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「君は君だ」から見る「BATON=RELAY VOICE HEROINE STORIES」の哲学 ※ネタバレあり

【導入】

 「BATON=RELAY VOICE HEROINE STORIES」という作品をあなたはご存じだろうか?おそらく、大半の人がまだ名前すら聴いたことのない作品であると思う。「BATON=RELAY VOICE HEROINE STORIES」は、現実のほやほやの新人声優に、新人声優の役をあてがい、その成長と夢へ突き進んでいく旅路を楽しむ、という2019年から始まった、新しいコンテンツである。このコンテンツを知らなかった方は、この解説文の形をした駄文を読むよりも、あるいは読んだ後に、バトンリレーのスマートフォン向けゲームアプリと、各配信サービス、CD等で、バトンリレーの楽曲を聴いて欲しい。そして、この記事には多くのネタバレ(歌詞・ゲームシナリオ含む)を含んでいることもご了承いただきたい。

※バトンリレープロジェクトの全ての歌は作詞zopp先生(代表作:青春アミーゴ、抱いてセニョリータ、中川かのんの楽曲)、メインシナリオはしめさば先生(代表作:ひげを剃る。そして、女子高生を拾う)という天才達が書いているので、彼らがどこかのインタビュー等で以下の私とは別の解釈をお話しされていたら、全面的にそちらを信用していただきたい。

【本編】

 「君は君だ」は、本当に「Cult Quartet」の主題歌としての意味しか持たないのだろうか?それならば、「Start me up」で始まって、「ミライ=バトン」でしめた方がきれいではないか?CDジャケット的にも。
 そう考えた私は、2ndEPのラストに「君は君だ」がある理由について、答えが存在することを前提に、答えを考え始めた。
 以下、私は、2020年6月17日に発売された「BATON=RELAY Project」 の、2ndEP「ミライ=バトン」の中の、「君は君だ」の一曲から、「BATON=RELAY VOICE HEROINE STORIES」プロジェクト全体の哲学、考え方についてを論じたい。

1. 1番と2番について

 歌詞カード等をお持ちの方は「君は君だ」の歌詞をご覧頂きたい。この曲の1番と2番は大きく違う。2番では、「ミライ=バトン」の”バトン”と同じくらい重要な、”声”という語が入っているのに対し、1番は含まれていない。これは、2番に何かあるぞ...と思ってしまうのは自然である。
 以下、「君は君だ」の”声”が含まれる歌詞の全てである。

声はあげるためにある
決して黙る必要はない
勇気出して間違ってるって
声はあげるためにある
伝えなくちゃ分からないよ
君の声で 自分らしく叫べFree yourself
(「君は君だ」 作詞:zopp 歌詞の一部より引用)

前半部分は、「Cult Quartet」のみに関連しているが、後半の太字部分は、アニメだけでなく、バトンリレーという作品全体に関わる内容にみえる。
 次章では、この後半部分を中心に考察を進めていく。

2.ティザーPVとの関連

 バトンリレープロジェクトで一番最初に公開された動画は、このティザーPVである。まだ見たことのない方はこちらからぜひ見てほしい。(You Tubeにとびます。)
『BATON=RELAY』(バトン=リレー)ティザーPV - Start me up (You Tube より)


 このティザーPV、内容はそんなに多くない。画面に映し出されるお知らせ以外の文字は、

だから私、
絶対に合格したいんです!

想いは"声"に宿る。
声がつながれば、
"物語(ストーリー)"が生まれる―
(『BATON=RELAY』(バトン=リレー)ティザーPV - Start me up より引用)

のみである。また、語られる言葉も桜美聡の「今までは勇気が出せなかったが、合格したい(変わりたい)」という趣旨のものだけである。
 実はこのティザーPVのみが、キャスト変更の後も変えられなかった。他のティザーPVや動画はほとんど全て変更になったにも関わらず、である。キャラクターPVにいたっては、全員で言う「よろしくお願いします!」を新キャストを含めたものに変更するためだけに、新しく上げなおされたほどの徹底振りである。
 なぜ、このPVだけ変更されなかったのか?私はティザーPVやこのPVを皮切りに始まった、「BATON=RELAY VOICE HEROINE STORIES」の2019年5月(ティザーPV公開)〜2020年5月(メインストーリー第1部完結)までの活動に2ndEP最後の曲である、「君は君だ」のあの部分が、答えているためだと考える。
 つまり、ティザーPVや各キャラクターのメインストーリー1の初めの方の、「変わりたいんだけども―」に対する答えが、「君は君だ」のこの部分

声はあげるためにある
伝えなくちゃ分からないよ
君の声で 自分らしく叫べFree yourself
(「君は君だ」 作詞:zopp 歌詞の一部より引用)

で、「変えたいなら自分で声を上げないと何も変わらない」とこたえているのである。

3.人称について

 さて、話は変わるが、「Start me up」ではYou=“あなた”で表されているのに対し、「君は君だ」では、You=“君”と表されている。いつかのzoppさん(作詞者)のインタビュー(要出典)で、「作詞の時代はあなたから君に変化した」と仰っていたため、これは絶対に意図して行われた人称の変化なのである。
 ヒロイン達が変わりたがり、悩んでいた、メインストーリ―1の内容や「Cult Quartet」のそれぞれのキャラクターの事情を加味すると、この”君”は変わりたいと悩んでいた過去の自分のことだと考えるのが妥当であろう。つまりこの作品では、自分を客体化してみた際の自分は”君”と称されるということである。
 ...?「君は君のままでいい」...?
 

4.「君は君だ」から垣間見える「BATON=RELAY VOICE HEROINE STORIES」の哲学 

 「君は君だ」の変わりたかった私は、結局私のままでよかった、ということなのか...?
○私が疑問を抱えているのは次の点である。
「Start me up」→変わりたい、という決意表明と決意の前後の景色の変化
「ミライ=バトン」→変わりたい私を、ディレクター含めみんなが応援してくれているから、私は頑張れる
「君は君だ」→変わりたいなら、まず自分で声をあげろ。でも本当は変わりたい私は私のままでいい。
 
 え....?
 新人声優達がリレープロダクションに入った理由は、自分の中の何かを変えたかったからではないのか...?一周回ってやっぱり元の姿でよくなったのか...?というか、本当にこの論は合っているのか....?

<その謎を解き明かすために、我々はアマゾンの奥地へと向かった>

ここまで読んでくれたのなら、読み終わったら是非スマートフォン向けゲームアプリ、「BATON=RELAY」をダウンロードし、楽曲も歌詞カード付きで聞いて欲しい。最後にリンクも貼っておくから!

 リレープロダクションには自分にはない要素に憧れ、それをなりたい自分と設定しているヒロインが複数いる。少なくとも、広瀬晶と高橋京子はそうである。
 そして、キャラクターデザインの若木民喜先生のキャラデザのコンセプトが「キャラクターをカテゴライズしない」(要出典:いつかのブログ)であることを踏まえると...

「君は君だ」に込められた本当のメッセージ、そしてこの曲が2nd EPの最後にある理由とは...!!

【私の結論】

 「なりたい自分は、自分の延長に必ずあり、たとえ今の自分とは正反対であったとしても、その要素・可能性はいつでも自分の中に存在するので、走り続けて欲しい。」
という、32人と「Cult Quartet」の4人の"新人"へ向けられたメッセージと将来への考え方が「君は君だ」に込められているのではないだろうか。
 リレープロダクションの16人が、なりたい自分への可能性を持っていることで、信じて走り続ければきっとゴールが見えてくる、と「ミライ=バトン」との対応も読み取れる。「ミライ=バトン」がこれから走るであろう道中の歌だとするなら、「君は君だ」はスタートラインには立っている、ここからは自分次第であることを自覚させる歌であるのだ。そのため、「君は君だ」は2ndEPの最後を飾っていると考えられる。
 私はこれを本稿の結論とし、「BATON=RELAY VOICE HEROINE STORIES」第1部における哲学としておく。

ここまでお読みいただきありがとうございます。是非、バトンリレーのゲームと楽曲も遊んでみてください!尚、私には一銭も入りません。
スマートフォン向けアプリゲーム(配信サイトに飛びます)
iOS→こちら
Android→ こちら

楽曲(Amazon ページに飛びます)
「Start me up/かけだしのモノローグ」
「ミライ=バトン」←今回の「君は君だ」も収録

公式HP

※「ミライ=バトン」、「かけだしのモノローグ」「金糸雀」についてもいつか書こうとは思ってます。

ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました!!

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