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読み手への伝え方に悩むあなたへ!情報デザイン研修を実施しました。

こんにちは。こまえのデザイン. (狛江市未来戦略室)の石崎です☀️

突然ですが、自治体職員の皆さんにお伺いします。
みなさんが普段使っている説明資料や申請書、チラシは見る人や使う人にとって分かりやすいものになっていると感じますか?

日々の業務に追われ、なかなかデザイン面まで手が届かなかったり、そもそも伝えたいことをどう資料に落とし込めばよいのかわからない…という方もいるのではないでしょうか。

このたび、チラシやパンフレットなどを作成する前に行う情報整理の手法デザインのテクニックを学ぶ情報デザイン研修を開催しましたので、その内容をリポートします。


講師はKOMAE Designer's Lab. の吉川アートディレクター。

今回講師をしていただいたのはKOMAE Designer's Lab. の吉川 D.なぎささんです。
吉川さんには以前、「まちづくり条例」概要版パンフレットに関するデザインアドバイスにご協力をいただいていました。

まちづくり条例とは?
市民、事業者および市の三者の協働により、安心して暮らせる、やすらぎのある住環境に配慮したまちづくりを実現するため、土地利用や建築等に関する手続きを定めたものです。
一定規模以上の開発や建築などと、すべての共同住宅の建築を行うときには、狛江市まちづくり条例に基づく届け出などの手続きが必要です。

この条例自体はかなりのボリュームがあり、概要版のパンフレットをまちづくり推進課の窓口で配布したり、HPに掲載しています。
ただ、手続きに関する問い合わせも多く、この機会にデザインを一新し、読み手に伝わりやすくしたい!という相談がまちづくり推進課の担当者から寄せられ、そこからプロジェクトが始まったものです。

アドバイスの一例

あわせて吉川さんにまちづくり条例の手続きのフロー図の改訂をしていただきました。
フロー図の改訂では、吉川さんと担当でキャッチボールしながら、混在している要素の整理や、読んでもらいたい部分の強調などを行い、読み手が受け取りたい情報を第一に伝えられるよう整理しています。

元の手続きフロー図
完成後の手続きフロー図

このプロジェクトを通じて、読み手に何かを伝える際はデザインに落とし込む前に、まずは伝えたい情報の整理や順位付けをすることが大事であることを実感しました。

情報デザイン研修を開催するにあたっての思い

私たち自治体職員は説明用資料や周知用媒体(チラシ・パンフレットなど)を作成する機会が日常的に多くあります。
ですが、どんなに素晴らしい取り組みを行っていたとしても、読み手に情報を伝える際、相手がきちんと情報を受け取れるよう内容が整理されていないとうまく伝えることができません。

このことについて、こまえのデザイン. では、地域のデザイナーさんにご協力をいただきながら市の事業のデザインアプローチを一緒に考えてきました。
一方で、チラシ等の周知用媒体を作成する前の情報整理については、なかなか学ぶ機会を作り出せずにいました。

ビジュアルを作成する前に、情報整理することが大切です。

このような経緯もあり、多くの職員に情報整理の大切さとデザインテクニックを知ってもらう機会を作りたい!ということで、今回吉川さんに講師を依頼する運びとなりました。

さっそく研修開始!

はじめに、デザインの基礎と情報整理のコツについてお話いただきました。
次に、事前に参加者から寄せていただいた、デザイン面や情報の伝え方に困っている資料(チラシ・ポスター・パンフレット・説明資料等)とそのお悩みに対し、実践編解説編でアプローチしていきます。

まずは実践編。

【実践編】ワーク① 講演会チラシ

毎年福祉相談課で行っている狛江市精神保健福祉講演会のチラシです。
今年の講演会は「やわらかい治療・やわらかい回復」というタイトル。精神科の治療に関心がある方や支援者を中心に誰でも参加可能なもので、「心を耕していく回復の過程」を講師にお話しいただく内容になっています。

担当者からはこんなお悩みが寄せられました。
・興味を引くデザインになっているか?まいど満足感がありません。
・フォントの使い方に迷っています。(どこに、どのように効果的に使うか。種類は絞ったほうがよい?チラシに適したフォントは?)

まず情報を整理しながらチラシに載せたい文字要素や配置を考え、紙にラフ画を書きながらまとめていきます。
その後、Canvaを使ってデザインを書き起こし、発表を行いました。

参加者に作成いただいたチラシの一例

参加者からは、以下のようなアイデアが寄せられました!

  • 「心を耕す」「やわらかい回復」という言葉から、こころがやすらぎ、雲のようにやわらかくなるという意味を込めて青空と雲をチラシのビジュアルに取り入れてみました。

  • 「狛江市精神保健福祉講演会」というサブタイトルを強調し、何のチラシなのかをわかりやすくしてみました。

講師からのコメント
・チラシの中で何を一番伝えたいか?を皆さん考えられていると感じました。限られた時間の中、Canvaを使ってビジュアルまで作っている方もいて、本当に素晴らしいと思います。
・こちらのチラシは、「ターゲットに対して何を伝えたいか?」によってレイアウト構成がいろいろ考えられると思います。
・例えば、この講座が介護をしている人や介護者の家族など、当事者をターゲットとするなら、どんな講師が話をするのかが伝わるよう、講師を一番目立たせるという手段もあります。それにより、この講師のお話をぜひ聞いてみたいという人が参加してくれるかもしれません。
・リード文やキャッチコピーを工夫する手もあります。
・参加費無料は強調すると参加のハードルが下がるかもしれません。
・QRコードはもう少し小さくしてもOK。
・チラシに余白を設けると見やすくなります。

【実践編】ワーク② 課税証明書の発行方法周知用チラシ

課税課で発行する市民税・都民税の課税証明書は、マイナンバーカードを活用してコンビニで取得することができます。
毎年、新年度の証明書が開始するタイミングは窓口が混雑します。そのため、少しでも多くの方にコンビニ発行を活用してもらえるよう、証明の発行方法の周知用チラシを作成しています。

担当者からはこんなお悩みが寄せられました。
・チラシは市民課の窓口に掲示しています。
・昨年度のチラシは文字が多かったので、今年は少しデザインを変えてみました。

さっそく、紙にチラシに載せたい文字要素や配置を書き起こし、発表を行いました。

参加者からは、以下のようなアイデアが寄せられました!

  • コンビニで発行すると窓口よりも100円安く発行できるので、少しお得な点を目立たせてみました

  • タイトルを大きく掲示して、このチラシで何を伝えたいのかわかりやすくしてみました。

講師からのコメント
・それぞれ見せ方が工夫されていて、とても良いと思います。イラストを使ったり、表を使ったりで、読み手にどう伝えたいかがしっかり考えらえていると思います。
・「何の証明書がコンビニで発行できるのか?」ということをチラシの中で一番目立たせるのが良いと思います。
・背景のイラストの上に文字が重なっていると可読性が下がるので、要注意!
・QRコードの位置はもう少し下に置いても良いと思います。上半分には一番伝えたいことを配置すると良いです。
・こちらも余白を設けると見やすくなります。

解説編をダイジェストでお届けします。

そのほか、3つの資料に対してアドバイスをいただきました。

【解説編】公民館利用案内パンフレット

公民館の利用案内を説明するパンフレットです。20ページほどのボリュームで、文字が中心の資料となります。
公民館を使用される方に対して配布しています。

担当者からはこんなお悩みが寄せられました。
・市民の方に読んでいただける資料にしたいです。
・利用者の8割が高齢の方なので、読んでもらいやすい見た目にもしたい。
・文字だらけで絵が少ない?イラストや解説画像を入れるかどうかについてもアドバイスをいただきたいです。
・内部の職員向けの資料としても活用したいと考えています。

講師からのコメント
・イラストや写真は少しでも構わず、とっつきやすい言葉に直したり、フォントを工夫するとよいと思います。
・高齢の方はそもそも長文を読まず質問する傾向があるので、ページネーション(台割)を考えると良いと思います。
・文章の内容を1ページに収めるのではなく、あえて複数ページに分けて見やすくするという手段もあります。
・カテゴリ分けを見やすく工夫するなども手。

【解説編】保育園入所案内パンフレット

児童育成課で発行している保育園入所案内のパンフレットです。

担当者からはこんなお悩みが寄せられました。
・過去の情報を核に毎年継ぎ足して作成しているため、わかりにくいと感じます。冊子のどこかの目次だけでも、わかりやすく伝える方法を学んで直してみたいです。
・パンフレットの一部を抜粋して、お知らせ用のチラシを作成したいと考えています。

講師からのコメント
・こちらもページ数が多いのでページネーション(台割)を考えるのが大事です。
・マージンや行間、余白を工夫すると見やすくなります!
・巻き物の囲い枠は少し古さを感じるかも。
・情報量が多いため、チラシを作成するとなれば内容を整理したうえで文章をかなり削る必要があります。

【解説編】用地取得の流れに関する説明用資料

こちらは整備課で発行している資料です。
土地所有者、かつ市に土地を売っていただきたい方に対して説明する際にお渡しするものです。

担当者からはこんなお悩みが寄せられました。
・初めて内容を説明する方に対して、趣旨と概要を確実に理解してもらいたいと思っています。
・制度が難解で、聞き手には馴染みがない内容となっています。また、市はお願いする立場であり、強制的なものではありません。

講師からのコメント
・資料中の「流れの矢印」が目立つので、目立たせないように工夫しつつ、内容をしっかり見せていくとよいと思います。
・タイトルはターゲットを主軸に考え明確にすると良いです。
・マージンや行間、余白を整えるなどのデザイン的な工夫すると見やすくなります。

研修後アンケートの結果は…。

研修後のアンケートに寄せられた感想の一部はこちら。

  • お役所仕事になりやすい部分について、改善が出来るようなアプローチの多い内容だったと思います。マージンの考え方や情報の優先順位の付け方は非常に参考になると思いました。

  • 修正前・後の資料の提示で、どのように改良したのかが目視でとても分かりやすかったです。

  • 実例があり、自分の回答に対し修正点を教えていただけ、他の方の内容を見れていろいろなパターンの修正が知れてよかった。

  • 他の方のアイデアを、具体的な題材に基づいて、見聞きしたこと。そのことで、沢山の気付きをいただいた。

研修を終えて

今回の研修では事例ごとのお悩みに合わせ、丁寧なデザインアドバイスをいただきました。
また、他の参加者の制作物を見ることで、自分では思いつかなかった切り口やアイデアを学ぶことができました。
吉川さん、本当にありがとうございました!

今回の研修も含め、こまえのデザイン.事業を通じて市の事業にデザインのアプローチが入ることで、市民の皆さんのより良い暮らしにつながってくれたらと願っています。

以上、ここまでお読みいただきありがとうございました!

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
よろしければ、スキ❤️やコメント💬をいただけると嬉しいです!
※このnoteは、狛江市未来戦略室のスタッフ3人が交代で執筆しています。それぞれの文章のスタイルもあわせてお楽しみください。

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