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フロ庭通信!No.20

第20回はヤヨイ役、丹下真寿美さん!

丹下真寿美
関西を中心に活動する、変幻自在のオールラウンド女優。 2006年、末満健一主宰のピースピットのワークショップ公演HYT1(ハーフイヤーシアター)に参加。
これまで90本以上の舞台・映画に出演。また近年は、NHK「逆転人生」、NHK連続テレビ小説「おちょや ん」など映像分野でも活躍。
2017年にプロデュースユニット「T-works」を結成し、年齢・拠点を問わず、ハイレベルな脚本家、演出家、俳優を集い、高水準の舞台を製作。


— あと残り10日です!今のお気持ちいかがでしょうか?
10日かあ……って感じですよ。ほんとに(笑い)あっという間っていう簡単な言葉になっちゃうけど。結構時間はあったはずなんだけど、毎回の稽古が濃いくて……どっかのタイミングで高橋さんも言ってたけど、いくらやっても、やっぱり時間って足りない。っていうのを、今すごく身にしみている。
大熊くんのステージングもついていつでも本番は、迎えようと思えば迎えれる状態だなとは思ってるのね。他の人のお芝居とか見てても。立ち上がりが本当に良かったし。みんなちゃんと意図してるところは捉えつつ、苦戦するところは苦戦して……でも、もっともっと良くなるんじゃないかっていう……最近の関わったお芝居の中では珍しいくらいに……まだ知らない未知のところ時があるんじゃないかって思わせてくれるような脚本だなって。あと10日で本番ていうのも、「あ、あと10日か、よしよし」って思う反面「もうちょっと」とも思う。もちろんそれはいい意味でね。

— 今回の公演の見所は?
このコロナ渦で、医療従事者の人に関わらざるを得ないっていうか……(コロナ前も)普段から病院には行くし、めったに行かない人もいただろうけど。でも、ここ3年で嫌でも何かしらの形では医療と関わることになって。その都度「やっぱしすげーな、この人たち」って思うんだけど、その人も結局、自分と同じ人間で。心があって。嫌なこととか嬉しいこととか辛いこととか、いろんなことがあるんだよっていうのが、今回の脚本にめちゃくちゃ書かれてる。だから、医療の話だけじゃないじゃない?家族の話だったり、男女関係の話であったり、日常のちょっとしたことであったり、当たり前のことやねんけど、朝起きて、ご飯食べて、働きに行って、みたいな。そこが私はすごく、好きというか、見所かな。

なんかどうしても、大変なお仕事だってわかってるし、特別なものって、思っちゃうじゃない。もちろん大事なお仕事だし。でも、その人たちにとっては、当たり前のことなんですっていう。私たちが普通のお仕事してるのと同じ感覚ですよって。
なんかね、少し前に偶然、看護師2年目の子達と会うことがあって。ちょっとだけお話したんやけど、やっぱりもう、普通の女の子やねん。今回の稽古場にもいるような、22、3歳、その年頃の子達。もちろんちゃんとしっかりしてる部分もあるけど、喋ってみたら、全然普通の子だ!って。何にびっくりしてんだろ私って(笑い)その時のことがすごい印象的というか。

— ヤヨイちゃんの人物像について
稽古の時に、高橋さんに言っていただいたんやけど、使命感が強い子だなって。「こうしなければならない」「こうであらねばならない」っていう……開業医っていう家柄もあるんだろうけど、それがどうしても強い子。人一倍強い子やなって。自由にしたいけど、でも、自由の仕方がわからない。好きにしていいよって言われたら「やったー」とは思うけど、好きにしていいってどうしたらいいんだろうっていうか。だからちょっと不器用なところもあるんかなあ。そういう意味では、真面目だなって。いい子に育ってきてる。ちゃんと親の期待に応えようとか、でも、それがうまくいかない自分。どっちかというと、周りじゃなく自分を責めちゃうような子なんだろうなって。

— ヤヨイちゃんとますみさんの共通点はありますか
こうしなきゃいけないとか、使命感って部分では……誰しもがあると思うねんけど、そういうのは、私もあるなと思って……けど、似てるけど、非なるものな感じがする。私は、すごく、適当なんです(笑い)これをしなきゃなって思ってても、自分の興味のないことは、ほんとに何も入ってこない。すぐ「嫌なものは嫌!」って投げ出すけど、ヤヨイちゃんはたぶん、投げ出さないと思うんだよね。彼女の置かれている環境がああいう性格を作ったんじゃないかなって思う。いろんな理由があって、今ヤヨイちゃんは看護学校にいるんだけど。彼女にとって看護師って仕事は、そんな中でやっと自分の意志で見つけた、やりたいこと。

だから共通点は……あんまりないかもしれんな。だからちょっと、共感しづらい部分はあるかも。なんか、彼女自身がっていうよりは、家柄的に。それはもう、私はどう頑張っても。どうあがいても難しい部分だから、そこはめちゃくちゃ考えたかもしれない。この子がどんな道のりを歩んできて、ここにいるのかっていうのが想像がしにくいから、それこそ、本も読んだし……まず医者になるためにはどれくらいの年数がかかるのかとか、ほんとに初歩的なことから、看護師になるにはどうしたらいいのかとかも。用語を調べたり……それが私には全然わからないから。

舞台って結局……平面っていうか。お客さんはひとつの方向からしか見ないわけで。だから、嘘の世界だよね、どう頑張っても。結局、どんなにリアルにやろうと思っても、その世界って嘘の世界だからさ。お客さんにお尻向けないとか、そういうのひとつとっても日常の生活とは違うじゃない。ってなった時に、役者である私たちは、目の前で起こってることに、ちゃんと、感情とか動きとか、心とか言葉とかに、嘘をついちゃいけないなって。嘘の世界で私たちが気持ちまで嘘をついちゃうと、それはもう、ハリボテだらけで。見る人は何も面白くない……私が思うのは、舞台って、舞台上で役者さんなりが、嘘の世界で実際に本物の感情を動かすからこそ、嘘の世界が本物になって、見てる側にも伝わるんだなって思っているので。最低限調べとくことは調べなあかんなとは思ってる。
嘘の世界でもちゃんと本当のことになるようにしたいし、しないと。それが私たちのお仕事だなって思うんで。

— 最後に意気込みを!
みんなでがんばろうね!誰一人欠けることのないようにね。今いろいろあるからね。別に奇跡とか信じてるわけじゃないけど、けどね。今、お芝居が最後まで走り抜けるって、これが奇跡に近いことだなって思ってる。もちろん、努力があってのことだけどね。全員揃ってこの公演の幕をおろす。毎回が奇跡のような公演になると思っているので、一人でも多くの方に届いて欲しいと思います。

ますみさんありがとうございました!

文:足達菜野
撮影:山下真実

『フローレンスの庭』
2022/12/16(金)~18(日)
* 16(金):19:00-
* 17(土):13:00- / 18:00-
* 18(日):13:00- / 17 : 00-←new!
※受付は開演の60分前、開場は開演の30分前
会場:アイホール
 特設ページ↓ ご予約はこちらから!
https://kokuuryodan.jimdosite.com

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