レインメーカーの再来
昨日の記事では、レインメーカーショックからの棚橋選手とオカダ選手を振り返ってきました。
今日は、2021年9月19日の戦いを改めて振り返りたいと思います。
2021年の棚橋選手とオカダ選手
2021年、棚橋選手は当時ベルトの価値を大きく上げて来ていた鷹木選手から、2月に初めてNEVER無差別級を獲得しました。
5月のレスリングどんたくでベルトこそ落とすものの、その闘いぶりを見れば。ここ数年では一番のコンディションを作っているのは明白でした。
その後、7月24日の対KENTA選手戦、翌25日の鷹木選手との世界ヘビーを巡っての王座戦と、2日連続でビッグマッチのメインを務めました。
そこで特筆すべきは、25日の鷹木選手とのシングルは当初戦う予定だった飯伏選手の体調不良による急遽の代打参戦だったことです。
前日のKENTA戦の後「準備出来てまーす!!」と高らかに宣言した通りのタイトルマッチを経て、翌月にはアメリカで日本人としては初めてUSヘビーを獲得しました。
その後、飯伏選手に対して復帰戦の相手として逆指名してのタイトルマッチを行い、かつて己を超えて神となった男を超えてみせました。
この様に、G1に向けてシングルを連続で戦い、今年の棚橋選手は絶好調という言葉がふさわしいでしょう。
一方のオカダ選手ですが、正直な所最近はベルトから遠ざかっている状態でした。
最後にIWGPをその腰に巻いていたのは2020年1月5日、そこから1年と8カ月もの間、オカダ選手の腰は寂しい状態が続いています。
コロナ禍を経ての試合再開後、NEW JAPAN CUPやG1、オカダ選手が自ら提案したKOPWなど、多くのタイトルであと一歩まで迫りながらも獲れないオカダ選手を何度見てきたことでしょう。
特に2021年、NEW JAPAN CUP一回戦と3代目世界ヘビー級王座決定戦で鷹木選手に2連敗。
ジェフ・コブ選手とはシングルで1勝1敗とはいえ、直近ではそのパワーで完封されての敗北という、シングルでオカダ選手が快勝する姿を、久しく見ていないような印象を受けてしまいます。
絶好調の棚橋選手と不調のオカダ選手が、奇しくもかつて「レインメーカーショック」によって2人の物語が動き始めた大阪でぶつかる。
このまま棚橋選手がオカダ選手を打ち倒し、更に勢いを増す展開を、棚橋推しの私としては当初期待していました。
でも一方で、あの時の憎らしいほどに強いオカダ選手と、そんなオカダ選手と響き合って益々輝きを増す棚橋選手…そんな2人をもう一度見てみたい気持ちも湧いていました。
2021年9月19日 G1 CLIMAX
そんな中で迎えたオカダ選手対棚橋選手のG1公式戦。
序盤は2人のおなじみの動き(レインメーカーの仕掛けやエアギター)を交えての展開から始まりました。
その後迎えたヘッドロック合戦は、お互いに相手に対して
「俺はここまでやれるぞ、お前はどうだ!?」
と問いかけながら技を放っているかのように感じられました。
その後オカダ選手は「相手を踏みつけてのレインメーカーポーズ」を久しぶりに見せて、その姿に呼応するように棚橋選手の殺気に溢れた膝攻めがオカダ選手を襲います。
それに対してオカダ選手は場外でのDDTやリバースネックブリーカーなど、首責めを展開。双方自らのフィニッシュホールドに向けての布石を打っていきます。
そして試合中盤に見せたオカダ選手のコーナーに座らせた相手に対してのドロップキックと、棚橋選手の場外へのハイフライフロー!!
その輝きは、かつて私がプロレスにはまった2010年前後のそれと何らそん色がないどころか、その当時以上の凄みを感じさせる鋭さでした。
その後オカダ選手は棚橋選手をマネークリップで捕獲、実はこの技を受けるのは初めての棚橋選手は辛うじてロープブレイク。
その後はスリングブレイドとレインメーカーの攻防が続き、お互いに伝家の宝刀である丸め込みを仕掛けるも決まらず! 気が付けば試合時間は25分を経過しました。
そして棚橋選手がハイフライフローでフィニッシュを狙いに行くも、オカダ選手は膝で迎撃。
その後も数えきれないほどの攻防が続く中で、試合時間は残り1分。
己の魂全てをぶつけるような激しいエルボー合戦からの、殺人ビンタと称される棚橋選手の張り手がオカダ選手の顔面を打ち抜きます!
最後はオカダ選手がコーナーに走った棚橋選手へと逆転のドロップキック、開脚式のツームストンから追撃のレインメーカーにより、棚橋選手から堂々の3カウントを奪って見せました。
いざ終わってみれば、まさしくあの凄まじく強い「レインメーカー」が帰ってくる試合となりました。
そしてそれは苦しい中でも決して諦めなかったオカダ選手と、そんなオカダ選手の前に、あの時以上の高い壁として立ちふさがった棚橋選手の2人が同時にあの場所にいたからこそ成しえた奇跡なのでしょう。
「レインメーカー」、優勝本命だ!!
何度も名勝負を繰り広げて「友達」になった棚橋選手との闘いを経て、G1初戦から大きく勢いづいたオカダ選手。
私としては、あれだけ強い棚橋選手の勢いを上回って復活した以上は、オカダ選手にはこのまま優勝してほしい、むしろ優勝せな許さんぞ!! ぐらいの気持ちです!
これからも幾多のドラマが展開されるであろうG1 CLIMAX、最後まで目を離さずに熱く観戦していきましょう!!
やっぱり今日も、プロレス最高!!