2011年3月11日の私
当時高校生だった私。九州に住んでいたので、地震や津波等の被害にあったわけではないのだが、あの日のことは結構よく覚えている。
いつものように居間の炬燵で週末課題を進めていた。金曜日だったけど……たしか学校は休みだったと思う。何で休みだったのかはちょっと思い出せない。その日のお昼に取り組んでいたのは休日に出される古典の宿題だった。指定されたページを丸々現代語訳して、問題を解いて。古典は好きだったので夢中になって取り組んでいた。
勉強中だったのと他の家族はそれぞれ別のことをしていたのとで、そのときはテレビをつけていなかった。が、ケータイに父親から電話がかかってきた。
「おい、テレビ観てるか!?ニュース観てみろ!」
こっちは集中して宿題をしていたのにいきなりなんだ……?と思いつつテレビをつけると、真っ黒な津波が家や畑などを次々と飲み込んでいく映像が。ゾッとした。画面の向こう側で何が起きているのか、すぐには理解できなかった。
私が住んでいたのは、海沿いの地域だった。地震や津波があったところからはかなり離れてはいたが、万が一に備えていつでも避難できるようにしておいたほうがいいね、という話になった。あまりにも規模が大きく、もしかしたら九州のほうにも津波の影響があるのではないか、と不安になったからだ。
落ち着かない土日を過ごし、週が明けた。いつも通り学校へ行った。時期的にクラスマッチがあったのでソフトボールをやったり、CMがACだらけになったり、「アニメの放送がなくなったね」なんて話を耳にしたり……。変わらない日常の中に、不穏さというか落ち着かなさというか、モヤモヤしたものが混ざったような、そんな感覚がしばらく続いた。
私自身そのとき直接地震や津波の被害にあったわけではないが、「日常」「いつも通り」「当たり前」といったものが、こんなにも突然終わってしまう・ガラリと変わってしまうことがあるんだ……と、そのとき思い知った。
2020年になった今、例えば「1日1日を悔いなく大切に過ごせているか」とか「有事に備えて準備できているか」とか問われたら、正直できていない。まだまだ目の前のことでいっぱいいっぱいだ。でも、少なくとも、2011年の今日、私が感じたことだけは忘れないようにしていきたい。