フロ庭通信! No.12
初めての通し稽古も終わり、また一層コツコツと作り込む日々です。
第12回はチサト役、江本真里子さん!
江本真里子
俳優。フリー。神奈川県出身にもかかわらず、大阪を中心に関西小劇場にて活動中。中性的な容姿とハスキーボイスを武器に青年役から等身大の女性役まで演じ分ける。ビールとチーズが好き。近年は様々な脚本家・演出家に頭を下げて、一人芝居をすることに精を出しているように見える。
— 通し稽古も終わりましたが、いかがでしょうか?
初めての通し稽古で、一本通って。あ、こういうお話なんやなあっていうことが、実際目の前でやってくれることでしっかり見えたなって。じゃあ、これからここにどう肉付けしてくか、どう削いでくか。高橋さんがやってくれるところもあるけど、私たちも役者としてどうやっていこうかなっていうのを、ここをベースに考えていくんやなって。やっとスタートラインっていうか。今がやっと……整理ができたなって。感じでした。お話とか、関係性とか、あと、自分がしなあかんこととか。ぽつぽつ、パーツパーツだけやってくと、いろんなことやらなあかんかなって思ってたことが、実はそんなにやらんくてよかったかなとか。ってところがあれば、ここはもっと考えなあかんかったんやなあってそういうところが見えてくるから、一回目の通し稽古ってこんな感じですね。
— 今作品の見どころは?
どこやろ……石原さん(スズハラ役石原正一さん)がなにをぶっこんでくるのか、みたいな。あ、そこでそういうのナチュラルにぶっこんでくるんや、みたいな。あれは毎回楽しみにしてます(笑い)
やっぱり群像劇ではあるんですけど、全員が全員それぞれの人生を歩んで、それが時々垣間見えるっていう風にはなってるけど。芯になってるのは、ユウコ、ユウちゃんで。そのユウコの心の揺らぎとか、そういうところを見守る私(チサト)。それは、見どころっていうか、見て欲しいなって思いますね。
— チサトちゃんってどういう子?
もうね、太陽のような子、ですね。ひまわりのような子。なんか、希望であって欲しい……なんだろな、みんないろいろ抱えてる。もちろんチサトも。抱えてるものがあって、それを表現はしていくんですけど……抱えてるものは、ありつつも、やっぱり、さっき言ってたユウコにとっても、そんなにこう……自分のことだけ考えてたら、ものすごく暗く、どんだけでも暗くもなれるんですけど。そうじゃなくて、もっと、この物語においても、ユウちゃんにとっても、緩衝材でありたいというか。この子のところで、緩めるみたいな。この子、は安心ができる存在というか。そういう意味では、明るく、ひまわりのような、太陽の存在でありたいと、大きなことを言いますが(笑い)まあまあ、そんな大きすぎる話でもなく、ちょっと思ってますね。確かに、いろんなことを抱えてる子ではあるんですけど、その抱えてることっていうか、自分に一生懸命になりすぎない子だと思っていて。常に、ユウちゃんであったり、たぶん他のみんなにも目を向けられる。めっちゃいい子だと思うんで。自分が抱えてるものに、潰されるような子ではないなって。自分のこともありつつ、でも周りにとっては太陽のような。明るい緩衝材になれるような、子でありたいなと。じゃないと、友達そんないっぱいおらんよなって(笑い)チサトって絶対友達多いと思うんですよ。
重たい話だから重たくしちゃったら、辛すぎるでしょ。
— チサトちゃんとの距離
脚本上のチサトちゃんと……江本ちゃんの間には何か共通点があるっていうのは、まあ、あんまり思わない。けどまあ、江本ちゃんがチサトちゃんをやるので、そういう意味では、チサトちゃんの上に江本ちゃんが、いっぱい入ってはいると思います。今回のチサトちゃんは、江本ちゃんのチサトちゃんになってると思うので。脚本上のチサトちゃんとは、そんなに……共通点はないかなあ。まあ、もしかしたら好きな食べ物一緒かもしれませんけどね(笑い)そのレベル。
— 袖からツッコミ入れる江本さんと、舞台上に立ってるチサトちゃんって、全然違うなあって見てたので。
そう、か。そうかも。まあまず声のトーンが全然違うか、チサトちゃんやるときとは。でも別に無理に変えてるわけじゃなくって。うーん。こんな嫌な奴じゃないと思う。チサトちゃんは、こんな腹黒い江本ちゃんみたいな奴じゃないと思う。太陽のような子だと思う。だから、江本の中の太陽のような部分をこう、頑張って、うぬぬって、取り出して。うぬぬ、江本ちゃんにもちょっとはあるんだ!そんなネクラじゃない!ネクラな成分だけでできあがってないよ!ってこんな感じで。こそげ集めてきたやつを頑張ってやってるのかもしれない。
たぶん私のキャラクターの作り方というか、お芝居の作り方がそういうことなんだと思います。もちろん日頃からいろんなものを吸収しようと、頑張ってますけど。自分を通して、それを出すって感じ。例えば……この役は誰々のモノマネをしながらやってますっていうことが、私はよくよくあるんですけど。誰も気づかないですよね(笑い)私の中では、ずっとサンシャイン◯崎のつもりでやってる役があったとしても、誰もそれがサンシャイン◯崎のモノマネをしてる江本だとは誰も気づかない。モノマネが下手くそなのかもしれません(笑い)だから……結局自分からしか出るものがないから……そういう意味では、ほぼ全てが共通点なのかもしれないし。かな。
— 意気込みを!
虚空旅団さんに出させていただくのが、ありがたいことに2回目で。去年お世話になって、今回もやらせていただくことになって。去年も今回も、まあ、変わりはないんですけど。より……なんだろな。高橋さんの紡ぐ物語っていうのが、もうすごく、あたたかい。で、あたたかさの中にちゃんと、なんだろ……すごい現実的なというか、冷たい部分をきゅって、挟み込んであって。それがたぶん、リアリティだと思っていて。虚空さんにいつも私たちが感じてしまう、リアリティみたいなところ。そこを、丁寧に。丁寧に汲み取って、出していければなあって思ってまして。で、それを、お客様に……楽しんでいただけたらなって。月並みなことですけど。人間の機微というか。こういうとき、こういう人いるよねみたいな。こういうとき私だったらこう思う、でもこういう人もいて、ああいう人もいてって。いろんな人たちが見れると思うので。それをひとつひとつ、一人一人が丁寧に丁寧にやっていくことで、お客様にもひとつひとつが届けばいいなって。なので、楽しみにしていただけたらな。頑張ります。
えもっさんありがとうございました!
文:足達菜野
撮影:山下真実
『フローレンスの庭』
2022/12/16(金)~18(日)
* 16(金):19:00-
* 17(土):13:00- / 18:00-
* 18(日):13:00- / 17 : 00-←new!
※受付は開演の60分前、開場は開演の30分前
会場:アイホール
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