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【書籍紹介】雀蜂(貴志祐介)
1.初めに
2020年に開催予定だったオリンピックが、コロナ禍を理由に今年に延期されたことで、来週は22日と23日が祝日になり、人によっては4連休になるかもしれません。
(印刷の都合でカレンダーの記載と異なっていたりしますが)
コロナで大変な状況とはいえせっかくの長い休みだからと、アウトドアレジャーを計画している人もいるのではないでしょうか?
アウトドアで自然に触れるのは楽しいものですが、そこで用心しないといけないのが、スズメバチなどの害虫ですね!
今回紹介するのは、6月~10月にかけての夏期(今ですね!)に凶暴化しやすい、スズメバチを題材としたホラーです!!
2.あらすじ
11月下旬、八ヶ岳の山荘で目を覚ました小説家の安斎が目にしたのは、スズメバチの大群だった!
こんな季節にこの場所で遭遇するなんて、と戸惑う間もなく恐怖する安斎。
彼は以前スズメバチに刺された経験があり、今度刺されるとアナフィラキシーショックで死ぬ可能性が高いのだ!!
外は吹雪で逃げられず、通信機器も使えない。
更には一緒にいた妻が姿を消している・・・
この状況は自分を殺すために仕組まれた罠なのか!?
絶望的な状況の中、安斎はハチとの死闘を乗り越えて無事に生還できるのか・・・!?
3.本書の魅力
①様々な工夫でスズメバチと闘う安斎の姿
本書における敵役であるスズメバチと、安斎は知恵を絞って戦います。
スズメバチの習性や生態を逆手に取って窮地を脱したり、山荘の中にある限られたアイテムでスズメバチに対抗するための罠や武器を作る姿は、サバイバルホラーの醍醐味と言えるでしょう。
もし実際にスズメバチに遭遇したとき、本書で得た知識が役に立つかも!(?)
※実際にスズメバチに遭遇した際は、危険なので対峙することよりも「刺されない」ことを優先してください。
②なぜ安斎はこの状況に追い込まれたのか、徐々に明かされる謎
スズメバチに囲まれて、絶体絶命の状況が続く安斎。
彼は、この状況を妻が愛人と共謀して自分を殺すために企てたものだと考えて復讐を誓いますが、スズメバチと闘う中で少しずつその人柄や過去の出来事が明かされていきます。そして物語は終盤にさしかかり…
ラスト25ページ、驚愕の真実と共にもたらされるカタルシスに飲み込まれたまま、読者は物語の終焉を目にするのです。
読み終わった後は、例えるならきれいなストレートをもらって脳が揺れたボクサーの様に、心地よい衝撃の中で10カウントノックダウンを聞く事になるでしょう。
4.終わりに
最後に、この物語にこれから未読の状態で触れられる、幸運なあなたにアドバイスを・・・
あなたが勘のいい方であれば、主人公の安斎自身に関する描写の中に、所々違和感を感じるはずです。
その違和感、大切に覚えておいてください。
それらはすべて『ラスト25ページ』で「そういう事か!」と合点がいく状態に早変わりし、作者の伏線描写の巧みさに驚かされることでしょう。
ぜひ、一流作家が仕込んだ極上のカタルシスをお楽しみくださいませ。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。