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光村6年帰り道で授業開き   『あなたはどっちタイプ?』

本日は久しぶりに6年生の担任になられた先生方
初めて6年生の担任をされる先生方に向けて
光村6年『帰り道』の教材研究と授業実践を
こちらで共有させていただきたいと思います。

6年生の初めの教材は令和2年度より
『帰り道』に変わりました。
それまでは『カレーライス』でしたが
こちらの教材は5年生の1学期の読書単元に組み込まれています。

帰り道の教材を初めて読んだときに驚いたことは
『1と2のお話が同じ出来事を違う視点から描いている』ということです。

1のお話は『律』の視点
2のお話は『周也』の視点で描かれています。

こういった構造の教材は小学校教材では初めてでなないでしょうか。教材も現代的になったものだと感じさせられます。

また帰り道は、子どもたちにとってあまり見慣れていない『一人称視点』で描かれていることも特徴です。
つまり、語り手が律や周也の人物から描かれています。こういった一人称視点は1年のずうっとずっとだいすきだよ、5年のカレーライスでも採用されていますが、多くの教材では、語り手は中心人物の外側から描かれている三人称限定視点ですので、そういった意味では、より、子どもたちにとって、律や周也と重ねて物語の世界に入り込みやすいように工夫しているのかもしれません。

さて、私は文学教材では、『時、場、人物』の設定を詳しく読むことを学びの過程に必ず取り上げています。
特にこの作品では、律と周也の二人の人物設定について詳しく読むことが第一歩になります。
人物設定を切り口に、それぞれの性格や言葉から二人の人物設定が対称的に描かれていることを読みます。

さらには、互いが自分の弱さだと感じていることが実は相手から見たら良さにみえていることを考えさせたり、気づかせたりしながら、2つの視点から描かれる作品の面白さを感じることができればいいなと考えました。

しかし、いきなり視点を変える良さや、二人の人物の関係について問いを投げかけてしまってはいけません。

自然と一緒に読む中で、子どもがもっと主体となって読みたくなるためには、読みの必然性を持たせたり、6年生の初めの教材で新しいクラスメイトとつながったりするきっかけを生むことが大切ではないでしょうか。

そこで、私は次のように問いました。

あなたは律と周也のどっちのタイプ?

このように問いかけると子どもたちは
まず自分の性格と律や周也の性格と重ねてよむ必然性が生まれます。

さらには、2つのうち1つであること、答えはないということから、全員参加を促すことができます。

私は学級づくりの最初期に大事にしていることは
『全員参加の授業づくり』があります。

俺はどっちかといえば周也!だってよくしゃべるし。
私はマイペースなところもあるから律かなー

このように、子どもたちがつぶやきます。
つぶやきを拾いながら、律と周也の対比構造に気づかせるように仕掛けながら板書していきます。

実際に私が子どもたちの言葉をもとに示した板書がこちらです。

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(教科書の挿絵を貼っていますが著作権の関係でボカシを入れています。)

授業の後半では、同じクラスの友だちがどっちタイプかを当てる活動をします。

ここでの目的は2つあります。
①新しいクラスメイトとつながる必然性を持たせる
6年生といっても、初めて同じクラスになった友だちもいるので、どっちタイプにしたでしょうか?などとクイズのように交流させることで、慣れない子ども同士でも取り組みやすい

②相手のことをどう思っているか?という視点で読める素地をもたせる。
この単元では、国語科の新しい学びとして『視点』が2つあることの良さについて考えさせることが大切です。
相手のことをどう思っているかという見方を教材の外側で体験させておくことで、二人の関係性を読もうとする視点をもてます。


律は周也のことをどう思っているのか?
周也は律のことをどう思っているのか?

といった二人の関係性を視点の転換を通じて考えるきっかけを作ります。

律は自分はマイペースで言葉が出ないところが嫌いって思ってるけど、周也は律のマイペースで落ち着きのあるところがいいなって思ってる!

といったように、自分にとっての弱さは相手から見たら実は憧れであることもあるといったことを読みます。
二つの視点から読むことで、物事を多面的に見ることの良さに気づきます。
さらには、自分自身の性格や人間関係に悩みを持ちがちな思春期の6年生にとって、これまでの経験と重ねながら、自分の生き方を考え直すきっかけになるのではないでしょうか?

そして、なによりも友だちとつながって国語授業をするってこんなに楽しいんだ!おもしろいんだ!という期待感を持たせていい授業開きにしたいですね。

今回は、『あなたはどっちタイプ?』の授業について紹介しました。
他にも、
『もしも2のお話がなかったら?』
『より前向きな一歩を踏み出せたのはどっち?』『いこっか、うんという会話文の話者はどっち?』
など、子どもが読みたくなる問いを引き出して授業を創りました。
またこのあたりについても機会があれば紹介させていただけたらと思います。

最後に宣伝です。

こちらに示した授業も含めて、帰り道の授業実践について実践報告をさせていただきます。 
実践報告は私以外にもお二人の方が同時にされますので、ブレイクアウトルームの選択で、私と部屋に来ていただけたらと思います。


お時間ありましたらぜひご参加ください。


最後まで読んでいただきありがとうございました!

国語授業研究室








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