afterコロナでも乃木坂46が配信LIVEを続けるべき理由
徐々に新型コロナウイルスに対するワクチン接種が普及してきていますね。海外ではwithコロナ時代前の日常を取り戻しつつある国もあるようです。このまま加速度的にワクチン接種が普及していけば、いつか日本もwithコロナ時代前の日常を取り戻せる日が来るかもしれません。
しかし、withコロナ時代を迎えたことで、多くの日本人が仕事や生活に無理矢理にリモートを取り入れた結果、意外にも自分達の活動はリモートでも十二分に熟せることに気づき、新しい価値観が芽生えました。
たとえwithコロナ時代前の日常を取り戻したとしても、この価値観が消失することはないでしょう。むしろ、リモートによるメリットを実感して享受してしまった以上、様々な活動がリモートを何かしらの形で取り入れた状態で行われることになると思います。
withコロナ時代前の日常を「beforeコロナ」と称するなら、withコロナ時代後の日常は「afterコロナ」と称し、必ずしも「beforeコロナ」とイコールのものではない時代として捉えるべきです。
さて、withコロナ時代によってエンタメ業界には「配信LIVE」という文化が生まれました。LIVEはLIVEでも、会場に観客を迎えず、LIVEをオンラインでリアルタイムに配信する方式です。
「beforeコロナ」では考えられなかった方式でしたが、withコロナ時代に突如として普及しました。ここで生まれる疑問として、「afterコロナ」において「配信LIVE」はどうなっていくのでしょうか。
さらに普及していくのでしょうか、それとも衰退していくのでしょうか、もしくは完全には無くならずにオフラインLIVEと並行して開催され続けていくのでしょうか。
僕の見解ですが、たとえ新しい価値観のもとであったとしても「配信LIVE」は衰退していくのではないかと思っています。withコロナ時代で「配信LIVE」を経験して、演者と観客の双方が「やっぱりLIVEはオフラインが良い」という思いを抱いたのではないでしょうか。
たとえリモートのメリットを実感したとしても、オフラインの質には敵わないこともあり、LIVEの熱狂も同様だと思います。オフラインLIVEで首が取れそうなくらいにヘドバンする人が、配信LIVEで同じように熱狂出来るでしょうか。いや、きっと出来ないでしょう。
たいていの人にとって、「配信LIVE」はwithコロナ時代における応急処置的な手法なのだと思います。であれば「afterコロナ」のような3密を警戒する必要がない時代が訪れれば、「配信LIVE」を開催する意義が無くなります。その結果、配信LIVEが衰退していくことが想定されます。
3密を全く気にしなくなる時代がやってくるとしたら、それは数年先のことかもしれません。ただ、配信LIVEがいずれなくなるということは誰しもが思い描いていることなのではないでしょうか。
それは乃木坂46も例外ではないのでしょう。だからこそ、真夏の全国ツアー2021は有観客での開催であることを大々的に打ち出していたのだと思います。
しかし僕としては、たとえ「afterコロナ」でも乃木坂46は「配信LIVE」を続けるべきなのではないかと思っています。それは、配信LIVEには感染予防以外に、乃木坂46にこそ適合したメリットが多々あると感じたからです。
今回は、僕が乃木坂46はたとえafterコロナでも配信LIVEを続けていくべきだと考えたその理由と合わせ、乃木坂46にとっての配信LIVEのメリットをアウトプットしていきます。
楽曲への注目度が高くなるから
白石麻衣さんの卒業コンサートから始まり、9th birthday LIVEまで乃木坂46の配信LIVEを何度か観て来ました。後から振り返ってみると、「乃木坂46にこんな曲があったんだ!」とか「改めて聴くとこの曲の歌詞良いなぁ」とか、楽曲に対して良い発見があったことに気付かされます。
配信LIVEは、曲の始めには曲名が、曲中には歌詞が画面下に表示されます。おまけにオフラインLIVEよりも熱狂が乏しいことが相まって、観客の楽曲への注目度は気づかないうちに上がっているのです。加えて、良くも悪くも観客の歓声がないのでメロディや歌詞がしっかり聴こえてきます。これも楽曲への注目度向上に助力しています。おかげで乃木坂46の好きな曲が増え、乃木坂46への興味をより強くすることが出来ました。
以前の記事でも何度か述べたように、乃木坂46には良曲がたくさんあります。乃木坂46にはリスナーに向けたメッセージが込められた楽曲が多く、メンバーの容姿の他にも、楽曲を売りにしているのです。
アイドルグループといえば各メンバーの容姿こそが売りであり、その楽曲はメンバーの容姿を訴求するためのものになりがちですが、乃木坂46は違います。
メンバーの容姿を訴求するための楽曲よりも、リスナーになにかしらのメッセージを届けるための曲が多いのです。メンバーの容姿と良質な楽曲という、他のアイドルグループにはない2つの武器があることが、乃木坂46が成功してきた要因として挙げられると思います。
楽曲を売りにしているグループのLIVEならば、その楽曲に注目しない理由はありません。配信LIVEの楽曲への注目度が自ずと上がるという性質は、乃木坂46のような楽曲を売りにしている歌手にとって相性が良いのです。
なお、僕はオフラインLIVEでは楽曲への注目度が下がるとか低くなるとかということを述べるつもりはありません。オフラインLVEでも各曲への注目度は高いものがあります。前奏が始まった途端に「あの曲が始まった!!」という観客の興奮と歓声が生じるのは、観客がステージ上で披露される曲に注目しているがゆえです。
しかし、オフラインLIVEでは楽曲への注目度は水準こそ高くとも、消失しやすいと思います。オフラインLIVEが提供している価値が楽曲の先にある熱狂なのであれば、たとえ観客は楽曲に瞬間的に注目はしても、すぐにその注目は熱狂に代わってしまうでしょう。であれば、オフラインLIVEにおいては上述した楽曲に対する発見はあってもかなり少ないと思います。
それに対して配信LIVEは、楽曲の先にある熱狂はもはや欠落と言っても良いくらいに乏しい。つまり観客の楽曲への注目は熱狂に取って代わられることはないのです。ゆえに、オフラインLIVEに比べて楽曲への注目度の寿命が長くなります。
このような配信LIVEとオフラインLIVEの性質を整理して考え、楽曲を聴かせるためのLIVEであれば配信で行い、熱狂を提供するためのLIVEであればオフラインで行うというように、目的に合わせてLIVEの形式を検討するのが良いと思います。
以前の記事で僕は、「たまにはじっくり乃木坂46の曲を聴いてみよう!」という催しがあっても良いのではないかと思っていると述べました。これこそが配信LIVEだと思います。まさかこんな形で点と点が繋がるとは思ってもいませんでした。
上記の配信LIVEの特性と楽曲を聴かせるためという目的を共有した上で配信LIVEを開催すれば、出演者である乃木坂46のメンバー達の負担はかなり軽減されると思います。むしろモチベーションの用途が明確になり、これまでの配信LIVEより高いパフォーマンスが期待出来るのではないでしょうか。
各メンバーへの注目度が高くなるから
僕は乃木坂46のような大所帯のグループのオフラインLIVEには参加したことがなく、少し想像を含んだ内容になっています。
乃木坂46のオフラインLIVEに参加したとき、それぞれの観客の視線はどこを向いているでしょうか。
僕のように乃木坂46そのものが好きな人であれば会場全体や目の前に来たメンバーを見ることになりそうですが、推しメンをもつ人であれば、基本的にはその推しメンに注目し続けることになると思います。その推しメンがステージ上にいないときには、その時点でステージに立っている、第二・第三の推しメンに該当するような他のメンバーに注目していることでしょう。
メンバー数が少ないバンド等のLIVEであれば、基本的にはヴォーカルに観客の視線が集まることになりそうです。しかし、あれだけの大所帯のグループのオフラインLIVEであれば、観客の視線は観客の数だけ生じます。なおかつ推しメンという概念が取り込まれたグループのLIVEであれば観客の視線はより分散するのが自然だと思います。これに良い・悪いという評価をするつもりはなく、あくまでそのような現象が生じるのではないかという見解を述べています。
つまり、オフラインLIVEにおいて「何を見るか」ということは観客に委ねられています。そしてその観客は、見たいものしか見ない傾向があるでしょう。推しメンをもつ観客なら尚更ですね。
それに対して配信LIVEの場合、「何を見るか」ということはLIVEのスタッフに委ねられます。観客は推しメンの有無に関わらず、LIVEのスタッフが画面に映したメンバーを見る他なく、その視線は画面上に映っているメンバーのみに集約されます。配信LIVEの原理上、観客の視線が分散することはなく、会場のカメラマンが捉えている映像に注目せざるを得ないのです。これは比較的に人気が低いメンバーにとって、自らを売り込むチャンスです。
比較的に人気が低いメンバーの人気がなかなか向上していかない理由としては、注目される機会に恵まれないこと、そして推しメンをもつファンは基本的にその推しメンにしか注目せず、推しメン以外のメンバーの魅力に気づきにくいことの2つが挙げられると思います。
配信LIVEの特性を活かせば観客の視線を無理矢理にでも集めることが出来るため、注目される機会を創出すること出来ます。そしてその機会を各メンバーが存分に活かせば、自分の魅力や個性を観客に気づいてもらえることに繋がるでしょう。
付け加えるとするならば、LIVEのスタッフが各メンバーをできるだけ平等に画面に映すように配慮するのが望ましいですね。そしてそのためにも、出演する人数は9th birthday LIVEのように多くても15人程度がちょうど良いでしょう。であればこれまでのように期ごとに日を分けてLIVEを開催するのが手っ取り早そうです。
各メンバーの魅力に気づくというのは、僕自身が配信LIVEを観ていて経験したことです。特に3期生の9th birthday LIVEにおける「三角の空き地」でセンターに立っていた佐藤楓さんのパフォーマンスは強く印象に残っています。棒読みだなんだとイジられている彼女が、あれだけ凛々しく格好いいパフォーマンスを見せつけてくれるとは思っておらず、まんまと魅せられてしまいました。余談ですが、2021/07/05から彼女がメインパーソナリティを務めるラジオ「メガネ赤札堂 presents 乃木坂46 佐藤楓の公式でんちゃんねる」が始まります。彼女がどんなトークを披露してくれるのか、これから楽しみですね。
このように、推しメン以外のメンバーに対して何かしらの新しい発見をした人、そして、これまでの推しメン以外のメンバーに興味をもった人も多いのではないでしょうか。これこそが配信LIVEの特性による恩恵だと思います。
興味の対象が増えることや、推しメンが増えたり代わったりすることには、ファンを飽きさせない効果があり、結果的に乃木坂46のLTV向上に繋がります。このように配信LIVEには、これまでとは違ったアプローチでファンに刺激を与えられる力があるのです。
なお、上述したように僕は乃木坂46のような大所帯のグループのLIVEに参加したことはなく、推しメンをもつ人はその推しメンに注目し続けるということはあくまで想像によるものです。
僕自身が乃木坂46のオフラインLIVEに参加すれば、この内容は訂正される箇所が出てくるかもしれません。そしてまた新しい発見があるかもしれませんね。
手軽に参加できるから
乃木坂46のオフラインLIVEのチケットを入手するのはそう簡単にはいかないでしょう。モバイル会員に対して先行受付が行われ、その後に一般販売が行われますが、その競争率はかなり高いでしょう。コロナ禍によって会場に入れる人数に制限が生じれば、ますますその競争は激化します。その結果、よほど熱烈なファンでなければオフラインLIVEに参加できなくなってしまうことが発生してくると思います。
これはオフラインLIVEの「会場の人数上限」という特性が悪く作用してしまっている状態です。また、基本的に大規模なLIVEに参加しようと思えば、それが平日なら1〜2日の休暇を取得することになると思います。そして会場への移動や、座席への着席等、改めて考えると時間と体力とお金をかなり消耗しているのです。
それに対して配信LIVEは、サーバの負荷を考慮すれば無限とは言えませんが、オフラインLIVEよりもはるかに多い人数を受け入れることが出来ます。
しかも会場に足を運ぶ必要もありません。自宅等のインターネットを利用できる環境下でのんびりとLIVEの開始を待っているだけで良いのです。
つまり配信LIVEには、オフラインLIVEよりも遥かに手軽に参加できるという長所があるのです。
普段ならチケットが入手困難なグループのLIVEに手軽さが加われば、それは新たなファンの獲得に繋がることでしょう。これまでは簡単にチケットを得られないことから乃木坂46のLIVEに参加することを諦めていた人や、乃木坂46に興味はあるけどLIVEに行くほどじゃないと感じていた人は、配信LIVEであればストレスなくチケットを購入出来ます。
そして配信LIVEで観客を魅了すれば、乃木坂46への興味をさらに深めたり、興味を愛に変えたりすることが出来ると思います。
配信LIVEがオフラインLIVEよりも多くの観客を受け入れられること、そして手軽であることは白石麻衣さんの卒業コンサートで証明されています。観客数は国内外合わせて70万人に達し、10億円ほどの売上があったと言われています。たった一度のLIVEでそれだけの数字を叩き出したのはもちろん白石麻衣さんの力によるものですが、なによりもそれが配信LIVEだったことも大きな要因であることは間違いありません。
もし白石麻衣さんの卒業コンサートがオフラインLIVEだった場合、70万人の観客や10億円の売上は得られなかったことでしょう。
これからも新しいファンを獲得していくには手軽さというものに考慮する必要があり、配信LIVEはその手軽さを存分に活かせる集客方法なのです。
出演者の素が表現されるから
「配信LIVE」と銘打たれたものを僕が観たのは、白石麻衣さんの卒業コンサートが最初でした。その時、ステージに上ってる各メンバーに対して「良い意味で好き勝手やってるなぁ」という感想を抱きました。
どんなにカメラの向こうに観客がいると分かっていても、目の前に観客がいなければ、それまでに味わってきたLIVEの緊張感は薄れていくものなのでしょう。それ故に、各メンバーがのびのびと素の自分でパフォーマンスしている様子が見て取れました。
特に「サヨナラの意味」で松村沙友理さんが見せた表情は、白石麻衣さんの卒業を受け入れられずに駄々をこねているようなものであり、彼女の白石麻衣さんへの愛情が非常に強く伝わってくるものでした。恐らくあのような表情は、観客への配慮からオフラインLIVEでは絶対に作らないと思います。
人によっては疑問を抱くでしょうが、僕は各メンバーの素の表情やパフォーマンスが見れることが配信LIVEの長所だと思っています。観客が目の前にいないことから、各メンバーの肩の力が抜け、素の自分を表現して泣いたり笑ったりしている姿を届けられるのは配信LIVEならではのメリットだと思います。
その後に開催された4期生LIVEや9th birthday LIVEでも、各メンバーがのびのびとパフォーマンスしているのが分かりました。
上述したように配信LIVEは、各メンバーが自分の魅力に気づいてもらえるチャンスになります。しかしその時に自分の魅力を思う存分表現できる状態でなければ、せっかくのチャンスを活かすことが出来ません。
自分の魅力に気づいてもらうためには、自分を偽らずに表現し、観客に対してまっすぐに自分を見せつけていかなければならないのだとしたら、肩の力が抜けてのびのびとパフォーマンスできる配信LIVEは、これまた絶好の機会となることでしょう。
そしてリラックスした彼女達がLIVE中に見せる仲睦まじい様子や高品質なパフォーマンスは、観客をこれまで以上に魅了していくはずです。このように配信LIVEには、出演者の新たな魅力を引き出す効果があるのです。
まとめ
配信LIVEのメリットや長所を挙げてきましたが、そのほとんどが乃木坂46の特性と適合するものだと思います。
良曲を世に届け、大所帯で、チケット入手が困難で、各メンバーがどこまでも個性的なグループは乃木坂46くらいではないでしょうか。だからこそ僕は、配信LIVEは乃木坂46にこそうってつけの手法であると思っています。
ワクチン接種がさらに広まり、beforeコロナと同じようにオフラインLIVEを開催できるようになったとしても、乃木坂46は配信LIVEを完全にやめてしまう必要はないと思います。
上述したように、楽曲を聴かせるためのLIVEと、熱狂を提供するためのLIVEを使い分け、状況に応じてその時点に最適な手法を採用していけば良いと思います。
特に乃木坂46には「配信LIVEなるものを初めて大々的に開催した」という特権的な地位があり、これから新しいなにかを行う上で非常に抵抗が少ない文脈に乗っていけます。
ビジネスにおいて、誰かに迷惑をかけなければ売上獲得に遠慮する必要はありません。乃木坂46の運営陣にはこの地位を思う存分活かして、乃木坂46をさらに輝かせてほしいと思います。
以上、「乃木坂46が配信LIVEを続けるべき理由」でした!!
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