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BL・死神も嘆く街

壱 危険な遊び

「んぁ、んん」
「なんだ、もうイキそうなのか?
じゃあ」
「え?なに」
綿棒!そんなの何処に。
「濡れているから
スルッと入るだろ」
「いや!やめ、痛い!」
「ほら、入った」
「うっ、酷いよ 兄さん」
兄は、動きを止め僕を睨んだ。
「最中は、名前で呼べと
言ってるよな 光希【みつき】」
「ごめんなさい 明廣【あきひろ】さん
許して」
此れは罰だと言って
兄さんは最後まで綿棒を
抜いてくれなかった。
事が終わり兄さんが、隣の自室に戻ってから
僕は嗚咽を堪えながら
自分で抜いた。
なんで、こんな事をされて迄
兄さんとの関係を続けているのだろう。

初めて関係を持ったのは
兄さんが高校2年の夏。
僕は中学2年で、その日は
熱を出し学校を休んでいた。
家は共働きで、両親が帰ってくるのは
いつも21時を過ぎていた。
ボーッとした頭で、お腹が
空いたなと思っていたら
玄関のドアを開ける音がした。
時計のある方に顔を向けると
まだ18時。
(兄さん?)
階段を昇る足音。
カチャリとドアが開いた。
「光希、大丈夫か?」
「兄さん」
「スポーツドリンク買ってきたけど
飲めるか?」
僕は躰を起こそうとしたけど
無理だった。
何を思ったのか兄さんは
スポーツドリンクをひと口
口に含むと僕の頭に手を添え
口移しで飲ませてきた。
僕はびっくりしてむせ返り
其の殆どを吐き出してしまった。
すると今度は、僕の上半身を起こし
また口移しで。
今度は上手く飲めたけれど、
僕には、まだ兄さんの真意が
分からなかった。
其れが分かったのは
パジャマを下着ごと脱がされてからだった。
「に、兄さん何!?」
兄さんには、僕の声が
聞こえていない様だった。
ベッドにうつ伏せにされ
次の瞬間、痛みが襲った!
「んぅ!!」
何が何だか分からないうちに
兄さんの行為は終わった。
僕は震えが止まらなかった。
熱のせいなのか、それともーー

その日から既に6年が
経とうとしていた。
何故、兄さんは僕を抱くのだろう。
何故、僕は其れを拒めないのだろう。
多分、答えなんか無い。
此れは、兄さんと僕だけの
危険な遊び。

終幕