卒業したのか、枯れちまったのか(笑)
少しゆるりとしていたポカポカ陽気の日。
長女が所用で帰宅するというので、最寄り駅まで迎えに行くことになった。
到着予定まで一時間くらいある。
一つ用事を終えた出先から、出来ればこのまま迎えに行きたい。
家に帰ってまた出掛けるのは少々めんどうだった。
約一時間の暇つぶし。
駅前のファミレスでコーヒーでも?、この間にクリーニング店に行けちゃうかな?
いろいろ考えたのだけれど、ゆっくりしたい気分だったので、待ち合わせの駅の隣りにある市立図書館で時間を潰すことにした。
いつも本を借りている行きつけの図書館。
たいていは、小説を1冊か2冊、生活エッセイ、旅行ガイドブックや旅行エッセイ。
常時計5冊を二週間借りている。
家にはすでに5冊あり、これ以上借りることは出来ない。
なので、いつもはスルーするマンガ本コーナーへ、ふら~っと。
するとそこには、かつて大好きだったマンガが並んでいた。
好きだったシーンを選んで読んでみた。
でも、、、あんまり、だった。
子どもの頃、我が家はなんとなくマンガを買う文化がなかった。
でも、マンガは好きだった。
「小学〇年生」に連載されていた『あさりちゃん』は面白かった。
美容師さんのカットは気に入らなかったのだけれど、お店に置いてあった『生徒諸君』が読みたいがためにイマイチの美容院に通った(笑)
中学生の頃には友人に借りた『タッチ』にハマった。
最初に買ったマンガは、成田美名子の『エイリアン通り』だった。(高校生くらいからマンガを買うことを覚えた。)
大学生の頃は本も読んだけれど、マンガもたくさん読んだ。
でも、何を読んだか覚えていない。たぶん、ざざっと消費していただけだったのだろう。
社会人になると、ぱったりとマンガから足をあらった。
(お洒落だとか旅行だとか、他にすることがいっぱいあったからかなぁ。)
所有していたマンガもすべて処分した。
一度に出すのは恥ずかしいので、数回に亘って資源ごみの日にせっせと運んだのを覚えている、、、
(今ならリサイクルショップにもっていくのに。)
そんな私が、結婚して母になって、ドハマりしたマンガがある。
全巻買いをしたのはこのマンガだけ。
何度も読んだ。娘たちと3人でハマった。
テレビドラマになり、玉木宏に恋をした。
一世を風靡した二ノ宮智子先生の『のだめカンタービレ』である。
私自身も長年ピアノをしてきたし、当時、娘二人もピアノをしていた。
特に長女は音楽のセンスがあって、ピアノが上手で、部活も吹奏楽部。
私は長女の中高吹奏楽部の保護者会の役員だった。
この大流行マンガにハマらない理由がなかった。
のだめにも千秋先輩にも、峰くんにも清香にも、黒木君にも幸せになってほしいと、いい歳して感情移入も半端なく(笑)、何度も読み何度も笑った。
そんな我が青春の『のだめカンタービレ』が、なんと図書館に、こんなところにあるではないか!!
私の『のだめ』は10年くらい前に処分したのだ。
断捨離に目覚めてしまった私、あんなに熱狂したマンガでさえ(また読みたくなれば買えばいい)と、BOOKOFFしてしまった。
それ以来の『のだめ』との再会。
歓喜すぎるーーー!!
読む気満々で、閲覧コーナーの隅の椅子に座った。
迷いもせず手にした5冊は、8巻から12巻まで。
のだめが音楽に向き合いコンクールに挑戦し、千秋先輩と共にフランスに旅立つ一番大好きな場面。
かつて、前のめりでページをめくっていた場面。
読み進めると頭の中でその場面の音楽が鳴っていたのに。
あれれ?無音、、、。
私とあんなに仲良しだった登場人物が、今や黙って私を通り過ぎていく。
あれれ?全然、ウキウキしない。
私はもうマンガが好きじゃないのかしら?
いや、そういえば、最近はドラマもそんなに観たいと思わない。
昔はオットと一緒に面白そうなTVドラマを一緒に観ていた。
オットは大のTVドラマ好き。
最近で言うと「不適切にもほどがある」の録画をを何度も何度も観返している。
(私は観ていない。)
今シーズンは「海に眠るダイヤモンド」「嘘解きレトリック」「モンスター」なんかを嬉しそうに観ているオット。
(私は観ていないが、同じリビングにいるので音は聞こえる。)
私が観ているものといえば、ニュース番組、歌番組、クイズ番組、Eテレの深夜帯のマニアックな番組。深夜のお笑い芸人の番組も好き。
その場で消費していくだけの番組か情報入手手段としてのテレビ。
その点、オットは作り物のドラマでも時々涙している、、、。
心がピュアなのか?、、、にしても63歳、ピュアもたいがいにせい。
(オットが涙するのは昔からで、歳で涙腺が崩壊している訳ではない。)
ドライな私と、感動屋のオット。
そうか。私は『のだめ』でも駄目か。
たぶん、私はもうマンガやドラマでは心が震えないんだなぁ。
大人になってしまったのか、いや、枯れてしまったというべきか。
先日、2歳の孫と公園に行った。
ドングリ探そ、と孫ちゃん。
孫ちゃんはドングリを拾うのも忙しいし、アリを追うのも忙しいし、赤や黄色の葉っぱも拾わないといけない。(ついでに、タバコの吸い殻も拾おうとする。)
最近、母は近所の知り合いのこと(認知傾向)が気になって仕方ない。
毎日同じようなことを気にしている。
(自分のことはさておいて!笑)
私の興味の矛先は、もはやドラマよりマンガより、孫の成長や母の言動なんだなぁ。
リアルの毎日が忙しいし、生身の人間観察が面白いのだなぁ。
『のだめ』を手にして、自分の変化について考えてしまった秋の日。
大人になった?、枯れちまった?
いえ、現実的になったんです!
(枯れたとは思いたくない笑)
余談。
今、唯一私が楽しみにしている番組がある。
『NO NO GIRLS』というオーディション番組だ。
(SKY-HIとちゃんみなプロデュース、HuluとYouTubeで配信)
容姿や年齢を問わない、今までNOと言われたり、自分で自身をNOと縛ってきた人が自分のスキルだけでデビューを目指す一風変わったオーディション。
この番組、たぶんホンモノ。生身。人間と人間のぶつかり合い。
ちゃんみなの言葉に救われたり、勇気づけられたりで、毎回心を揺さぶられる。
(私を含め)枯れてしまった現実的な大人の皆さん、お勧めです。