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AIが雇用に及ぼす影響〜NY連銀レポート

AIが雇用にどのような影響を与えているのかを調べたNY連銀のレポートがありました。対象はニューヨーク・ニュージャージー地域の企業です。

導入状況
サービス業では25%、製造業では16%の企業が、過去6ヶ月間にAIを導入していました。製造業よりもサービス業の方が積極的にAIを導入しているようです。

具体的な活用は?
AIは主にマーケティングや広告、ビジネス分析、顧客サービスといった分野で活用するという回答が多くありました。
顧客対応や、データ分析に基づく意思決定の効率化を期待する企業が多いようです。

今後のAI導入計画
 
サービス業では、今後6ヶ月間でAIを導入する予定と回答した企業が32%に増えるとあり、緩やかな導入拡大の動きが見られます。一方、製造業では今後の導入予定は16%と、現状維持の見方が強いようです。

雇用への影響・・・解雇ではなく再訓練
多くの企業が、AI導入によって従業員を解雇するのではなく、従業員のトレーニングや再訓練を通じて、AIと協働できる体制を構築しようとしています。また、AIを使用する予定の企業では、新規雇用を計画している企業が解雇を計画している企業を上回っています。

従業員の高スキル化を求める企業
 
AIの導入に伴い、従業員の再訓練が重要視されています。既にAIを使用している企業、今後使用を予定している企業の双方において、従業員を再訓練してAIを使いこなそうという動きが見られます。

まとめ


「AIは人間の雇用を奪うのではないか」

そのような疑念は生成AIの登場以来ずっと燻っていますが、このレポートによると、AIの導入が大量の失業につながるという見方は必ずしも正しくないようです。実際には、企業は従業員へのトレーニングや再訓練を通じて、AIと協働できる体制を構築し、さらに、AIを活用するための新規雇用を計画しています。その傾向は、製造業よりもサービス業の方が顕著です。

6月に発表されたダラス連銀の同様のレポートでも、雇用への影響はまだ限定的であるとされています。こちらでも、AIが高スキル人員の席を奪うというよりは、AIを使いこなす高スキルを企業は求めているということでした。穿った見方をすれば、企業はまだAIを使いあぐねているようにも思えます。

AIの登場から日もまだ浅く、特に小さな企業にとっては、どのように使いこなしていくのか、取り入れていくのか、まだまだ試行錯誤な日々が続くことと思われます。今後もレポートを見つけたら、取り上げたいと思います。


NY連銀レポート(2024/09/04)
AI and the Labor Market: Will Firms Hire, Fire, or Retrain?

ダラス連銀レポート(2024/06/25)
Texas firms using AI report little impact on employment


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