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KokugoNote #13 高1国語総合

今日のおさらい。20200124
引き続き、古文授業の動画を作ろうという企画で動画撮影でした。授業でこれ以上、撮影に時間を割く余裕がないので、あとは放課後に先生のところまで来てください。随時、撮影しますね。


今日のおさらい。20200127
現代文「働くことの意味」内田樹さんの初読課題を踏まえて、何をどう考えたら良いのかを検討しました。※本文はこちら。http://blog.tatsuru.com/2009/12/16_1005.html

※初読課題はいくつか先生が設問を作り、皆さんの体験を引き出した上で、内田さんの文章を再考してみるというものです。この種の文章に慣れていない人も多かったようで、苦戦していたのが伝わりました。皆さんがまだ5歳頃の話なので、当時の社会情勢も解らなかっただろうし、働いたこともない年代なので、あまりイメージできなかったのでしょう。想像力を働かせるより他にないのですが、まずは「2008(2009)年 10大ニュース」などで調べると良いと思います。


2009年に書かれたこの評論は、2008年のリーマン・ショック(the financial crisis of 2007-2008)という世界的な金融危機の翌年のことでした。リーマンブラザーズという64兆円の企業の倒産により、世界的な経済不況が発生し、日本でも日経平均株価がひと月で6,000円も下落するという惨状に見舞われたのです。そのため、大卒の学生の就職も冷え込み、長引く不況も手伝って、内定(ないてい)取り消し騒ぎが起き、就職できないという状況が生まれたのです。

※例えば、こちらのエントリ「大学生の就職状況をグラフ化してみる」http://www.garbagenews.net/archives/2080135.html

それらを踏まえての、「働こうとしない若者」がクロースアップされたのでしょう。

「なぜ若者は働こうとしないのか?」「働くということは一体どういうことなのか?」
様々な識者・コメンテーターが新聞紙やワイドショーで提言する中、著者の内田さんは、いやいや、「働くことはどういうことなのか?」という問いに対して、「働くとはこういうことだ!」という一義的な答え(例えば、皆が納得する理想的な回答、「金銭のためだけでなく、様々な人々との出会い、協働して課題に当たることで得られる生きがいなど、人間性を涵養(かんよう)するために必要なこと、それが仕事だ!」などという回答 ※先生が今、適当に作りました)など出なくても問題ないよ、というのです。


働くとはこういうことだ、と誰かが言ってくれたら楽になれるかもしれないですが、
いや、そう言われても、働けないものは働けないよ、と反論される恐れもあります。
国民的同意や一義的定義など、不要なのだと内田さんは言います。


どういうこっちゃ?

内田さんはこういう説明を始めました。
働くとは、「当面の生存に必要な以上のものを環境から取り出して取り置きしたり、それを交換したり」することだ。(P176ℓ9)
*動物はそういうことをしないが、人間はそういうことをする。
「なぜそういうことをするのか?」P177ℓ2
内田さんは言います。
「贈与するため」だ。


贈与??
何のために「贈与」するのか?
→「人間の人間性を形成する根源的な営み」だから。
どういうこと??
「人間性とは?」
 → 相手を思い遣ること・優しさのこと。(T内くん)
 *これはひとつの回答としてOKだと思います。
 他には善悪の区別をつけることができる、教養がある、知性を持っている等々。
 確かに、動物は知性を持って相手を思い遣ることが少ないだろうし、善悪を考えたりはしないだろうし、読書をして教養を得ることはないですからね。


「人間性」というような、人間の根源的な性質については、なかなか説明しきれないものです。内田さんの言う通り、お金についての本を書くことはできるけれども、印税はお金でもらうことを要求するようなものだ、というのも、首肯(しゅこう)できそうです。要は説明するにしても、堂々巡りになってしまうものなのです。

けれども、人間性があるから、「贈り物をすることができる」というのと、「労働する」というのは、いったい何がどうつながるのか?ということは、なかなかスムーズに理解することができません。


どういうこと??
P177ℓ13~ を読んでみましょう。
すると、こういうことが解ります。
ℓ16の若者の例は、スティーブ・ジョブズのことですが、Apple社を立ち上げ、iPhoneやiPadを生み出した人です。
当初、それを労働として、つまり巨額の収入を得ようとして新しい電子機器やコンテンツを創り出した訳ではなさそうです。ただただデザインを追究して、美しさを求めたというエピソードが残っています。


ここも少し補足が必要です。
皆さんがプレゼントをしたことがあるという例として、手帳をあげた、クッキーをあげた、服をあげたなどを挙げてくれましたが、「労働」とはそういう個人的なものではないのです。


より多くの人たちがハッピーになるように、より快適な生活ができるように、より負担が減るように、という思いをもって、自分が夢中になっていることを探究していたら、それを欲しいという人が出てきて寄付をしてくれたり、対価を支払いたいという人が出てきたり、する訳です。
そこで初めて「あぁ、あれは労働だったのだなあ」という理解になるのです。
なので、友だちや家族に親切にして、「ありがとう」と言われることも大切なことですが、
自分の全く関係のなかった人たちにも「ありがとう」と言われるようになると、もっと嬉しくなるはずです。


 例えば今回、教育と探究社のプログラムで、クエスト・エデュケーション(企業探究の取り組みをしているのですが)で、新しい商品開発を考えたと思います。

「誰を対象にするのか?」、
「自分が夢中になれることは何か?」
「それは自分とは全く関係のなかった人たちをどのように巻き込むことができるのか?」
「ありがとうと言ってくれる人の姿が想像できるか?」
「夢中になってくれる人の顔を思い描くことができるか?」
などを、考えたのでしょうか?


皆さんのプレゼンが「働くこと」になったかどうかは、どれだけ多くの人が「その企画を待ち望んだか?」によります。
 それを内田さんは「『贈り物』として受け取る他者の出現」を待ってしか判明しないのだと言うのです。
 「『贈り物』として受け取る他者の出現」  これがキーワードです。


「待ち望まれること!」
皆さんのアイディアを持ち望む人たちがどこかにいます。
将来、皆さんの実現したいことを待っている人たちが世界のどこかにいます。
教科書を読んだり、問題集を解いたりするのではなくて、世界に目を向けて「世の中の課題」を調べて、何をしなくてはいけないか?を探すことに全力を尽くしてください。

将来、何らかの形で、社会で働くことになるのだから、どういう形にせよ、多くの人に喜ばれる仕事の方がきっと楽しいはずです。どういうことをしたら喜んでもらえるだろうかを考えること、学校の勉強は、それを支えるためのものです。教科書は、そのための副読本代わりですよ。定期テストなどは、ただ内容を確認するだけなので、アンケートと同じです。
成績が良いとか悪いとか、気にしている場合ではありません。



〈追記〉
今のところ提出された動画を送信します。下のURLから視聴してみてください。
補足の解説も添えています。必要なことは自分でメモして、自主的に勉強すること。
家のWi-Fi環境なら動画は見られると思うので、一度、チェックしてみてくださいね!
Dropboxのアプリをダウンロードする必要はないので、「ウェブ版の利用を継続する」をクリックしてください。


終止形接続の助動詞について
https://bit.ly/2U0aYt9
音便について
https://bit.ly/2tUZImX
動詞の基本形についての解説動画
https://bit.ly/2O1QRXC
変格活用動詞についての説明動画
https://bit.ly/3aLQ4DR
平家物語「坂落」についての解説動画
https://bit.ly/37xllbx


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