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レッスン4.付け焼刃のアイデンティティが本物になる日まで

あけましておめでとうございます。松の内も明けたというのに、のっけから昨年の話でごめんなさい。

去年の暮れ、ライター・編集者向けの「パラレル親方」というイベントに参加してきました。ざっくり言うと、複数の先輩ライター・編集者たちが、後輩を育成するために弟子を募るべく、弟子候補者たちと顔を合わせてフランクに話し合うマッチングイベント、といったところです。

イベント開催のきっかけや当日の様子は既に多くの方が書かれているので割愛し、ここでは私がイベントで感じたこと、それに対する自分なりの答えを書き記しておこうと思います。

ライター・編集者業界って、個性が無いと歯車にすらなれない場所かもしれない

イベントでは、親方&親方候補、そして現在親方の下で働くお弟子さんたちがそれぞれ、どんな分野の記事をどういう思いで作っているかお話されていました。内容もさることながら、ひとりひとりの持つ輪郭の明確さ、みたいなものが印象に残りました。

登壇者の皆さんは、自分の感じたことや考えていることを淀みなく喋っていました。表現のレパートリーもそれぞれ違っていて、面白くて、練られていて、「キャラが立っている」ってこういうことを言うんだなあと感心しきりでした。

ただ、同時に抱いたのは、「私、この業界で生き残っていけないかも」という強い危機感でした。

例えば、企業や公的機関の一員として働く場合と、ライター・編集者の働き方とを対比して考えてみます。前者では個人のスキル(例:英語に強い、法律の知識が豊富)を生かすことはあっても、個性を強く出して仕事をするというのは、あまりないと思います。どちらかというと、個性は薄めて、代わりがいくらでもいる状態にしておくのが無難かつ理想的な働き方になるでしょう。

後者はその逆です。自分の得手・不得手、好き・嫌いを把握し、目の前の出来事にどんな感想を持つか、が大事にされます。個性は殺さず、その人のままで仕事をするよう求められます。これは大きな違いです。

要するに、ライター・編集者は、自分の意志と仮説を持っていないと仕事にならないってわけです。

昨年2月から専業ライターとして仕事をする中で、自分の仮説思考の乏しさや意見を言えない点は気にしていました。他の人を見ると、企画もばんばん出すし上司に意見するし、なんというか、自分と正反対……。

イベント参加で、こうしたもやもやが確信に変わった私は、自分には個性なんてない、と落ち込んだまま会場を後にしました。

ひたすら自分を振り返って、かろうじて「好きかもしれない」ことを見つけた

しかしです。イベントで得たものが気分の落ち込みだけでは辛すぎます。個性がないなら、好きなことがわからないなら、見つければいいだけの話です。

そこでイベント後1週間ほどかけて、自分の好きなことややりたいことを書き出しました。また、前職・前々職のノートや手帳を読み返し、自分がどんな人間なのか掘り起こしてみました。

その中で、「もしかしてこういうことが好きかも?」という仮説が2つが浮かびました。1つは「私は人の欲望を掻き立てるのが好き」、もう1つは「コミュニティの維持・形成に携わるのが好き」ということです。

記事広告を書きたいと常々思っているのも、ネットニュースより読み物やライフスタイル系のメディアに魅かれがちなのも、つまりは「人の欲望を掻き立てるのが好きだから」。ファンと一緒に媒体を作っていきたいと考えるのも、「コミュニティの維持・形成に携わるのが好きだから」なのだと思います。

もしこれが本当なら、立派な個性といって良いんじゃないでしょうか。だってこれ、環境が変わっても歳を取っても変わらないような気がします。

もちろん、この2つの「好き」は、たぶんライター・編集者じゃなくても実現できます。むしろライター・編集者じゃなきゃ絶対だめな理由が分かりません。職種はあくまでも手段です。業務独占資格でもないし。

ただ、今はこの場所で頑張りたい。人の思いを汲み取って言葉にして、伝える力を磨いて、誰かの欲望を掻き立てて、一緒にわくわくしたい。それが今の私の偽らざる本音です。

たとえ弟子に指名されなかったとしても

パラレル親方は、親方衆&親方候補が参加者の中から声をかけ、弟子が決まっていくシステムだそうです。

経験は何物にも代えがたいし、できれば収入も増やしたいので、声をかけていただけたら嬉しいですが、弟子に指名されてもされなくても、私が今後取り組むべきことは変わりません。

自己分析と定期的な情報発信。これに尽きます。

イベント参加をきっかけに急遽こしらえた「2つの好きなこと」が、本当に自分の個性なのか確証はありません。それでも、個性を作り上げていくための出発点くらいにはなりましょう。

新しい1年が始まり、自分を変えるには良いタイミングです。付け焼刃のアイデンティティが本物になる日まで、こつこつ積み重ねて行きたいと思います。

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