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【書籍紹介】鉄鳴きの麒麟児(塚脇永久)

1.ネト麻雀士、歌舞伎町に降り立つ!!

皆さん、麻雀はお好きですか?

私は大学時代に「アカギ」や「カイジ」を読むために覚えて、普段はゲームで撃つ程度ですが、麻雀というゲームは大好きです。

今日紹介するのは、ネット麻雀にのめりこんで家族を失った男が、新宿・歌舞伎町で数々の打ち手とリアル麻雀で闘う、新たなる王道麻雀漫画です!!

2.あらすじ

30歳無職バツイチ、趣味ネット麻雀のダメダメ青年、桐谷鈴司(きりやりんじ)。桐谷が離婚した妻の元にいる子供の養育費とプレゼント代(計4万円)を借りるため、歌舞伎町の高利貸しを訪れるところから物語は始まる。

高利貸しの厚意によって借りられた1万円を増やすため、桐谷は歌舞伎町の雀荘に乗り込む!!

そして桐谷はこの夜をきっかけに、名うての雀ゴロ・プロ雀士・雀荘店員…幾多の凄腕の麻雀狂いとの闘いに足を踏み入れることになるのだった・・・

桐谷はかつて麻雀で失った家族を麻雀で取り戻すことはできるのか!!

3.本書の魅力

①麻雀版友情、努力、勝利!!の熱い展開

桐谷鈴司は、ネット麻雀の世界では「キリンジパパ」として知られる有名な打ち手です。

もちろん麻雀の腕にも覚えがあり、雀荘の客にもあっさり勝てるかと思いきや、最初は歌舞伎町の雀荘で手痛い洗礼を受けることになります。

ですがそこから自分の打ち方を見直して進化し、タイトルにもある「鉄鳴き」スタイルを手に入れます!

その後も長年のネット麻雀で培った瞬間的な判断力と堅実なロジックで、幾多の強敵に苦戦しながらも更に進化して勝ち抜くその姿は、さながら麻雀版ジャンプ主人公と言ったところでしょう!!

様々なスタイルの打ち手と闘いながら成長する桐谷の成長と、ネット麻雀での経験からくる一流の読みに、是非酔いしれてみてください!!

②麻雀を通して描かれる、様々なものを抱えて戦う打ち手の人生

本書の主人公の桐谷は、ネット麻雀にはまって家族を手放してしまいましたが、元妻の華子と娘の小梅には変わらぬ愛情を抱き、娘に対しては良き父親であろうとしています。

麻雀で娘を養ってみせると決めた桐谷の前に立ちはだかる強敵たちは、様々な事情を抱えて牌を握る、一癖も二癖もある魅力的な雀士だらけです。

その中でも桐谷の一番のライバルとなるのは、看護師をしている華子の同僚であり、入院中の彼女の主治医でもある蟻谷でしょう。

幼少期に母親に捨てられたと思いこみ、家族の温かさを知らずに育った蟻谷でしたが、ある出来事をきっかけに華子と小梅に「家族」を感じました。

自らも凄腕の雀士である蟻谷は、桐谷の「父親としての覚悟」を問うため、そして華子と小梅の「本当の家族」になるためにプロ雀士も交えた対局を挑みます。

卓の上で打ち手同士の人生が交錯する熱い展開、そして更に鋭さを増す桐谷の鉄鳴きを、ぜひその目で確かめてみてください!!

4.終わりに

最後まで読んで頂きありがとうございます。

この作品は、「麻雀漫画」でありながら根底には「家族」という大きなテーマがあります

人生を麻雀に例えるならば、桐谷はかつて自らの手で妻と娘という、決して手放してはいけない「かけがえの無い牌」を捨ててしまいました

一度手放した牌をそのまま戻すのはご法度、桐谷は手放した今になって後悔しながらも、そのきっかけを作った麻雀を武器に家族を取り戻そうとする、麻雀以外は本当にダメな男なのです。

でもそんな男が人生で初めて真剣に打ち込んだ麻雀だからこそ、誰よりもギラギラと輝く魅力があるのです。

ネット麻雀上がりの奇妙な雀士の成り上がり、刮目して読むべし!!


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