KokugoNote #3高1国語総合
20200114 少し遡(さかのぼ)ってのおさらいです。
※本来はクラスで順に「授業まとめメッセージ」を担当して発信してくれたら、良い復習になり、効率的に知識や考え方が身につくので、より良いやり方を模索してみます。
さて今日は評論文の読み方を確認しました。
評論文では、筆者の問題意識(現代社会でどのような課題があるのか?)と解決策(筆者の意見)を見つけ出すと、何を伝えようとしたのかが解るようになります。
簡単にまとめると、ひとつのQuestionとひとつのAnswerで成り立つのが、評論文と会えそうです。
今回は、内田樹さんの「働くことの意味」という文章の読解を行いましょう。このタイトルがあれば、筆者は「働くこと」について考えるきっかけが何かあったのだろう、と受け取るのが自然ですね。「働くことの意味は〇〇である」とズバッと言うのだろうか?とも予想されますが、推理小説などで、物語の冒頭に事件があり、次のページを読むと犯人が出てくるというのはなかなか考えにくいので、どこかに読み解いていくための仕掛けを見出さなくてはなりません。
そのひとつとして、まずは筆者の問題意識を探しておく必要があるでしょう。多くの場合、次の言葉、「今、現在、今日、現代」などの表現をチェックすることで、事足ります。そうすると文章の後半に「働けない若い人たちが一定数いること」という記述が見られます。(この問題意識は筆者が、というよりは社会によるものだと思われますが。)
そして、なぜ、このことが問題なのか?を取り上げています。これがQuestionです。 ※ちなみに2018年の統計では、若年無業者は71万人いることが判明しています。「働かない」のはなぜなのか?彼らの主張を踏まえて、いやいやその考え方は適切ではないよというのが、筆者の主張です。
現代社会などの科目で勉強したと思いますが、若年無業者が増えると何が問題かと言うと、彼らが働かないので税収が減ってしまうだけでなく、生活保護費などの支出が増えてしまう訳です。そうすると、改修すべき公共財、例えば、橋やトンネル、信号などが古いままになります。最近報道されているように、例えば、和歌山市の5分の1、3万5,000戸が3日間、水道を使えません。老朽化した水道管を入れ替えるためです。高度経済成長期に作られたものを改修していくのですが、こういうことが今後、至るところで起こります。税収がなければそれも適いません。荒廃した環境では、生活の安全も脅かされることになります。そうすると、真面目に働いている人からしたら、なぜ私たちばかり税金を負担しなくてはいけないのか!と怒りの声が上がり、差別意識が生じてきて、治安悪化にも繋(つな)がっていくことになり得るのです。少子化社会にあって社会秩序を維持できるかどうかは、健全に働く人々をいかに育てるかが、大きな課題なのです。
さて、筆者は「若い人たちが働けない理由」に対して、「他人の承認を求めて上機嫌に働いてみないと、働くことの意味は解らないよ」という結論を出しています。最終段落のひとつ前の段落を読めばそれが判りますね。
また、「若い人たちは働く前に、その意味と見合った報酬を伝えてくれないと働かないと言うけれども、それではダメなのだ」と。これがAnswerです。
先生は冒頭のさわりと、最終段落付近だけを読んでみましたが、皆さん、どうでしょう?Q&Aは判ったけれども、どうもピンと来ないなあという感じですよね。国語の授業では、なんとなく解ったという感覚で終わってしまうことが多かったのではないですか?
皆さんがしなくてはいけないことは、このQ&Aから質問を作り出すことです。例えば、「働く前に確認するのはダメなのか?」
「正当な報酬かどうかはどうやって判るのか?」
「働かなくても生活できる仕組みを国が作れば良いではないか?」
などなど、若い人たちの立場で弁護することもできそうです。
少し多角的に、どういうことなのかを検討してみる必要がありますね。
明日はそういう授業にしたいと考えています。また明日、「働くということ」について、皆さんと意見を交わしたいと思います。
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