「国語」教員ならではの苦悩
教員の苦しさ、っていうのは結構いろんなところで聞きますよね。
でも、ここで話題にしたいのは、もう少し絞った話。
私が教員だったころ、「国語」の教員だからこそ感じていた苦悩の話です。
国語の先生なら、きっと共感していただけるのでは…と思いながら、まとめてみました。
教職員名簿、だいたいトップバッター
生徒たちの場合、クラスごとに名簿がありますよね。
名前のあいうえお順に並んでいる、アレです。
それの教員版。教職員名簿っていうのが、学校ごとにあります。
学校内で働いている教員、事務職員の方々の名前が載っているのですが、
生徒の名簿とは、名前の並び順が違います。
だいたい、こんな並び。
管理職(校長や教頭)、国語、社会、数学、理科、英語、専門教科(音楽や情報などなど)、養護教諭、事務。
管理職を除けば、国語って、だいたい名簿のトップバッターなんです。
何が困るかって?
校内のあらゆる当番制のお仕事がトップバッターで回ってくることです。
・学校の戸締り
・教職員トイレの掃除
・休憩時間中の校内巡回
・放課後の校外パトロール(地域のお祭りとか)
・登下校の見守り
・職員室のお茶菓子手配
などなど。
管理職は基本上記の仕事には加わりません。
つまり、必然的に国語科の教員がトップバッターになるんですよね。
最初に仕事をする責任ってなかなか重いですし、
忘れたころ、後ろの教科の先生に「あれってどうやったらいいですか?」って聞かれること多数。
その仕事の責任者でもないしプロでもないのよ…。
しかもこの当番、学期ごとにリセットされたり、遅くても1年経ったらリセットされます。(1年ごとに異動・退職で入れ替わりがあるので)
名簿の最後まで回っていないのにリセットされること多数。
学期の最初、新年度の最初はいろいろ仕事回ってきます。
あれ、また回ってきた…?って思うこと、多かったです…。
あと、着任式とか離任式など、生徒の前に出る時もだいたい最初に並ばされるんですよね。
あれこそ緊張しまくりだったなぁ…。
たまには違う順番で名簿作ってもいいんですよ、なんて心の中で思いながら仕事してました。
ちなみに国語の先生が複数いる場合、その中での順番は学校内の勤務年数やトータルの勤務年数で決まります。
ベテランがトップに来るんですね。
つまり、長く働けば働くほど、1番になっちゃうってこと。
教材研究が必要(ストックがたまらない)
基本どんな教科も教科書に沿って授業をするわけですが、国語の場合、ちょっと勝手が違うな、と感じていました。
特に現代文の分野。評論や随筆は、高頻度で掲載内容が変わります。
同じ教科書でも変わりますし、もし採択教科書を変更したら、ガラリと変わってしまうことも。
定番教材の小説の場合でも、教科書によって指導要領やワークの内容が違うので、都度対応していかないといけません。
口悪めな言い方をしてしまうと、「教材の使いまわしが難しい」んですよね。
古典分野だと使いまわせることもあるのですが…。
数学の公式や社会の歴史、理科の実験結果、英語の文法は変わりようがないから、ストックもできるんですよね。
他教科の先生がうらやましいなぁ…と思いながら教材研究に追われていました。
もちろん、他教科でも教材研究大変だよ!ってこともあると思います。
決して楽をしてると言いたいわけではないのですが、それにしても国語の教材研究ってやること多くないですか…?
高確率で補習がある
これは国語だけ!ってことでもありませんが、主要教科は「補習」をやって当然、みたいな雰囲気がありますよね。
平日の放課後、テスト前、テスト後、夏休み、冬休み、新入生向け、受験生向け、オープンスクールの体験授業などなど。
毎年、何かと「補習、今年は何する?」って聞かれてました。
やらないっていう選択肢はありませんでした。
(ちなみに、無償です。)
テキストの選定、受講生募集、補習計画の立案、実施、アンケート集計…。
補習、と一言で言っても、裏でもやること多いんですよね。
入試の採点業務が終わらない
これは特に、教師になってから気づいたことです。
入試って、たいてい国語が1日目の1時間目に設定されていますよね。
なぜだと思います?
教員になって、その理由が身に染みてわかるようになってしまいました。
国語の採点って、ものすごく時間がかかるんです。
漢字問題だと、
「とめ」「はね」「はらい」はできているか?
記述問題だと、
模範解答以外の別解はどうするか、部分点をどうするか?
採点中に「ここ、どうする_」って議論が始まると、全員の採点の手が止まります。
作文問題の採点をしていた時は、正直気が狂うかと思いました。。。
国語の先生は、入試の際に国語以外の試験監督には入りません。
というかは入れません。
採点に時間がかかるので、国語の試験が終わり次第一刻も早く採点業務に入って!っていう感じです。
しかも、悲しいことが毎年起こります。
採点業務に入ったのは1番なのに、続いて採点される数学、社会、理科、英語に余裕で抜かされます。
採点が終わって一息ついている他教科の先生方に、
「国語科、がんばれー」
と応援されながらの採点業務でした。
最初は優しいのですが、国語の採点さえ終われば帰れる(逆に言うと全ての採点が終わらないと全教職員解散できません)ので、だんだん周りからのプレッシャーも大きくなっていきます。。。
それでも採点ミスは許されません。(当然です)
いろんなプレッシャーと戦っていた、入試業務でした。
定期考査の最終日に受け持ちのテストがあると残業確定
入試の採点業務と同じく、日々の考査でも国語の採点は大きな負担です。
テストの日程を組む教務の先生が優しかったら、国語を1日目や2日目に設定してくれることもあります。(これ、とっっっっても助かります!!)
ただ、それだと不公平、ということで最終日に入れられることも。
(たまになら、全然かまいません。たまになら。)
考査最終日にテストがあって、次の日に授業がある場合は発狂ものです。
「昨日終わったばかりだし、次の授業で返却でもいいですよ」なんて優しいことを言ってくれる子もいるのですが、やっぱり採点しちゃうんですよね。
「すぐに返した方が嬉しいだろうなぁ」
「テストを返さずに次に進むと、授業のペースが崩れるかもなぁ」
「テストの記憶が残っているはずだから、早く返した方が復習しやすいのでは!」
なんて考えちゃって、「最短日程でテストを返す先生」キャラになってしまいました。
後悔はしていませんが、もう少し肩の力を抜いてもよかったかな、と今になって思っています。
出願書類、作文、小論文の添削指導がある
入試の前になると、3年生が訪ねてくるようになります。
受験指導の始まりです。
共通テストを受けて2次試験を受験、という生徒たちは置いておいて、推薦入試やAO入試、指定校推薦の生徒たちは、ほぼ「志望理由書」や「小論文」が課せられます。
この指導、とりあえず国語の先生に任せておけばいいんじゃない?っていう風潮、ありませんか?
もちろん頼ってきてくれているわけですから、見ないわけにはいきません。
力になれるものなら全力でなります。
内容が文系であろうが理系であろうが。。。
志望校の過去問や傾向、志望理由書や小論文の書き方など、普段の仕事に加えてやることがどんどん増えていきました。
(ちなみにこれも無償です)
受かってくれたら嬉しいんですけどね。
テスト前に印刷室を占拠
国語のテストの問題用紙や解答用紙を思い出してみてください。
多いですよね。
1枚だけで終わり、なんてことはありません。
平均で2、3枚はあるのではないでしょうか。
問題文も載せますから、毎回文字数も枚数もすごいことになります。
となると、テスト問題を印刷するのにとっても時間がかかります。
テスト前になると、印刷室は激戦区です。
どの教科の先生も、テストを印刷しないといけないので。
新人だったとき、印刷していると「いつまでかかりそう?」「終わったら言ってね」って声をかけられることが多くて、そこから勤務時間内にテスト印刷をするのはやめました。
あと、テスト用紙を配る試験監督の先生の負担が減るように、ということで「問題用紙が2枚以上になるときは冊子にする」という決まりが学内でできたときはなかなかに地獄でした。
国語科泣かせです。
印刷が終わったら折り込み作業。(手作業)
ひたすら追われていました。
(毎回膨大な量で半べそになっていた時に「手伝うよ」って声をかけてくださった先生たちのご恩は忘れません…!)
「宿題を出さないといけない」感
これも国語に限った話ではないかもしれませんが…。
週末課題はもちろん、ゴールデンウィークやシルバーウィーク、3日以上の連休があったら、何かと課題を出しましょう、という雰囲気がある学校もありました。
ただ、「数日の休みだから、宿題は主要3教科にしましょう」
なんて決まることも。
宿題を出される側が大変なのももちろんですが、実は出す側にも苦労があるんですよ。
国語科は、課題を出すことから逃げられません。
何を出すか、どのくらい出すか、出した後は提出させて、チェックして。
たまには国語にも「宿題休み」がほしかったですね。笑
ここまで、「国語」の教員だからこそ感じる苦悩について書いてみました。
書き始めると、あれもあったなぁ、これもそうだよなぁ、とどんどん出てくるものですね。
もちろん、「国語」だからこそ感じるメリットもあると思います。
その辺のお話はまたいつか。