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つきとうずとわたしと
このnoteを書いていく前に、自己紹介をします。
わたしは2012年5月に夫の実家がある淡路島の南端、福良という漁師町にやってきました。わたしが生まれ育ったのは兵庫県小野市で、淡路島までは高速道路を使えば車で1時間ちょっとの場所にあります。中学時代は自然学校で来たり、大学時代は明石海峡大橋が完成していたので友人たちと車で日帰り旅行に来たりしていました。いまほど観光施設もなく、海が近い田舎に遊びに行っている感覚でした。
社会人の頃は、大阪で一人くらしをしながら食品販売の仕事に明け暮れていました。無農薬野菜や加工食の販売をしていて、京都から直接仕入れた野菜を職場の周辺にあるレストランに行商にいったり、醤油や味噌などのメーカーさんと料理教室をしたり、時間が空けば高架下で開催されている地域のバザーに出店していました。仕事が好きすぎて、気づけば12連勤していたこともありました。大阪時代を大いに楽しんだあと、結婚を機に埼玉へ引っ越すことにしました。
埼玉では東京まで出勤する夫の利便性を考え、駅から徒歩10分の1LDKのアパートを借りました。私は、車通勤ができる近所の会社で、広報と経理をしていました。その会社は全国の保育園におやつを卸していて、保育園の先生たちの研修会があれば北は新潟から南は長崎までどこへでも出展に行っていました。2011年3月に東日本大震災が起こって、余震や計画停電で不安な日々を過ごす中で妊娠が分かった時も、子育てに理解のある会社だったので、産休育休をもらった後もずっと働き続けるつもりでいました。
ところが2011年11月、産休をもらって出産のため里帰りをしていた時、夫が「関西に帰る!」と突然言い出したことがきっかけで、翌年5月に乳児を連れて淡路島へやってきました。まったく想像もしていなかった島くらし、初めての子育て、初めての四世代同居のはじまりは戸惑いしかありませんでした。夫の実家には夫の祖母と夫の母が暮らしており、そこへ夫と私と長女、そして移住して2年後に生まれた次女が一緒に住むことになりました。核家族で育った私は「同居」という言葉だけで緊張しているのに、夫は「僕がこどもの頃は5世代同居13人家族だったよ」とフォロー(?)してくれていました。
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淡路島での生活は、驚きの連続でした。一番びっくりしたのは、福良にある淡路島の食材が集まる産直市場の福良マルシェで働き始めたころ、「松本さ~ん、お荷物ですよ~」と自宅宛ての宅急便が届いたことです。どうして私の職場が分かるのかと恐怖でした(笑) どうやら島の人は車の色やナンバーで覚えているようで、娘を小学校に迎えに行った時も「お母さんが迎えにきたで~!」と教えてくれるそうです。娘曰く「ママの車は赤いからバレバレ」だとか。いまではすれ違いざまにいろんな人が手を振ってくれます。
現在は夫の会社で働いていますが、それまでは福良マルシェとうずしおクルーズというふたつの職場ではたらいていました。わたしがペンネームのように使っている「黒板係」という名前は、ひとつめの職場である福良マルシェでポップ担当として黒板を描いていたことが由来です。最初は名刺サイズの黒い紙に商品名やイラストを書いていたのですが、ある日、「大将のイチオシ!」を書く魚コーナーの黒板にサザエという文字を見つけたので、ほんのいたずら心でサザエさんを描いてみました。大将に怒られるかな~と思っていたら「もっと魚を描いてほしい」とお願いしてもらって、嬉しくて、描かせてもらうことになりました。
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この大将は福良で「クボタ水産」という屋号で、漁師から直接買い付けて市場に卸す仲買人をしています。毎日淡路島の漁港で魚を仕入れ、朝じめしたものを福良マルシェに納品していて、これがとにかくおいしい!新鮮!刺身なんて、活きが良すぎて弾力が強く、むしろ翌日まで寝かせた方が食べやすいものもあるくらいです。ぜひ観光に来た人に色々食べてもらいたい!と思い、色んな種類の魚を黒板に描いていました。
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冷蔵庫にはその日おすすめの魚の黒板を飾る。この日は大将と事前に相談してエビの日にした。
それからもうひとつの職場は、うずしおクルーズの海務部です。海務部は窓口でチケットを販売するだけでなく船が安全に運航できるように監理する役割で、時刻表を作るのも仕事のひとつでした。今回つくったてぬぐいは海務部での経験が元になっているので、詳しくは別記事で書くことにします。