【大学入試】医療倫理のポイント
医療倫理とは
医学部医学科をはじめとした医療系の学部では、志望理由書・小論文試験・面接試験が、適性検査を兼ねています。
実物をお示しすることはできませんが、得点開示を踏まえると、「(医師としての)適性なし」で不合格者が出ていることは業界の常識です。面接で極端に低い点数をつけたり、「適性なし」であることを示したりすることで、不合格とするのです。
それでは、どのようなことに気をつければ、「適性なし」と判断されないのでしょうか。
「適性なし」と判断されないためには、医療倫理について理解しておく必要があります。
倫理と医療倫理の違い
まず「倫理」とは、どのような意味なのでしょうか。本稿では、大まかに次のような意味で理解することにします。なお「倫理」は「道徳」と比べられることが多いので、「道徳」についても併せて記します。
「道徳」 集団で共有されている善悪の基準
「倫理」 個人個人の善悪の基準
少し分かりづらいので、大まかに説明を加えていきます。
「道徳」というのは「集団のなかでの善悪の基準」のことです。ある程度のまとまった人が、善悪の基準を共有していることになります。したがって、個人の感覚で「道徳」を捻じ曲げることはできません。
一方で「倫理」は、「善悪の基準」である点は「道徳」と同じなのですが、個人個人によって異なる感覚です。例えば、次のAさんとBさんの行動の違いは、それぞれの倫理観の違いということになります。
Aさん:人が倒れていたら声をかける。
Bさん:人が倒れていても(新手の詐欺かもしれないから)声をかけない
厳密な線引きが難しい部分もありますが、「倫理」は、個人差が認められる概念なのです。しかし「医療倫理」は異なります。
「医療倫理」とは「医療従事者が持っておくべき善悪の基準」のことです。
「医療従事者だったら、こういう善悪の基準を持っておくべきだ」という性質のものですから、個人差があってはいけないのです。
医学科の入試では、こうした「暗黙の了解(=医療倫理)」から大幅に逸脱すると、「(医師としての)適性なし」と判断されて、いくら学科試験で合格点に達していようとも、不合格とされてしまいます。
受験生に求められる医療倫理
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