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築22年、テレビドアホンが鳴らなくなった
我が家を新築完成したのは、2002年の初夏だった。このアイホン社のテレビドアホンの不調に気がついたのは今年になってかららしい…実際問題鳴らないという事象を気がつくのは荷物が届かないということを何度か経験していたようだった。はっきりとした再現性は確認されなかった。我が家の構造は一階は鉄筋コンクリート打ちっ放しなので、玄関先からの音はドアをノックでもされない限りは聴こえないのだ。
テレビドアホンが上手く鳴らなくなったということは、設置から20年も経過しているので致し方ないことでもある。問題は、自らが気づきにくい状況で周囲の方にご迷惑を掛けていたのではないかということだった。今回は、細君が終日在宅していたのに、不在票が届いていた事から判明したのだった。おかしいなと思い再配達をしてもらったときには遠くの別の家のインターホンが鳴っているように聞こえていたとのことだった。親機側は鳴らなかったのに、実際に子機側は鳴っていたのだった。そう、テレビドアホンのシステムは複雑で親機と子機とで相互に通信しつつ別々に鳴動しているというものだった。
この荷物を受け取ることで、テレビドアホンの故障に気が付き荷物を受け取った後に何度か、子機操作をすると偶になることもあったようだった。子機側では、鳴っていたようだったので気づかずにご迷惑をかけていたのは今回が初めてではなかったのかも知れない。別宅で週末活動していた私が、顛末を聞いたのは月曜帰宅したときでありインフラ担当としては重大な問題として最重要案件となった。
親機側の不具合については、数年前に発生していた時に増設機を中古購入して対応していたのだが、修理は繰り延べになっていたことを思い出した。一式入れ替える必要もないので、まずは子機について緊急に修理することにした。ちなみにアイホン社の白黒テレビドアホンは歴史的な時代の産物でもあり、傾斜型の薄型ブラウン管(SONY)が搭載されているものだった。時代は、新機能が追加されていく中でも、シンプルな設置工事の観点からは現在でも2線式でいるらしい。給電もこのチャイム用ケーブルに重畳してくるのだろうから、劣化するのは給電・通信を行うアナログ回路主体のメインボードであろうことは明白だ。
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子機を取り外してみると、左側の大きな基板が通信制御アナログ処理給電などのメイン基板であり、右側はカメラ制御基板であることが分かる。今回の修理すべき基板はメイン基板側だ。劣化原因から考えてみても電解コンデンサの容量劣化であると考えてよいだろう。
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メイン基板をひっくり返して本来の部品実装側(背面にも実装はされていたが)を見ると、調整用VRやコイルなどが並び、表面実装型の電解コンデンサが立ち並んでいる。まずは、スマホで取った写真から電解コンデンサの耐圧と容量をメモしていく。最悪ボタンスイッチだけを付けてもまずは時間稼ぎは出来るのだが・・・直すことが先決だ。
33uF/25V : 1点、10uF/16V:7点、4.7uF/25V:1点、47uF/16V:3点、100uF/10V:2点だった。表面実装の電解コンデンサは、自宅には在庫していないので直ぐに入手可能な小型立型のものを探して倒して実装するしかないと思いメモを印刷して手に取りかつての横浜電気街であるエジソンプラザに向かうことにした。横浜近郊で電子パーツがショップで買えるのは、石川町のエジソンプラザにあるシンコー電機とタック電子販売の二店、小机駅と川崎駅にあるサトー電気の二店舗である。徒歩圏で石川町まで行ける自宅環境は恵まれている。片道凡そ6000歩で行ける。
玄関からテレビドアホンの子機は外して、「故障中ですので、ノックしてください」と書かれた貼り紙を残して、散歩をしつつエジソンプラザのシンコー電機を目指していた。途中で郵便局での振り込みやメルカリで出品していた品物の発送などをしつつ散歩をしながら、ほかに必要なものがないかどうか思索をしていたところメモを印刷してきた筈だが気が付くと買い物袋に入っていないことに気が付いた。スマホに写真があることを思い出したので部品棚の所で確認しながらで良いかと思いなおし直行した。ルートは平戸桜木道路を抜け、黄金町から伊勢佐木町を抜け、鎌倉街道を横切って横浜橋商店街の雑踏を抜け、中村川沿いに進んだ。横浜駅根岸道路に交わる少し手前から川が折れていく、道の前方には根岸線が見えたので直進した。横浜駅根岸道路を越えると、そこは港湾労働者の町という寿町だ。簡易宿舎が立ち並び、ハローワーク横浜港労働出張所いわゆる日雇いの斡旋窓口などを横目に歩きを進める。周囲の雰囲気は明らかに違うので散歩にはお勧めしない。
新横浜大通りにまで進むと町の様相は普通になる。地名としては、まだここは寿町ではあるのだが・・・。新横浜大通りを松影町二丁目で左折するといよいよエジソンプラザは間近だ。一階がローソンのビルは手前にエレベータがあり、こちらが通常はお勧めだ。今回は、労務者風の怪しい感じのお兄さんがコンビニから出てきてそのままエレベータに入っていったので、やり過ごした。上層階がマンションのビルなので入口まで進み、二階へは階段ではいった。何しろ50年近く前に作られた当時のマンションで一階と二階には秋葉原を目指した電子部品店が立ち並んでいた構造なので、セキュリティなどの観点でいえば昭和な感じのビルなのだ。先ほどのお兄さんは、いわゆる足元を見て歩くタイプの人で多分この地区以外で見かけることはない。10年ほど前のアメリカではサンディエゴなどでも普通にいて、バスに乗りながら各バス停で下りては見まわして、また乗り込むというのも見かける。普通の人はバスに乗らない・・・と同僚に言われた。今はもっと多いのだろう。
さて、現在は電子部品の二店舗が残っているこのビル二階でシンコー電機を目指してまずは営業していることにほっとする。このお店を営まれているのは、渡辺さんでご高齢ですが頑張ってショップでパーツ在庫や入荷したジャンクをしっかり販売いただいていらっしゃいます。昨今のSMDパーツまではありませんが、修理に必要な部品はまだまだ使うことができます。今回の修理に必要な部品は手に入れることが出来ました。役に立つ必要なものは合わせて買わせていただいております。今回は部品メモを忘れてきたので、スマホを広げて必要なコンデンサを確認しつつ員数をチェックしながら、電子部品屋さんの定番である部品皿にひろっていき数と実際の仕様を再確認していった。金属皮膜抵抗のコーナーにスマホ手帳を広げていたので、事件が起きてしまいました。
スマホ手帳に仕込まれていた蓋を留めるマグネットが抵抗を釣ってしまい、乱してしまいました。カラーコードを確認して抵抗陳列を直してようやく、部品収集は完了、合わせて半田吸い取り線と基板用フラックスは予備に購入しました。里に行けばあるのですが急な展開なので火急に準備するというために購入しました。さて、ご高齢のおばちゃんですが計算は電卓叩きながらルーペで規格を確認すると値段はすぐに出てくるようです。コンデンサだけの価格は360円でした。自宅までは歩きで戻りますが、途中で自宅近くまで通るバスに抜き去られそうなことが分かり途中で切り上げバスで戻った。
家に戻ると、事件はもう一つ起きていた。出かけている間に宅配便の配達が来たらしく、その際のやり取りでノックした相手が宅配便ではないと勘違いして部品手配に買い出しに出かけた私が何らかの事情でノックしたのではないかと思いこんで若干の怒りをもって対応しようとしたらしくドアを開け瞬間に誤解を知り、笑顔に切り替えた対応をしたということだった。私に非はないと思われるのだが・・・。いや・・押しボタンスイッチは買い忘れた、しっかり治さねば・・・。(-_-;)
表面実装のコンデンサは、外すのが大変です。部品の端に少しだけ見えるリードを両方から加熱してひねる形で取ります。二刀流の半田ごて使いか、ツインヘッドの半田ごてで摘み取るかの二択ですが、今回は前者の方策をとります。電池駆動の半田ごてと交流駆動の半田ごての二刀流。すべてのコンデンサを交換すべきかどうかという点ではリストアップしたものから10uFと4.7uFの物は一旦除外して大きなものだけを交換することにした。回路図の全貌が分からないなりにも、小容量の物はDCデカップリングするような用途だろうと考え回路を駆動するチャイム信号からの給電に基づく電源系統用途と思われる33uFと47uFと100uFに絞ってまずは交換することにした。ツインヘッドの半田ごてではないので、狭い基板の上で細いコンデンサに対応するのが難しいということでもあった。全交換を先送りにしたのはそういう事情でもある。
一番大きな100uFを一つ交換して進め方の手順確立が出来たところで一旦、夕食に中座した。食事を終えて、先ほどの手順を再確認して臨んだ。あらかじめ加熱が済んでいる温調半田ごてでコンデンサの見えているリード予備半田をする。0.3mm細い半田で対応した。その後二刀流に持ち替えて左手で、充電半田ごてのスイッチを押しつつ加熱をまつ。立ち上げた半田の先を充電半田ごての鏝先で溶かせることを確認してから両手で両サイドから挟み撃ちする。ちょっと待ち挟み込んだ両手で回転させるように捻るとコンデンサが外れる。鏝を外してコンデンサを回収する。出てきたコンデンサがついていたランドに予備半田をする。立型コンデンサを倒した形での実装となるので周囲の部品状況を確認して方向を定めてあらかじめリードを折り曲げ加工してランドに直接半田付けできる高さと長さに切り詰める。コンデンサのリード先にも予備半田をしてから左手で位置を確認しつつ押さえて、右手で半田付けをする。片足が半田付け出来たら、残りの足を調整してランドに合わせて半田付けする。これを繰り返して、完了だ。
接続していた時の状況写真に基づいて、復帰工事をする。ちなみにこのタイプのテレビドアホンはチャイム信号線に低圧で電源重畳をしているので電気工事士の資格は必要がないので、この一連の作業自体は違法ではない。
接続したテレビドアホン子機のボタンを押すことで、子機は鳴動した。また室内からは細君が「鳴ったよ、テレビもついたよ」と声がした。まずは、良いかなと思ったが、音声が通る確認をしなかったので、細君の手がすいたときに残りの確認を終えた。残るコンデンサの交換はツインヘッドの半田ごてを持ち帰ってからの対応としよう。子機の延命は果たせたが、同様な問題が親機にも起きるし、なによりブラウン管の寿命もありそうだ。来年大災厄が起きるという予知もあるらしいので、落ち着いてから取り組もう。シンコー電機の渡辺さんのご健康も併せてお祈りしたい。