黄昏の橋を渡れない男_25

アキラにとって、仕事はかつて安らぎの場所だった。長年勤め上げた部署では、彼の能力が認められ、同僚との絆も深かった。

しかし、運命のいたずらか、彼はある日、他の部署への異動を命じられる。
この変化は、彼の人生に予期せぬ暗雲をもたらすことになった。

新しい部署での生活は、最初から困難を極めた。受け入れられない視線、聞こえてくるささやき。
そして、何よりも彼を苦しめたのは、新しい上司からのパワハラだった。冷酷な命令、理不尽な批判、絶え間ない監視。

彼の存在自体が否定されるかのような日々。アキラの心は徐々に折れていった。

かつて彼を支え、彼自身のアイデンティティの一部ともなっていた仕事への情熱が、今や消え失せようとしていた。

毎朝、鏡に映る自分の顔は、日に日に色を失い、目は希望を見失った空洞へと変わっていった。仕事への熱意、生活への喜び、自己の存在意義すらも、彼から徐々に剥がれ落ちていく。
仕事場での屈辱は、彼の心に深い傷を残し、彼の世界を灰色に染め上げた。

存在するすべてのものに対して感じる無力感は、彼をさらなる絶望の淵へと引きずり込む。
かつて光り輝いていた彼の世界は、今や無色の影に覆われてしまっていた。

アキラは自分がもはやこの世界で生きる場所を見失い、漂うばかりの存在となってしまったのだ。

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