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内閣府「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」について(自治労と自治労連から国民を守る党 浜田聡議員からの依頼で調査します)


 政府は11月22日に経済対策をまとめ、その裏付けとなる補正予算案を12月2日財務省より発表し、現在臨時国会で補正予算とそれらの関連法について審議しています。

 この経済総合対策は、30年来デフレで続いてきた「コストカット型の経済」から「高付加価値創出型の経済」へと移行を目的とする対策です。
 名目GDP 600 兆円を超えと賃上げが行われ、安売りから付加価値商品を作っていく社会へと移行するために、石破政権は「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」として3本の柱をあげ、その財源として補正予算案と、税制、規制改革などの議論をし今後実行していきます。

 令和6年11月28日から始まった臨時国会の特徴としては、国民民主党が公約として手取りをふやす政策を掲げ衆議院選挙で議席4倍増の28名、自民党・公明党は少数与党政権となりハング・パーラメント(宙づり国会)になっています。国民民主党の手取りをふやす政策が国民から支持を受け、強固な世論の後押しもあって3党(国民民主党・自民党・公明党)合意により『「年収の壁・支援強化パッケージ」の着実な実行と年金制度等の見直し(内閣府、厚生労働省)【制度】』の審議と実現が約束されました。しかし、12月11日現在は具体的な予算もついておらず補正予算での審議内容にも入っておらず、令和7年度税制改正での審議予定となっています。

内閣府国民の安心・安全と持続的な成長に向けた 総合経済対策 ~全ての世代の現在・将来の賃金・所得を増やす~P9





1・経済対策の内容

 内閣府から提出された石破内閣の経済対策は「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策~全ての世代の現在・将来の賃金・所得を増やす~」です。
本文・及び資料
概要(PDF形式:409KB)
国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策~全ての世代の現在・将来の賃金・所得を増やす~(令和6年11月22日閣議決定)
「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」の経済効果
総合経済対策~総論~
総合経済対策~政策ファイル~
※経済政策の財政支出21.9兆円のうち、国の一般会計13.9兆円(Ⅰ:5.8兆円、 Ⅱ:3.4兆円、Ⅲ:4.8兆円)、特別会計0.9兆円、財政投融資1.1兆円です。

 石破政権の経済対策の概要をみると、経済対策は財政支出もページ数も昨年岸田政権下での経済政策より多いですが、その中身は殆どが岸田政権下で行われている事です。
 本来なら能登半島災害対策をまずいの一番にやるべきと思われるのですがこれまで何度も予備費で対応しているので、今回の経済対策で緊急性のある物は、「公共土木施設等の復旧等」に4628億円(能登半島含む)だけです。

それ以外では緊急性のある犯罪の「闇バイト」の対策の「防犯対策」と、地方創成大臣だった石破総理らしい政策として地方創生を意識した「特区制度の活用による地域の取組支援」「地方創生2.0」「地熱発電と中小水力発電」などが見られます。

概要


 
 こちらは、11月29日財務省から出された経済総合対策の財源となる一般会計補正予算案です。昨年より予算額は少し多いですが、国債の発行額は6.7兆円で前回よりかなり少なくなっています。

財務省の補正予算案


 

 

防犯対策(闇バイト)


 警察庁のサイトには、国民生活の安全・安心のための各種対策の推進143億7千百万円 の予算がついています。いわゆる「闇バイト」を利用した連続強盗等事件の発生を踏まえ、犯罪者 グループ等の実態解明・取締り強化のための装備資機材の高度化を進めるととも に、被害の防止に加え、犯行に加担させないため広報啓発を実施するほか、国境 を越えて実行されるサイバー犯罪やサイバー攻撃への対応に必要な装備資機材の 整備等を推進とあります。

 自民党の「治安・テロ・サイバー犯罪対策調査会」で取りまとめた政策。SNSで貧困者や高齢者が陥りやすい「闇バイト」が新しい経済対策に入りました。募集する書き込みや投稿に対するサイバーパトロールの強化、そして求人サイトやSNSの事業者に対し書き込みや投稿を削除するよう捜査機関側から依頼する取り組みを進めていきます。また、仮装身分捜査として警察庁も導入の検討を進めるようです。「仮装身分捜査の実施には、法改正は必要無い」という考え方での提言とのこと。また早期に実施して頂く方法を提言に纏め、ガイドライン等で明確にするとあります。

地方創生2.0

 地方創生2.0の政策で、内閣府の「(4)新しい地方経済・生活環境創生交付金」の予算は1,000億円と書かれています。これらを企画するのに専門のコンサルタントを雇うはずです。そのコンサルは果たして地域に愛情をもって企画しているコンサルでしょうか?


 内閣官房には「新しい地方経済・生活環境創生本部」が立ち上がっています。基本的な考え方の中に「都市も地方も、安心・安全で心豊かに暮らせる持続可能な地域経済社会を創るため、 これまでの成果と反省を活かし、地方創生2.0として再起動させ、人口減少対策につな げる。」とあります。その人口減少対策の1つとしてとして「産官学金労言」のステークホルダーの連携など、国民的な機運の向上」も検討するとあります。(「産:産業界、官:地方公共団体や国の関係機関、学:大学等の教育機関、金:金融機関、労:労働団体等、言:報道機関」)。
 これは石破総理の最重要政策の1つで、地方交付金倍増を公約していましたがその公約の1つとみるべきかと思います。補正予算では50.9 億円規模です。令和7年度は予算倍増し、事務局にはなるべく現場に行く様指示がありました。

 NFTDAOなどは、元石破派の平デジタル大臣が自民党内で長年進めてきた政策です。これらの政策は地方の魅力を世界に示せるツールとも言えますが、錦鯉特区で成功しNFTで再び蘇った山古志村はほんの一例だと思います。成功するには、地元への熱い思いや危機感があって自ら起業する者や出資しする者が現れ、専門的な知識を持って政治家に強く働きかけを行うからではないでしょうか?

 昨年デジタル庁による政策で、現在地域おこし協力隊制度を使ってDAOで地域を活性化させる取り組みをしてる自治体が既にあります。現在導入してるのは、第一号:北海道余市町、第二号:鳥取県鳥取市、第三号:富山県舟橋村、第四号:和歌山県白浜町です。今後取り組み状況を見て全国で広がる可能性は大きいと思われます。しかし、本来人口減少による地域活性化のための地域おこし協力隊制度なのですから、多額の税金を追加して経済対策しなくても、規制改革をすれば本来は需要に応じて広がるはずだと思います。
 例えば、1994年酒税法改正で地ビール製造が全国に広まったように、世界に通用する錦鯉特区が実現出来たり、山古志村が日本国民に愛されるデジタル住民になったように、国会で古い不要な時代遅れの規制を廃止すれば、民間が今まで以上に力を発揮でき、新しい産業が勝手に増えていくのでしょう。それは、地元を愛する人たちによって最適化していくことでのみ持続が可能だと思います。


 内閣府:地域活性化伝道師の木下斉氏の動画をみると、10年前にも多額の地方創生事業が行われています。自治体公共WEEKにも、1977年に制定された第三次全国総合開発計画における「田園都市構想」や2007年11月末に策定された「地方再生戦略」など、過去にも地方の振興策が実施されてきました。2014年に施行された「まち・ひと・しごと創生法」とともに打ち出された地方活性化を目指す政策または取り組みが行われたともあります。これ程多額の税金がつぎ込まれ、繰り返し繰り返し行われても地方は衰退するばかりです。

 



 木下斉氏の2016年のnote記事には「地方創生加速しちゃって困っちゃうよー。」の中の、この一投稿。しかし邑南町は加速度的に人口減少になっていて、効果があったとも思えません。

 「地方創生、加速する前に先行組がいて、彼らのほうがモノスゴイことになってたよー!」とがあります。
 地方創生加速化交付金には27年度補正予算額 1,000億円(新 規)が計上されている。そのほかにも多額の予算措置がしています。でも、田舎の人は土地を放置しても空き家にしても何も困らないのです。投資をして儲けようとする人もいないし、補助金を貰えればそれでいいのです。地域創生で地方が活性化するなどとは幻想です。


 

 地方行政に詳しい若生氏のX投稿がもっともであると思います。
小さいですが地元の自治体は窓口手続きのオンライン化を進めていますが、データー解析やAI生成の活用などはまだ殆ど見られません。審議会の資料を見ると、昭和時代の様な印刷物が配られます。当然活発な意見交換は見られません。もっとデーターやAIを使いこなせる人材がいれば、審議会資料も統計解析された現状が示され、未来の方針も見えてきやすく、活用や成果なしの事業の統廃合が進むのではないかと思えます。
 行政内部DXすることで、残業の見直しや人員配置、そして人材途用の傾向も変わるでしょうし、職員の評価が実力ではかられ、時間に縛られないで働きたいときに働くスタイルに変わっていくかもしれません。

 総務省補正予算に(24) 地域社会 DX 推進パッケージ事業 74.0 億円がありました。「ICT 技術を活用した地方創生 2.0 の実現に向け、デジタル技術の実装(地域社会DX) による地域社会課題の解決を図るべく、デジタル人材/体制の確保支援、AI・自動運転等 の先進的ソリューションや先進無線システムの実証、地域の通信インフラ整備の補助等 の総合的な施策を通じて、デジタル実装の好事例を創出し、全国における早期実用化を 促進。」他、(29) 独法DXの推進 0.4 億円と(6) 公的統計DXの促進 6.5 億円。
 残念ながら、地方行政のDXへの配分は、経済対策には入ってないようです。

 自民党の岸田前総理大臣は、みずからの政権で掲げた「資産運用立国」の実現に向けて新たに議員連盟を設立し、来年度の税制改正の議論の中で、個人型の確定拠出年金=iDeCoの拡充を求めていくとあります。また、NISAの利便性の向上を図ることや、金融庁に資産運用を専門的に扱う担当課を新設することなども盛り込む方針と、記事に見られます。
 金融庁のサイトには、「資産運用立国」及び「投資立国」の実現、DXの推進 15.0億円が計上されています。

地熱発電と中小水力発電

 経産省のサイトには、地熱資源等開発事業【50 億円】、中小水力発電に係る自治体主導型案件創出支援等事業【20 億円】となっています。
 KNBの記事によると、魚津市東城地区に完成したのは片貝川水系の川を利用した片貝一ノ又谷発電所があって、総事業費はおよそ4億1000万円、収益は年間4000万円を見込みとの事。発電量は年間およそ140万kWhで、一般家庭340世帯が1年間に使う電力に相当とあります。
 日本は水が豊富で高低差のある地域は沢山あり、本来であれば小水力発電所の活用は地方創生に強い味方になるはずです。しかし、昔から小水力発電は言われてるのに広がらないのは何故でしょう?例えば需要やメンテナンスの点で、根本的な問題が解決しなければ持続性の点で問題が出てくるのだと思います。

 今年の地方創生はDXやAIなどが多く見られますが、依然とやり方は変わらないのかもしれません。さらに悪いことには地方にはDXやAIでビジネスを出来る人材が殆どいません。これから地方創生でDXやAIの人材を作るところから始めなければならないでしょう。そうなると、息の長い支援が必要になってくるわけで、政権が変わればこれらの事業も終わりになる可能性が高いです。
 今回の政策では「特区制度の活用による地域の取組支援」「地方創生2.0」「地熱発電と中小水力発電」が新企画として地方の特区やDXとして多額の税金が投入されます。 これらの自治体での計画には当然コンサルタントが付くのでしょう。もしかするとコンサルつかないと補助金が下りないと言うのもありえるのかもしれません。

 木下斉氏は、10年前と同じことを繰り返さないように、地元の実績のある共にやってきた企業とともに、今後も継続できるような体制を作り上げ、反省し修正して継続して成果を上げていくのが大事な事だと話されています。よってまずやるべきことは、行政内部のDX化を進め、地域のコンサルタントや中小企業の社員にDXや生成AIのリスキリングで高度な専門家と地元を愛する強固な起業家が育つような議論の機会を作ることが重要かもしれません。

2・メディアでの話題

 今、既存メディアで話題になっている政策は主にこの5つです。
①国民民主党政策の103万円の壁を178万円に引き上げる
②政治資金規正法改正について
③物価高騰緩和策としてのガソリン税減税
④全然進んでいない「能登半島災害」対策
⑤公明党年末恒例の「低所得者支援」の対策
⑥AI半導体への10兆円の投資

 ②は経済総合対策とは直接関係ないのですが、政策活動費の廃止のあり方や企業・団体献金の扱いなどは政党によって違いますので、改正内容や政党の協力関係で今後の審議に大きく影響してきます。また、来年の参議院選挙ではこのままいくと国民民主党が大躍進するのではとも言われています。
 
 現在は国民民主党が国会でのキャスティングボードですが、代表選挙によってえらばれた日本維新の会吉村代表の言動がこれまでとは少しづつ違ってきており、勢力図が変わりつつあります。宿泊税・教育無償化・お米配りなどの増税とバラマキが行われ、共同代表に元国民民主党で前「教育無償化を実現する会」の京都選出前原議員にし、先日は日本維新の会が立憲民主党と選挙協力として1人区で政党間の予備選をやると記者会見しています。
 



3・手取りをふやす政策

 
 令和6年10月の衆議院選挙で国民民主党は手取りをふやす政策で大勝し28議席を獲得しました。その後国民世論の高まりと、既存メディアの問題提起と、ネットメディアの応援投稿があり、一方では自民党・財務省のネガティブキャンペーンともとれる出来ない理由が何度も発信されていました。最後にはやはり財源で、政府のバラマキには財源があって、国民の減税には財源が無いと言うのです。

 この総合経済対策の概要に経済の状況・課題が書かれていますが、「600兆円の名目GDP、33年ぶりの高水準の賃上げが実現するなど、成長と分配の好循環は動き始めている。」とあります。そして、「賃金上昇が物価上昇を安定的に上回る経済の実現」を目指すわけです。今まさに手取りをふやすことが最重要課題で実現のための最短ルートが103万円の壁を引き上げる事、予算を付け税制を改正する事です。
 様々な法律で労働時間が制約されたり、一方でもっと働けるし働きたいのに税制で働く時間を制限せざる負えない状況はまったくもって悲劇です。今、この方たちが働けば人手不足の一部が解消し、手取りも増え経済状況も改善し、税収もアップが予想されています。何故やらないのでしょう?

 今年2月に日本は名目のGDP=国内総生産は、ドル換算で人口8500万人のドイツに抜かれて世界4位になりました。GDPは、一定期間内に国内で生産されたモノやサービスの付加価値の合計額です。国の経済活動状況を示す指標で、景気を測る重要な指標として用いられています。GDPは、個人消費や企業の設備投資などの民間需要、公共事業などによる公的需要、輸出額から輸入額を差し引いた貿易・サービスの純輸出の3つに大きく分類されます。日本企業が海外支店等で生産したモノやサービスの付加価値は含まれません。

 経済政策の概要には「経済状況の名目GDP600兆円、33年ぶりの高水準の賃上げが実現」とあります。2016年6月2日閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2016(抄) ~600 兆円経済への道筋~」には、故安倍晋三総理がアベノミクス3本の矢を掲げ、第1の矢で名目GDP600兆円を目指し1億総活躍の時代を実現するとあります。内閣府は今年4~6月期の国内総生産(GDP)で、名目値が年換算で初めて600兆円を超えたと発表しました。しかし、安倍総理の目指した1億総活躍も、希望出生率 1.8も、介護離職ゼロも程遠い状況です。
 それでもこの3か月は、少数野党の国民民主党の政策「103万円の壁を178万円に引き上げ手取りをふやす政策を、国民は議論し、SNSも既存メディアも税制と政策を議論し世論は盛り上がっています。


 2024/12/05日経CNBC動画で経済アナリスト永濱利廣氏は、日本は実質賃金が低迷してるとして、岸田政権時に再三の呼びかけで賃上げが起きてもそれ以上に物の値段は上がり、生活は疲弊したままと指摘。更に中小企業は賃上げ疲れが出ており、人手不足倒産件数は帝国データーバンクの情報で2023年度は累計で313件と過去最多を更新し、2024年度上半期(4~9月)も163件と記録的なペースで急増しています。
 日本国民の労働生産性はユーロ圏より高いのに実質賃金はこの30年ずっと伸び悩みデフレが続いています。一方で2019年から働き方改革で残業規制や育児・介護休業法等や男女共同参画事業から出産・育児・介護などの期間も雇用保険から給付金が支払われるようになったり、定年退職者のパート・アルバイトでの再就職も増え総労働時間が短くなっています。


 少子高齢化で家族形態も変化し、コロナ禍以降リモートワークや在宅ワークなど働き方改革も進み、育児・介護で休暇の取得が容易になりつつあり、一方男女共同参画から共働きが増えたり、時間や場所を選んで働くようにもなってきました。
 この状況で日本はGDP600兆円を達成したにもかかわらず世界経済ランキングではドイツに抜かれ、間もなくインドにも抜かれるでしょう。経済学者は日本が経済成長できないのは労働時間が短いからと指摘し、政治家が労働時間を延ばす方法を考え政策にし、103万円の壁引き上げる様々な困難な条件を複数の有識者の助けが入って突破し、今ここで財源がまさに補正予算の中にあると発見したのです。これ以上、何が問題なのでしょうか?

 今回私はとても大切な事がわかりました。
 経済学者やエコノミストが実現可能性を認めた政策を、政治家によって歪められた政策になってしまいかねないのを防げるのは強固な世論だという事です。そして、強固な世論に支えられた政治家は専門家の助言を受け、1つ1つ障害を乗り越え、政治家のひらめきで財源の道を切り開けたら、そこには実現可能性があるのだと思います。鍵は強固な世論です。
 そして、補正予算は1つだけではなく、まず178万円引き上げと能登災害対策+緊急的な事業でまず組むべきです。その後補正予算が余れば各省庁の要望に応えて最小限の2つ目の補正予算を組む方法が良いと思います。そうすれば、無駄な事業と103万円壁引き上げと能登災害対策の補正予算とせっとで賛成する必要がなくなります。

以上です。
 


 



 





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