演出雑感 2
スラステ(番外なのでプチスラ)公演『セイムタイム・ネクストイヤー』にまつわる雑感をこちらに綴ります。
今日は時代背景について。
この作品は2幕6場から成る構成で、各場面の時代設定は以下の通りです。
1幕1場 1951年、2場 1956年、3場 1961年
2幕1場 1965年、2場 1970年、3場 1975年
1950年代は「古き良きアメリカ」と呼ばれた時代とされています。ドリスの台詞にも「何ひとつ文句のない暮らし」と出てきます。けれど戦争から男たちが戻ってきて、それまで働いていた女性たちは家庭の中に閉じ込められ窮屈な思いをした人も少なくなかった時代でした。冒頭のドリスの言動には、当時の家庭の主婦の鬱屈とジョージと一夜を共にしたことで得た開放感が感じられます。ジョージも根は善良な青年ですが、言動の端々に前時代的な男尊女卑の価値観が見受けられます。
1960年代は若者の活動により大きな価値観の転換があった時代でした。白人と黒人の平等、女性と男性の平等、過去の因習にとらわれない自由があると若者たちは宣言し、劇中にもその影響は確実に見られます。ドリスはヒッピーのような服装をしてデモに参加しますし、ジョージは精神的なストレスからEDになったり、若者のモラルの低下を嘆いたりしています。
1970年代は「激動の60年代」に対して「空白の70年代」と言われています。一方でウーマンリブ運動は最盛期を迎え、ビジネスに成功したドリスが部下に電話で指示を出す場面などもあります。対してジョージは社会的成功を捨てて隠居同然の暮らしを始め、精神的な充足を求めたりしています。
こう書いていくと、ドリスもジョージも見事なまでに時代に振り回されて生きてますね(笑)。そういうところが、とても素直で愛すべき存在だなとも思えます。
ところで、この二人の場面は基本的に5年ごとを描いているのですが、一つだけ4年になっている年があります。なぜそこだけ、4年なのか?・・答えは作品の中に描かれています。
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slatstick produce petitslat #1
SAME TIME , NEXT YEAR
セイムタイム・ネクストイヤー
作:バーナード・スレイド
訳:青井陽治/堤孝夫
演出:高橋恵(虚空旅団)
音楽・選曲:右近健一(劇団☆新感線)
日時:2021年8月20日~22日 (全5ステージ)
20日(金)19:00→18:30(開演時間が変更になりました)
21日(土)13:00/18:00
22日(日)12:00/17:00
※開場は、各開演の30分前を予定しております。
※マスクの着用、検温、消毒のご協力よろしくお願いします。
※体調の優れない方の観劇はご遠慮願います。
料金
前売 3500円
当日 3800円
Under22割 2800円
(22歳以下・受付にて身分証明書をご提示ください)
ご予約フォーム 7月1日10時より
https://www.quartet-online.net/ticket/petislat1
会場
SPACE9(スペースナイン)https://kintetsuartkan.jp/space9/map.html
〒545-8545 大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 あべのハルカス近鉄本店ウイング館9階