の取組みの1つをご紹介しました。
この事例も含め、納税課では市の行政サービスに必要な原資となる税金を、市民の皆様から公平・公正にいただくための取組みを日々重ねています。
近年、狛江市の市税の徴収率は高い水準を維持しており、直近3年でも、都内26市で2位→1位→3位(※99.7% 令和3年度決算/現年課税分/市税)と高い順位を維持しています。
市民の皆様におかれましては、日頃から市税の納期内納付にご協力いただき、誠にありがとうございます。
今後も、狛江市の行政サービスを安定的に提供していくため、引き続き、納期内納付へのご理解、ご協力を心よりお願い申し上げます🙇(G)